幕間 めんどくさい
「おいレリエ。反省は終わったか?」
私は門にいる審査員に声をかける
「ハッ反省なんてしないさ。ただまぁ良い休暇にはなったかな」
男は目深にかぶっていた帽子を脱ぐ
金色の目を際立たせるような髪が露わになる
落ち着いた砂の様なアッシュブラウンに二つの鮮烈な色が混在している
深海の様な蒼色が一筋のメッシュとして流れ込み、左側には夕焼けの残り火のような赤が大担にその存在感を際立たせている
「相も変わらず綺麗な髪よね」
私だって手入れとかしているのに……
コイツ、ナチュラルでこれだからなぁ
っち
「俺はこの髪あんま好きじゃないんだよな」
指先で自分の髪の毛を弄びながらけだるげに言う
何やっても絵になるの腹立つな……
にしてもアイツの髪は綺麗で、儚い
エレナが生きてた時は自慢の髪だって元気そうに言ってたんだけどな
今になって何を言っても時間は戻らないさ
「ほんと、ツラも良くて髪も綺麗なのに勿体ない。その卑屈さがなくなれば……っていうかそんなことはいいんだ。仕事だよレリエ」
仕事と言う単語に目を細める
「またか、結局はこうなるんだな」
「そういうもんだ。諦めろ」
ため息をつき傍らにあった仕事着を羽織る
「……アンタまた隈深くなったんじゃないの?」
そうかい?と首をかしげるレリエの足はふらふらしており、まさに生気を失った屍の様だった
仕事のストレスのせいで色素が抜け落ちた髪がゆらゆらとゆれる
白い稲妻が落ちたかのような白い髪が風に揺られて少し逆立つ
「仕事仕事仕事――あぁ、束の間の休みが終わる。どうせ現実に引き戻らされるんなら夢なんて物要らないよ」
大きく腕を空に掲げ、今は亡き恋人の名前の頭文字を彫った手にキスをする
自分が殺した恋人の顔が浮かんで、消えた
ユグレシア王国騎士団最高戦力の一人 〝獄長〟レリエ・フェリップスは怠惰な一日を過ごす
仕事の重圧から逃れるために――




