一人目 マサミチのトラウマ 絶望
僕が自殺するに至った経緯は十七年生きていた中で人間を生理的に受け付けなくなってしまった事と、人に期待することが……信じることができなくなってしまったからである。
僕の人生の歯車が狂い始めたのは、僕が小学校の時だった。
僕は小学生に上がる時、父さんが生まれた場所に引っ越した。
その場所は安芸の地図にも載ってない辺境の地域であったが不思議な事に学校があった。
そこでは村長が絶対であり、今では珍しい村八分があり得るようなところで、僕たちはその村八分の対象だった。
僕ら家族に対する村八分はそれぞれ違った、父さんはパワハラと思えるほどの異常な量の仕事を振られていた、そして最低賃金を下回る給料サービス残業当たり前の毎日。
母さんは毎日毎日嫌味に暴言、暴力、不法投棄に嫌がらせなどetc……。
僕には暴力、窃盗、監禁など、今思えばいじめや村八分にしてはやりすぎだし、そんなことをされる理由がないなと思った。
けど当時の僕にそんなことを考える暇も余裕もなかった。
だけどある日状況が変わった。
村長に反抗した母さんが殺された……。
死ぬ前も暴力を受けていたのか綺麗だった母さんの顔が青あざや血で染まっていた。
村の人達は「クマにでもやられたんじゃないのか?」みたいなことを言っていたが、そいつらの顔がすべてを物語っていた。
薄ら笑いを浮かべて僕のに母さんの亡骸を投げつけた。
その日、声がかれるまで泣いたのを覚えている。
涙があふれ止まらなかった。
ただ悲しくて、悔しくて……。
その日からだろうか父さんがおかしくなったのは……。
父さんが村の奴と同じような表情になり、僕に対して暴力を振るうようになった。
父さんがおかしくなり母さんが死んだあの日から僕の目には、奴らの顔に黒い靄のようなものがかかって見えるようになった。
きっと心がこれ以上傷つくことを拒んだのだろう。
最後には父さんの顔さえも見えなくなってしまった。
僕の生きる希望だった母さんが死に、頼れる存在だった父さんは変わった。
唯一の安息の場所と呼べるところがなくなるのと同時に、生きる意味も希望も無くなってしまったかのように思っていた。
僕はただ死んだように過ごしていた。
時が過ぎる感覚だけが、僕の心をすり減らしていった。
時が経ち中学校に上がった時に、都会から一条 龍二が転校してきたのを覚えている。
村八分のことを知らないのか、僕に対しても分け隔てなく接してきた。
彼が僕の心のよりどころで、僕の中で〝友〟と思えていた。
高校二年生の夏のあの日までは……。
いつものように彼に教科書などを貸してもらい勉強させてもらっていた時。
「いつもごめん、それとありがとう。」
恩に報えない事がずっと気がかりだった。
迷惑をかけてしまっている謝罪と、確かに感じている恩に対する感謝を込めて龍二に話しかけた。
僕がそういうと龍二は何かを少し考えた後、小さくつぶやいた。
「頃合いか……。」
「……? なにかいった?」
「いや、何でもない、今日は用事があるから帰るわ」
龍二の様子がおかしい気がしたけどその日は何事もなく終わった。
その日はいつもより村八分によるいじめもましだった気がした。
(明日もこんな風に過ごしたいな……。)
なんて淡い期待を抱いていた。
ただ、次の日は自分にとって最悪の一日になった。




