失敗しちゃった
ふう、終わった
まだ太陽すら完全に昇り切っていない間に走り終わってしまった
其の四十三に書いてあった~ベンディルお爺さんの鍛冶屋~に行ってみたのだが、早く起きすぎた
まぁ誰にも会わなくって済むのは嬉しい事なんだけど……
ただソラがそんな僕におススメしたのには訳がある
無人販売だったのだ
鍛冶屋としか書いていなかったがお店には陶器や食器、装飾品など幅広い物が売っていた
その中に一ついい物を見つけたので買ってしまった
「綺麗だなぁ」
球体の様な直方体の様な立方体の様な
……なんか不思議な物だ
いろんなものを手に取ってみていたのだがコレに妙に惹かれた
ようやく出始めた太陽の光が当たり、虹を創り出していた
プリズムの様な物なのだろうか
なんとなく気に入ったので買ってしまったが、今度アルベリ君にお金返そう……
そんなこんなで僕は日課を終えた
宿に帰ると、またいつの間にか用意されていたご飯がある
菜食中心の食事だが、今日はスープみたいなのにお肉が入っていた
そのお肉を食べながら自分の手を見る
今日やることはもう決めている
能力を使えるようになるまでやってみる事
イメージ、イメージ。
ご飯を口に運びながら魔力を使おうと試行錯誤する。
あの時の感覚を思い出せ。
(ん~難しい。)
無我夢中だったからなぁ。
氷、寒い、冷たい、硬くて、きらきら。
目をつむり、使えない方の手に力を籠める。
縫ってはいるものの血管自体がつながってない。
つまり血液とほぼイコールの関係にある魔力の丁度いい放出口のようになる。
偶然の状況、まさに怪我の功名。
魔力は放出され、形を成す。
「わっ、できた。」
氷の塊がコトッと落ちる。
何気なく氷の塊を手に取る。
冷たい、ちゃんと氷だ。
嬉しさに頬を緩めつつも、感覚を忘れないように反復して練習する。
一時間たつ頃には部屋一帯に大小異なる形様々な氷の塊が転がっていた。
「やりすぎたかな……。」
辺り一帯が氷で包まれているせいで真冬を思わせるほどの寒さを誇っている。
消し方もわからないのでどうしようかと考えているが何も思いつかない。
それに氷柱みたいなのを作って飛ばして遊んでいたら壁に傷付けちゃったし。
あ~どうしよう。
……そういえば春とか秋の能力もあったっけな?
でもイメージ難しいな。
技名付けたらイメージしやすいってアキラさん言ってたよな……よし。
まずは基盤から考えてみようかな
僕は英語できないからな……
四季、士気、指揮、式……式、良いな
なんか語呂がいいぞ
四季・冬式……!
うん、なんかしっくりくる
これでやってみよう
「四季・春式 春風」
声に呼応するように暖かな風が吹く
暖かな風は氷を溶かしていく
そう、溶かすのだ
消すではない
つまり……
「水浸しだっ! やばい」
やばいやばいどうしよう
それよりも能力も止まんない
どうやって止めるんだ?
あれ……なんか……意識が?
視界が揺れ足に力が入らなくなる
その感覚には既視感があった
これ……また……
水浸しの部屋の中でマサミチは意識を失った
壊れた蛇口のように魔力が溢れ続けた事が原因の魔力欠乏
それがマサミチの気絶の理由だった




