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いざ入国!

「ほら、着いたよ。」

 フードを被ったソラは大きな城門の前に立つ


 昨日の騒動の後、一日だけ部屋を貸してもらったから野宿することは無かったけど

 ……正直言ってあんまり眠れなかった

 いろんなことがたった一日で起きたんだ

 興奮が冷めなくてずっと起きていた

 幸い眠気もないし大丈夫だろう

 

 僕は今、ユグレシア王国に入るための正門にいる。


 さっきまでいたアイゾメさん達のアジトから結構遠いところにあった

 だから走ってきたんだけど、そのせいで若干汗ばんでいる

 服が肌に張り付いて気持ち悪い

 だが、城門を吹き抜けてくる風が心地いい

 不快感と爽快館のシーソーみたいなものか


 それにしても大きいな

 聞いた話によると世界最大の国だったっけ

 いざ見てみるとスケールの違いに驚かされる

 僕が何人、何十人と上に積み重なっても十分の一の高さにすら届かない


 それに、慣れてきたからわかる

 コレは全部魔力、能力でできているものだ

 単に石を積んでいるように見えるけど

 中にはすごく細くて丈夫な魔力が複雑に絡み合ってる

 どんなことがあっても崩れないんじゃないか?


「おいマサミチ。そろそろ入るぞ。」

「うん。」

 ボーっとしている所、後ろからアルベリに押され我に返る

 来る途中に聞いたからわかっているが、新規入国はかなり難しいらしい。

 純人族は尚更だ。

 入る方法は二つ、内一つは荷物や奴隷、すなわち物としての入国だ。

 そしてもう一つは……。


「ん?おい。そこの、入国履歴と退国履歴がないぞ」

 目深にかぶった帽子の隙間から鋭い眼光が飛んでくる


「おい。そいつは俺の客だ」


「ラーフィットの客だったとしても入国は罷り通らん」


「わーってる。ほらよ」


 無造作に取り出した麻袋を入国審査員に放り投げる

 ジャラリといった金属がぶつかる音が微かに聞こえる


「――別にいいか。おい、そこの。」


「はい。」


 茶色の紙をずいっと差し出される。


「自分の名前を書け。その後にここに血を垂らせ。」


 差し出された紙には赤色の変な模様の描かれていた

 名前を書いた後、来る途中に練習した能力を使い、小さな氷のナイフを創り出す

「あ。お前、能力持ちか」


「え?あ、はい。」


「使うのはいいが見せびらかすなよ。近頃面倒な奴らもいる。それに一部の奴らは能力を一瞬でも使ったら交戦の意思アリとみなし、攻撃してくる奴もいるからな」


「そうなんですか。教えてくれてありがとうございます」


「俺が入国を認めたやつが問題を起こして上にどやされるのは嫌なんでね」

 血を垂らした紙を渡し、礼をする。

 別れ際にちらりと見えた金色の目がなぜか妙に気になった


「どうしたの?マサミチ君。」


「ごめん。すぐ行くよ。」


 止めていた足を動かす

 そうして僕は門を潜り外に出る

 太陽の眩しさに目を細めながらも足を踏み出す








「うわぁ、綺麗」


 眩しさに目が慣れ、あたりがよく見えるようになったことで絶景が視界いっぱいに広がる。

 圧倒的大きさの樹

 あれが世界樹、ユグドラシル

 世界樹を取り囲むようにお城もある

 遠目から見てもすごく綺麗で華やかだ


 大半の建物の屋根が赤一色なのもとても綺麗だ

 あっそうだ

 どこかで見たことがあると思ったけど

 世界の絶景百選に乗っていたモン・サン=ミッシェルにとても似ている


 闘技場みたいなのもあるし

 宿、店、川それに牧場

 夢のような景色だ

 

「ははっ。そんな気に入ったか?」


「うんっ。こんな綺麗な景色初めて見たよ。夢を見ているみたいだ」


 天真爛漫な笑顔を見せ子供のようにはしゃぐマサミチにソラは頬を緩める


「よし、それじゃあ早速宿に行こうか」


「だってよ。マサミチ。行こうぜ」


 物珍しそうにあたりを見回すマサミチ静止し、目的の宿に向かう。





 宿屋にて

「おお、中々に綺麗じゃねぇかよ。」

「そうだね! アルベリ君。」


 宿に着くなりはしゃぐ男共を手刀で静止する。


「マサミチ君はともかくアンタは落ち着きなさいよ。周りのお客さんがびっくりしてるじゃない」

「だからって叩くなよ。マサミチの事見てみろよ。頭押さえてうずくまってんじゃねぇか」

「あっつい癖で」


 うずくまっているマサミチの頭に手をかざし能力を使う


「はい。痛み取れたでしょ?マサミチ君もはしゃいでないで部屋いくよ。」


 先ほどまで痛んでいた頭をさすりながら予約していた部屋へと向かう

 その部屋は僕が一週間〝一人〟で過ごす部屋だ


「よし、荷物はここでいいか?」


「うん。ありがとうね。何から何まで。」


「いいって事よ。」


 ユグレシア王国はとてつもなく広い。

 広いが故に区画分けされている。


 僕が今いるのは城下町・下層

 そこにある下層最大の宿屋である〝親睦の宿〟の一室にいる


「ここの雰囲気結構好きなんだよね。名前もユニークだし。」


「ああやっぱりか?神木と親睦かけてんのかなって思ってたんだけどあってたか」


「そうだよ。それに下層で唯一〝根〟の影響を受けてる場所だからね。ちょっと特別なの」


「根ってもしかして世界樹の?」


「そうだよ。世界樹の根には疲労をとったり軽い傷ならすぐにふさがっちゃう、そういう恩恵で満ち満ちてる。言わば生命力の塊みたいなものだよ」

 だからここの宿に泊まったのか

「一週間もいれば少しは治るかなって事だよね」

 動かせない指をプラプラさせながら言う


 この世界に来て初めて、僕は一人になる

 アルベリは元々ソラの家に二日間だけ滞在するだけの予定だった

 貴族だから色んなところに行って色んな事をしなくちゃいけない

 グレイも同じだ


 ソラは僕の手を治すために知り合いを訪ねるらしい

 そのための準備に何日もかかるらしく僕と一緒にいることができないという事だ

 ちなみに何でフードを被っているのかを聞いたら「秘密☆」とはぐらかされた


「ホントに大丈夫かよ。一週間も知らねぇ所で過ごせって言われたら結構きついぜ?」


 アルベリは心配している

 僕が頼りないからじゃなく、純粋に

 ちょっと嬉しい


「うん。わかってるよ。だからさ、コレあげるの」

 そう言ってソラが渡してきたのは不思議な形をした木の幹と大きな紙だった


「何これ?」


「それはお守りと地図。地図にはソラさん的オススメ観光スポットについて書いてあるよ。お守りの方はとってもヤバいよ危ないよって思った時にそのお守りを胸に当てて私の名前を呼んで。すぐに行って絶対に助けるからさ」


「わかったよ。ありがとうね、ソラさん。」


「飯や金ン事は任せとけよ。外に出て食うもよし、部屋ン中でじっとしてても飯が出て来るように手配しとくからよ」


「それもありがたいけど……なんか申し訳なくなってくるな。助けてくれたお礼もまだ返せてないのに」


「なぁ~にいってんだ。困ったときはお互い様、支えあって生きていくのが人間だろうが」


 またカッコイイ事言ってるなぁ

 そんなことより叩かれてる背中がヒリヒリするからやめてほしい


「何はともあれありがとう。僕は大丈夫だよ」


「んー。それでもやっぱ心配だなぁ。無理して外でなくってもいいからね?自分に合ったスピードで慣れていけばいいから」


「大丈夫だって。それにソラさんは僕のために動いてくれるんだから他の事は僕一人でやるから大丈夫だよ」

「いやぁ。でもさぁ――」




 小一時間ほど心配されたが最終的にはグレイの糸でぐるぐるにされて引きずられていった

「心配だよぉー。無理しないでねぇー。ばいばーい」


「あ、あはは……バイバイ」

 嵐が去った

 心配してくれるのはうれしいけどそこまで信頼されてないってのはちょっと悲しいな

 でも心配されるのは僕がまだ何もできないからだ

 一週間、無駄にするのも生かすのも僕次第


 やってみよう

 何事も挑戦からだ


貨幣価値は日本と同じで円を使っていますが、アルベリは面倒なので実家から金属などの高価なものを支払って過ごしています。

もちろんお釣りはないです

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