お祭り騒ぎだ!
宿にて
二階にある部屋僕の部屋へと足を進める
さっきから空腹感を感じているし、チョーを起こしたらご飯を食べに行くのもありだな
そう思ってドアノブに手をかける
扉を開けようとしたら後ろから足音がした
上ってくる音だ
この階層は僕達以外に誰も泊まっていないはずなのに
ルームサービスの人だろうか
そう思い降り返ろうとすると、魔力を感じた
「ッ!?」
突然の衝撃が身体を襲い、部屋のリビングまで吹っ飛ばされる
咄嗟に背中に魔力を集中させたから背中は痛くないけど、顔から倒れ込んだせいですごく痛い
「痛ったぁ……なに?」
衝撃の正体を知るために木屑を払い立ち上がる
「マサミチさん逃げてっス!!」
「えっ」
振り返る寸前でギルに捕まれ外に放り投げられる
その時見た
ついさっきまで僕らがいた部屋の半分以上が壊れ、爆炎に包まれていたのを
「うぐっ」
地面に叩きつけられる感覚が全身を襲うが、あまり痛くない
なるほど、ギルのおかげか
「なんや今のを見切るんか。ただのガキやと思て舐めてたわ」
カランコロンと下駄を鳴らしながら煙から声の主が姿を現す
「よお。昨日ぶりやなぁ少年」
「貴方は、昨日の」
昨日、祭りの話をしていた人だ
「そや、昨日のイケメンお兄さんやで~」
「……」
「なんや、なんか反応せえや俺が滑ったみたいやんか」
「反応する必要なんてねぇっス。コイツ、本格的にやばやばっス」
「おいおい。酷い事言うやん自分。まぁここいらで戦えるの自分らしかおらんっぽいから、いっちょ殺させてもらうで」
そういうと男が前にかざした手から火花がはじける
次の瞬間には体に熱と衝撃が襲ってくる
「ぐぅぅ」
吹き飛ばされた拍子に民家に突っ込んだせいで身動きが取れなくなる
爆発、なのかな?
それよりもチョーは大丈夫なのか
瓦礫をかき分け外に出る
「……は?」
そこで見たのは空を埋め尽くさんばかりの炎の花だった
耳をふさいでも聞こえてくる爆音に頭が痛くなる
一番ヤバいのはチョーが爆心地で戦っている事だ
嘘だと思いたいけどさっきまで姿が見えてたのに音と光以外が見えなくなった
異次元の戦いを繰り広げてるのはわかる
アルドルフたちがやっていた戦いとは別ベクトルのヤバさだ
僕が行ったところで焼け石に水どころか山火事にそよ風だ
なにかできる事は──
体の横を何か素早いものが通り抜けていった
その何かは昨日一緒にいた……チョーだ
「次はお前や」
「なっ」
「させねぇっスよ」
視界が黒に染められ、男が吹き飛ばされる
「大丈夫っスか?大丈夫なんだったら走って逃げてくださいっス。ここにいたら死ぬだけっス」
「そんな、それじゃあチョーはどうするんだ」
「戦うっス。能力もあるし精霊も二匹ついてもらってるっス。戦って足止めするんならチョーが最適っス」
「でも──」
チョーはまだ子供だ
そう言おうとしてすぐに口が閉じた
目の前にいる少女は傷だらけでボロボロで、それでも覚悟の決まった目をしている
「話は終わったか?逃げた上で殺されるか戦ぉた上で殺されるか。まぁ好きな方で逝けや」
火薬のような匂いの赤い火花がパチパチと弾けだす
再び赤の衝撃が身を包む……ことはない
「おぉぉぉぉ!!」
氷よ出ろ、その一心で精一杯叫ぶ
魔力によって生み出された氷塊は家屋をなぎ倒し壁をぶち抜く
「ははっ、やるやんジブン。」
そこら辺の家よりも大きな氷塊
それをあんな速さで出すんか
「一筋縄じゃあいかんか」
一対二、数的有利は僕たちにあるけど
きっと僕はそんなに役に立たないし立てない
それでも、僕にできることはある
「チョー。十秒、時間を稼いでほしい」
「お安い御用っス」
チョーは実体化した氷を壊し外に飛び出す
すぐに聞こえてくる爆発音
どこにいるのかはわからないけど、また頼ることになってしまうけど
貰ったお守りを胸に当て、この世界で一番信用できる人の名を呼ぶ
「来てっ!! ソラさん!!」
声に呼応するようにお守りが光る
目を開けられないほどに
「マサミチ君。見ないうちに成長したね」
お守りから姿を現したソラの声色はいつもと同じで柔らかい
ただ、その姿からは有無を言わさぬ強烈な殺気が放たれていた
ちょっと短いですが許してくだせぇ




