レディメイドのトイレ
「姉ちゃん」
「何よー」
「またカレシ死んでるの?」
「失神よ」
「また大きなオオカミが?」
キーンコンカンコーン
とある学校にて。
「手だすなよ」と女子が男子に呼びかけた。
「まあな、異次元に行きたがる人はそうはいないさ」
「でしょ、でもショウヤが3日も帰って来ないんだよね」
「アイツ、スケベだし、神からの罰を受け続けてるんだよな」
「私の姉は男を潰し過ぎ&猟奇的本能がありすぎる」
「なんだ、リアム」と男子たちは静かになった。
リアムは教室を出ると女子トイレの一番奥へと行った。
「ショウヤ」
とリアムがトイレの水面を呼んだ。
「ようやく、シーラカンスになったよ」
と明るい声で返事をした。
「進化遅い」
とリアムはイライラした声で言った。
「まぁ、君のパンツも見てみたいしなあ」
「今頃遅い」
あ、トナリのクラス…。
女子たちが男子を運んで、女子トイレに入れた。
「ん?君たち何をしてるんだい」
「あ、新米先生」
「ここの男子はスケベだらけなんで神様に罰を受けてるんです」
「えーと、これは何の生物ですかね」
と新米先生がトイレの水面を見て聞いた。
「古代魚です、ネジ穴が狂って過去の生物に変わってしまうんです」
「ちと、はしゃぎ過ぎただけなのにー」
と古代魚は言う。
「何してるのみんな」
と眠たい目でリアムがトイレの前で話かけた。
「あ、リアム、お姉さんから手紙をもらったんだが」
「姉はバイだから、いいよ捨てても」
「キミは可愛い、姉もさぞ美しいだろう」
と先生はにやりと笑った。
「おまえ、男に興味ないな」
「あたり」
「私もだ」
「あーなたわー」
「何の技?」
「プロレス」
「はああ」
姉妹の裸プロレス何だか寒いわ。
「ナメテいい?」
と姉が妹の下をなめた。
「ああん、にゃう」
「火事です、火事です」
と町中にサイレンが唸った。
「ココ、新米先生の家じゃね?」
「ヤバイな」
「どこが」
「ワームホールが」
「はあ?」
「ブラックホールに変わるんだよ」
と、言うと燃える炎が歪んだ。
「危ない、吸い込まれるぞ」
火事だけ飲み込みやがった。家もすっかりなくなった消防隊員も驚いた。
新米先生、樟木七、家が燃え、空き地になり、リアムの家で暮らすことになった。リアムの姉、ミウムは七の顔を見て遠慮していた。凛々としているからだ。
「ちょっとさあ、ホスピタルへ行ってくるわ」とミウムが外へ出た。
「行ってらっしゃい」
「樟木先生」
「なんだい」
「勉強教えてくれないかな」
すると、樟木先生はリアムを押し倒した。
「何するつもりなの」
抑えきれなかった何かが、二人は口づけをして深くとろけた。
「あ、もう3時だね」
「何時まで寝たんだ」
「直ぐ飯作るね」
樟木先生は飯に目玉焼きを乗っけて二人で食べた。
「姉さんまだ帰って来ないね」
「危ないホスピタルだろうな」
「危ないホスピタル?」
「切りつけセックスタワーだよ」
「もしかしてクローン?」
「そうだよ、クローンでいいとは限らないけどね、家でも殺ってるし」
「ただいま」
「姉ちゃん毎回服黒いね」
「そんなに黒くは見えないけど、寿司買ってきたから食べる?」
「うん」
昼休み、何故かクラシックが流れる校舎。
リアムはうどんをすすっていた。
クラシックの音がぎこちなく歪んできた。
スピーカーは歪み、音は前衛感を増した。
またやったかスカートめくり、ショウヤはこりごりしたかトイレで死んだ。
歪んだ空間はスピーカーと音楽を消した。
光輝く、黒を目の当たりにした。
空の上に。
七とリアムは体を抱き合い、甘く、さすり、深い口づけをするのだった。
「あ、姉ちゃん」
と、ベッドにミウムが突然表れ、リアムは驚いた。
「妹に何する気?」
と怒り気味だ。
「いや、ただのセックスだ」
と七ははっきり言った。
「男、拾ってきた」
と、ミウムが男の首が入った保存ボックスを持ってきた。
「クローンの頭…」
とまじまじと目を見開いたリアム。
「で、どうするの?アタマ」
「私が平らげるわ」
ここがショウヤの墓ね。古代魚の姿で死んじゃって。透明な玉が浮いてるわ。今日も曇りか。
今日の授業は無し、自由に音楽をかけるわ。甘いロックやはしゃぎっぱなしのダンス。思い思いに透明な玉が自在に音を変えるわ。
「あ、樟木先生」
「はい、リアム」
「今日は何故授業がないのですか」
「それはね、時間が余ったからなのよ、1日が5日間に変わったのよ、政府が検討中よ」
「なるほど」
「自由時間、楽しんでね」
「oh,No.」
「マジで5日間学校にいるってこと?」
「そうみたいだね」
「風呂どうするの?」
「シャワーでよくね?」
「この本マジうける」
「仏陀ブックヤバイ」
「お化けでないよな」
「何読んでるの?」
「いるわけねえ」
「あ、誰?」
「樟木と誰だろう?」
「リアムじゃね」
と男子たちが女子トイレを透明な玉を操り、盗撮をしていた。
「うーわー、えっろ」
「マジで?」
「俺たちよりエロいじゃん」
「やるなあ、リアム」