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帰還せし王  作者: 陽炎
2章【エクスラード国動乱】
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最北端の街オルド

 オルドに入った一行は、荷馬車をとにかく人目につかない場所まで誘導した。空は真っ黒の雲に覆われて、空は一向に見えない。真っ暗な街に明かりが灯されていく。

 街に雇われた魔道士や、魔法の心得を持つ市民が使った灯火の魔法だ。魔法は街の至る所に設置された街灯に炎を灯し、陽が消えた空の代わりに街を照らした。

 男達は、その光から身を隠すように、街の入り口付近にある厩舎の近くに向かう。厩舎の中には人は居なかった。急な雨を凌ぐために外套を取りに向かったようだ。男達は天の助けだと、感謝しながら、荷馬車に掛けられた大きな布を取り払って、中にいる魔族の男女を外に出した。


「今なら大丈夫だ。さぁ、出てきてくれ」


 藁をどかして、二人を呼ぶ。魔族二人は藁を払いながら、馬車から出てきた。二人とも大きなフードを被って顔は下あごから鼻先までしか見えない。

 変な格好だが、地肌が黄色と白色の二人だから、すぐには魔族とはバレないだろう。妙な安心感を男が感じていると、魔族の男、フレギオンが小包を男に手渡した。


「助かった。金は少しだけもらっておくが、大半は返す」

「ありがたい……。だが、魔族が金がいるのか……?」

「人間の街で金がないやつが普通はいるのか?」

「う、そうだな。いないな」

「そういうことだ。金は全員でわけろ」


 男は小包の中身を覗く。そこには銀色の貨幣が予想に反して多くあった。


「お、おい。銀貨がこんなに……」

「ああ。仕事を辞めるんだ、それぐらいはいるだろ? この人数だと少ないだろうが」


 小包を他の者にも見せると、他の者も銀貨の多さに驚いていた。たしか銀貨は百枚あったはずだが、この袋の中身には八十枚近い銀貨が見える。シュパイツァーが五十枚近い銀貨を持っていたために、この枚数は全員が最初に持っていた数より多くなる。銅貨もそれなりにあるようだ。

 フレギオンの寛容な見返りに、男達は驚いた。


「あんた、本当に魔族か?」


 あまりにも対応が良く、さらには仕事を辞めたことに対する理解。言わば、この金は退職金のようなものだ。解放されて金まである程度返却される、信じがたい光景だった。

 フレギオンはフードを深く被って、その顔は見えなくなったが、露出されている口元が僅かに口角があがっているのが見えた。彼は笑っているようだった。


「魔族だが、人間に見えるか?」

「いや……、そうだな魔族だ。…………………俺とあんたは会ってないいことにする。そして、俺はここから逃げる。それでいいんだな?」

「そうだ、早く行くんだ。見つかったら困るのはあんた達の方だろう?」


 フレギオンは顎を上に上げて、フードの先から眼がすこし見えた。金色の瞳は後ろにいる人間達の方に向かれており、そのさらに先に、厩舎の管理人の男が真っ赤な外套を羽織って戻ってきている姿を捉えた。


「あの男の対処は任せた。俺と彼女はもう行く」


 そう言って、フレギオンは女ダークエルフの腕をとって、背中を向けると疾風の如く厩舎の奥の闇の中に消えていった。その速さは瞬きを数回するぐらいの本当に短い時間の出来事だった。

 男が唖然としていると、同僚が彼を呼びつけた。


「あの魔族のこと言わないでいいのか?」


 同僚もあの魔族が消えていった闇の方を見ている。気配が完全に消えてずっと思っていたことを今このタイミングで口にしたに違いない。しかし、なんとも浅はかな考えだ。


「そんなこと言っちまったら俺たちが魔族を連れてきたのはバレるだろうが。言えるわけ無いだろう」

「そう、そうだったな……」


 同僚は口ごもった。顔には「しまった」という色が浮かんでいる。しかし、すぐに冷静な顔になって、同僚は唾を吐いた。


「しかし、大言壮語な魔族だ。いくらなんでも街に侵入しちまったら袋のネズミだ。この街だって兵を総動員したら数千はいるんだぜ。死ににきたようなもんだ」


 中位魔法を使い、ギーゼルヘアを従える力を持つと言っても、今はあの、か弱そうな女と二人。多勢に無勢だ。勝ち目のない戦をやりにきたようなもんだ。と同僚はごちた。

 しかし、男は同僚とは全く違う意見をもっていた。


「この街の兵全員でも対処できるか、俺はあやしいと思うぞ」

「は? おいおい、それはないだろう。いくらなんでも」


 男の意見に同意できないとばかりに、同僚が顔を寄せてくる。が、構わずに男は息をのんだ。

「俺はあの魔族が」

「魔族がなんだ?」

「レオニオス様と戦う事があると思っている」

「は、はぁ? レオニオスって、あの剣聖レオニオスのことか? ありえないって、そんなこと」


 同僚の声が大きくなる。男が言うレオニオスとは、大陸中央に位置する大陸最大の人間の国ヴェッツハルム皇国。そこで集まった各国の剣豪で構成されたセインツハイム騎士団の現団長を務める男のことだ。

 騎士団と言えば、国を守る小さな軍団。または近衛兵のようなイメージも持たれることがあるが、皇国の騎士団の規模は、その比ではなく。騎士団という名前ではあるが、その実態は皇国最強の軍隊である。

 確かに元はと言えば、騎士団の名に相応しい規模の集団だった。それが月日を増すことに規模が大きくなっていき、現在の規模になったのである。今や団に所属する兵士の数は三万ともなっている。

 それゆえに、セインツハイム騎士団団長という地位に就く者は各国でいうところの将軍といっていい。そのうえレオニオスは騎士団創設後、歴史上最強の者とまで評価されており、彼が現れてからの約十五年で魔族は大きく激減した。

 ヴェッツハルム皇国、皇帝ハルストレム六世は彼に「そなたのおかげで、皇族の宿願が百年は早くなった」とまで言わしめたという。この宿願というのは、魔族掃討ということであるらしい。


「お前、ラグーンの兵力を知っているだろう。八万だぞ、その兵を倒して、皇国まであの魔族が行くと思うのかよ?」

「行くかもしれん」

「心配しすぎだ」

「かもしれん」

「ああ、そうとも心配しすぎだ。だがまぁ、百歩譲って、お前が言うように、レオニオスがあの魔族と戦ったとしても、彼が勝つ。それは譲らないからな。おっと、俺たちも立派な裏切り行為をした者だ、とっととこの場から逃げ出そう」


 同僚が厩舎の管理人の元に行く。先に話をすませていた仲間は既に居なくなっていた。


 同僚の言葉を思い出して男も小さく三回頷いた。それは彼の言うとおり、レオニオスがあの魔族に負けるとは思っていない証だった。やがて男も闇夜に紛れて、オルドの街から姿を消した。

  



 大降りの雨に打たれながら、白い外套を羽織り、同じ色のフードを被った二人組がオルドの街の商店街の端で人を避けるようにして歩いていた。商店街はどれもだいたい二階建ての鉄製の建物が並び、道の両脇に建物がズラリと並ぶようにして並んでいる。建物と建物の間、二人の頭上には赤い球や緑の球の装飾品がロープで取り付けられていて、雨の中でも祭りでもしているように賑やかだった。

 二人とも軽装で、腰にポーチを巻き付けている他は目立った様子もない。顔をすっぽりと隠しているために、それなりに人目にはついたが先を歩くフードの者は、体格を見れば男だと分かったし、露出された肌も黄色。後ろをついて行く者は肩や服のおうとつをみれば女性だと分かった。

 すれ違う様、顔を覗こうとする人間がいたが、フードを深く被っていたために確認することが出来ず、やや残念そうに反対側に歩いて行く。


「顔を覗かれそうになりました」


 そう言ってきたのはセトゥルシアだ。彼女が女性だと分かった男達が興味本位で覗こうとしてきて、彼女はフードを持って、さらに深くかぶりなおしたようだ。やや怯えた様子の彼女にフレギオンは安心させるように手を引っ張った。


「大丈夫だ。堂々としていればいい。そうすれば怪しまれることはすくない。君が女性だと分かったから、見てきただけだろう」

「そうなのですか?」


 腕を引かれながら、セトゥルシアは先ほどの男の後ろ姿を眼で追った。男は足早に大きな店の入り口の門をくぐって姿を消したところであった。


「ただの興味だろう。すこし俯いて歩けば何も問題はない」


 フレギオンの言葉は、人間への深い理解を感じさせられるものがある。言い切るあたりにも自信を感じた。


「人間をよくご存じなのですね」


 雨の滴がフードを伝って、上唇に落ちて飛び散った。セトゥルシアは左手ですこし拭うとフレギオンに引っ張られて、商店街の中を進む。


「少しな」


 周りの人間の姿を見ながら、目立たないようにして人混みの中に入っていく。セトゥルシアの人生でこれほどまでの人間に囲まれたことはかつてなかったため、少し怯えてしまいそうになったが、フレギオンの背中に注目すると安心感が湧いてきた。

 死という生者にとって抗うことが不可能な状態をも、ねじ曲げることが出来るダークエルフ。死者となった自分をこの世界に呼び戻したダークエルフ。

 ここに来るとき、彼女にとって最も年が近く、友とも呼べるウェルリーナが彼を光王そのものだと改めて話してた。恐らくは、こうしてフレギオンと居るのは彼女が一番望んだことではなかったのだろうか。彼女の祖父であるアサンドラが、召喚の儀式を行った折、傍に呼んだのも彼女だ。祖父も彼女に期待にしていたからだろう。

 しかし、今は自分がフレギオンといる。ウェルリーナの代わりとしてではなく、ネリスト族の次代の長老としての責務のために。使命感を感じてセトゥルシアは気を引き締めた。



「ここが宿か。入ろう」


 フレギオンの動きが止まり、思わず背中にぶつかりそうになったものの、なんとか堪えて彼が言う建物を見上げた。

 鉄製の四階建ての建物。大きな看板が貼ってあり、中から大きな騒音が聞こえてくる。酒の匂いがしてきて、中で酒宴でもしているようだ。


「こんな雨だ。酒でも飲んでいても不思議じゃないな」


 左右に開くようになっている扉を押して、宿の中に入っていく。如何に顔が見られないからと言ってもさすがに中に入るのはまずいのではないかとセトゥルシアが言うよりも早く、フレギオンが宿屋の店主に話しかけた。恐ろしいまでの剛胆ぷりだ、魔族だるにも関わらず平気で人間の宿屋に入ろうなどと。


「いらっしゃい。あちらさんはお連れさんかい?」

「ああ、連れだ。部屋を探しているんだが、空いている部屋ないか?」

「部屋ね」


 店主の男はぺらぺらと通帳を開き、客の出入りを見た。その間フレギオンはテーブルで騒いでいる客達の顔を覗いた。

 この世界にきてからフレギオンの視力は驚くほどに上がっている。少し離れているとはいえ、同じ建物の中の客の顔を見るのは何も苦労せず、見ることが出来る。客達は酒に酔っているのか、上機嫌なものもいれば少しばかり機嫌が悪い者もいる。


「お客さん、部屋はあるんだが、明日には出てもらうことになる。今晩だけだがいいか?」

「どういうことだ?」

「明日からは予約が入っているんだ。知らないのか?」


 男は顔を見上げて、眼鏡の縁をもってジっと見てくる。フレギオンは顔を見られまいと俯いて、店主の言う知らないのか? の意味を考えた。

 この言いぶりだと、何か途轍もなく大きな事があるようだ。それも知っていて当たり前というレベルの。しかし、この答えを導き出すピースが何一つなくフレギオンは押し黙るしかなかった。


「そうか、あんた田舎からでも来たのか?」


 フレギオンが黙っているのを見て、店主はさては山から来たんだろう、間違いないそりゃ知らなくても当然だ。と、間違った推測を言ってきた。が、これはフレギオンにとってはありがたかった。これ幸いに彼は肯定する。


「そうなんだ。遠くから来てね、理解が遅くてすまない」

「ハハハハ、お客さん。そんな謝ることじゃないよ。気を悪くさせたら俺も謝ろう。じゃないとカミさんにどやされる。客に何言ってんだよあんたは! ってな」

「ハハッ、元気な奥さんのようだな」

「元気がありすぎて、たまらんがね。さて」


 やや饒舌に語ってから店主は眼鏡をかけ直して、仕事をする男の顔つきに戻った。


「いくら田舎でも、首都ラグーンのことぐらいはきいているだろう?」


 それはエクスラード国の首都であるラグーンのことを言うのだが、残念ながらそれもフレギオンは知らない。【エンジェルオブダークネス】の中にもそんな街の名前はなかった。共通点は魔法と装備と神々と龍の名である。

 しかしながら、さすがにこれを知らないとなると怪しまれると思い、フレギオンはいかにも知っているように少し声を大きくして肯定した。彼も中々演技派である。


「ああ、知っているとも。行ったことはないが良いところらしいな」

「そりゃ、王様が居られるところだからな。良いところにはなるさ。んで、だ。そこのラグーンから兵がこっちに来るんだよ。それも寄せ集めじゃなくて、王直属の国軍が来るらしい」

「国軍!?」


 フレギオンは思わず大声をあげて驚くと、その声に惹きつけられるように酒盛りしていた客達が二人の存在に気付いた。

 しかし、顔も分からない二人組に対してさほど興味はわかなかったようだ、すぐに酒のほうに関心を戻していった。


「そりゃ、びっくりするわな。なんていっても国軍だ。門で門兵がいただろ? すこし物々しくなかったか? みんなピリピリしているんだ。変な輩を入れては公爵様の名誉にも関わるからな」


 変な輩ならここにいるが。とは言えずに、フレギオンとセトゥルシアは苦笑を作った。


「それで、国軍の目的は……、北方の魔族か?」


 王直属の国軍が動くというのだから、かなりの大事な任務だろう。それなら考えられる進軍の目的の候補は少ない。


「その通り。つい先日、魔族の偵察に向かった奴らが皆殺しにされたらしい。それを聞いた公爵様が王妃様に頼まれたんだよ」


 店主は深いため息をついて、頭をぽりぽりと掻きむしって「魔族なんてなんでいるんだろうな」とごちてくる。

 偵察と店主が言ったが、それはあのギーゼルヘアやヴァサドールが言っていた人間の村のことではないだろうか。彼らの話では、ここ最近での人間の目撃情報はそこまでだ。となれば、あの村のことを指しているに違いない。ただし、内容がかなり(かい)()しているように感じるが。

 フレギオンは言葉を慎重に選ぶ。


「偵察に行った者は、どこの街のものだったんだ?」

「ん、ああ。それはよく知らないんだ。聞いた話だとラグーンの市民らしい」

「首都のか……」


 ということは奴隷というのは首都にいた者達だったに違いない。それを呼びつけて、裏で殺し、民衆の怒りを煽ろうとした。この街の様子を見る分にはそこまで効果はなかったように見受けられるが、進軍している国軍はどうだろうか。

 情報次第では怒りに燃え上がっているのかもしれないし、はたまた、大義名分を得て進軍してきているのかもしれない。どちらにせよ、魔族狩りを本格的に実行しようとしているのはよく分かった。


「国軍の数は?」

「このあたりの宿屋は全部埋まっちまう規模だ。まぁ入ってくるのは士官と役職のついた奴らだけで、一般兵は街の外で野営をするらしい。まぁ相当な数だな。一万ぐらいだと思う。その後はここの軍と合流だから、一万五千はいくだろう」


 国軍が一万、街の兵が五千。合わせて一万五千。そのうち魔道士と兵士がいくらいるかは分からないが、相当な人数だ。とくにネリスト族とファッティエット族とオーク族の数を考えればその差はひどい差だ。

 単純計算で一人につき百五十人を倒せといわれてるようなものだ。しかもそれは机上の論であって、全くもって非現実的な数であり、実際に戦えば魔族が全滅を余儀なくされるだろう。数の暴力による虐殺、まさにそれに相違ない。


「そういうわけだから一晩になるが、泊まっていくかい?」


 店主の瞳がまたフレギオンに向けられた。


「ああ、泊まるよ。いくらだ?」

「一番安い部屋になるから、銅貨五十でいい。二人だから百だ、銀貨があるならそれを」

「わかった」


 袋から銀貨一枚を払う。店主はすぐに金入れにそれを押し込むと、フレギオンに鍵を手渡した。

 部屋の鍵らしい。このあたりは日本の旅館と似た感じである。


「部屋のものは汚さないでくれ。兵隊に貸すから、汚した部屋は提供できない。物を壊したら弁償代をもらう。鍵も無くさないでくれよ」

「了解だ」

「部屋はそこを左にいった先の廊下の一番奥だ。それじゃ、良い夢を」

「おやすみ」


 店主に挨拶を交わして、セトゥルシアを連れて指定された部屋に向かう。廊下に入って、人目がなくなるとセトゥルシアの肩が揺れるのを感じた。

 フードの下の表情を見れば彼女の深みのある鮮やかな碧玉の眼は震え、顔は青ざめていた。その理由はさきほどの国軍のことであろうということは誰でも分かることだ。


「セトゥルシア……」


 こういうとき何を言えばいいのか分からず、少し口ごもってしまう。しかし、何か言わなければならない。

 部屋の扉を開いて、セトゥルシアを先に入れてから、彼も中に入ると、扉に鍵を閉めた。

 フードを外したフレギオンは、セトゥルシアのフードも外す。そこには美貌の全てがつまっていると思わせられるだけの美女の顔があった。しかし、それは今は仲間の安否とこれから迫ってくると分かった国軍の存在にずいぶんと怯えた表情を浮かべていた。



「フレギオン様、一万五千の人間の兵が……」

「分かっている。だが、心配するな」


 彼女の不安はよく分かる。フレギオンとて、その数の人数を見れば驚くだろう。しかし、人間の軍がくるのを知っていて、何もしないような男ではない。


「仲間のことだが、少し休んだらすぐに宮殿に向かうぞ。助け出したら、関所に戻って、国軍を迎え撃つ。大丈夫だ、誰も死なせない」


 フレギオンは力強く言いきると、彼女の身体を抱きしめ、後頭部を緩くさすって、安心させる。


「すこし休め」

「はい……あ、あの。ありがとうございます」


 彼女が反応したのを見て、すぐに彼女から離れた。フレギオンの身体が離れて、何をされたのかを理解した彼女は少し慌てた様子で礼を言って、備え付けられていたベッドに腰掛けて、そのまま横になった。

 フレギオンは窓のカーテンを閉めて、壁に背中を押し当てて眼を瞑った。それは休んでいるというよりも、今後のことを考えている様子でもあった。そのあとセトゥルシアが眠るベッドの横に置かれている別のベッドに寝転び、久々のベッドの休息をつかの間、堪能したのだった。

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