便乗
それから時間はあっという間に経ち6日経過した。マナとエリカの修行のおかげで自分は格段に成長できたと実感していた。その証拠に魔法の複数使用を3つまで同時に使えるようになり今は4つ目に挑んでいる。
「はあああ!!」
今は、エリカの訓練のメニューの一環である身体強化と武装強化の2つを使ったまま素振りを1000回をこなしている最中なのだ。
「声を出すだけの体力がまだあるそうだな」
「そうですね。もう100追加しましょうか」
いっつも修行の方針でもめているのに何でこういう時だけ生き合っているのかなあの二人わ!!
懸命に剣を振りながらもそんな雑念を捨てて集中する。何も考えないではなくたた体に剣に魔力を流す事だけに集中して剣の振り方も教わった通りに繰り返していく。
主様がこちらの話声を聞いたのか集中力が上がったのを感じる。隣にいるマナと方針について今も意見を交わし合っているがやはり彼女は人を育てたことがあるのだろう。それについては私よりも先見の目がある。
「しかし、小僧のあの集中力は異常ね。一つの事を黙々とこなしていって空間魔法を教えている時も結局倒れるまでやっていたから」
「そちらでもそうなったんですね」
彼女と話している内容は主様の異常なまでの集中力についてだ。私との稽古の時ですらこちらがペース配分を調整しなければ倒れてしまいそうになっているのだ。
「あれは、小僧自身の長所であり短所になりかねん。こちらで調節してやらんと一生同じことをして倒れえるだろうな」
「そうですね・・・つたえますか?」
「いや、小僧の呑み込みの速さはそれによることが大きい私達で上手くやっていけばいい。それにそろそろ頃合いだろう」
マナの言葉から察することは出来るが確かに今の主様ならば10階層は突破可能なほどに成長している。空間魔法の方も順調だと言う事だし確かに頃合いなのだろうが
「まあ、楽な戦いではないにしても6対4で小僧が優勢だろう。悪くても五分五分だ。それぐらいの苦戦がないと勝った時の達成感も経験も手に入らんしな」
「そうですね」
達成感はどんな時だってそれまでの成長の実感する一番の目に見える成果である。だがそれがないとどうしても調子に乗る人とはこの世界にはよくいるものだ。
「優秀な者が無能になる一番の理由は自身の身の丈に合っていないことをしようとするときだからな。ここが頃合いでしょ」
そんな話をマナとした私は素振りをしている主様にこれからのことを話すことにした。
素振りをしている中でエリカはこちらに話した内容は明日の星の開拓者の踏破に便乗するとの内容だった。こちらはあまり目立ちたくないから踏破するにしたとしても別の日にしないかと言ったのだが
「そいやつらが踏破した後に続くように進めばいいしこれから先の事を考えるなら少しは名前を覚えられるぐらいが丁度いいのよ」
マナがそう言った。これからの事を考えるなら確かに少し名前を売るぐらいは考えてはいた。本格的に名前を売るのは中級冒険者ぐらいからでいいと思っていた。エリカもマナもその意見には賛成らしく今回はそんな名前がいたな程度の活躍をするってことで明日に備えることになった。
夜が更ける中でも騒がしい場所はいくつもある。そんな中でしみったれた空気を放ちながら席を囲む男達が居た。
「くそが!調子に後やがって!!」
その男は酷く寄っており酒を飲みながら文句を言っていた。冒険者になったものの目立った成果を上げれずに10階層を突破できないでいる。そんな男に周りの仲間達も自分達の力のなさに酒の席で嘆いていた。
「もうすぐ1年になるのに俺達は10階層もあがれてねえ・・・このまま終わっちまうのか」
「馬鹿野郎!何弱気になってんだ!この都市に来たのだって一旗揚げる為だろうが!」
「・・・でも俺達よりも後に入った新人の中にはもう新米ダンジョンを突破したって」
冒険者の間では1~9層までを新米ダンジョンと言われておりその場所で足踏みしている冒険者をあざけわらっているものも多い。彼らも田舎から上京してきたのだが全く成果が上がらず周囲からもあざけ笑われていた。
「ここが最後のチャンスなんだ!何としても10階層を踏破しないと俺達は・・・」
もうまともなお金も残っていない彼らにとって今回の星の開拓者の踏破は最後の機会でもあった。負ければ死ぬか死ぬよりもみじめな生き様をさらすことになってしまう。どうすればいいか分からずに無力感に打ちひしがれていた時だった。
「おいおい、何しけた面してんだあんたらは」
いきなり声をかけて来たのはこの店で飲んでいたんであろう酔っ払いだった。身なりからして冒険者ではないようだが
「おっと失礼、俺は商人をやっているもんでね。あんたらの辛気臭い顔を見ていたらもしかしたら商売が出来るんじゃないかって思ってよ」
「そいつは残念だったな。あいにくまずい酒しか飲めないぐらいに金はねえ」
さっさと失せろ。と思いながら怒気を込めて言うがそいつは開いているイスに座ると話を勝手にし始めた。
「まあまあ、そう言わずに聞いてってくれよ。俺が今回仕入れた商品はとんでもない物なんだ」
そう言って取り出したのは何かの飲み物だった。回復薬ではないが一体なんだ。商人は小声てこれについて説明した。
「こいつはな、昔の戦争に使われていた劇薬でよ。飲めば怪力無双にして1日中走っても疲れなくなるって言う薬なんだ」
「そんなばかな」
「そう思うのは無理はないがマジなんだよ。ほれこれ見て観」
そう言って次に取り出したのは何かの紙であり書かれている内容はこの薬の正式に認可が下りている証明書だった。その内容には効果なども細かく書かれていた。
「丁度、明日には凄いイベントがあるんだろ。もし良かったら兄さん達よこれ使ってみないか」
「・・・何が狙いだ」
「狙いはあんたらがこれを使ってくれれば俺の名前が売れるからさ。言わば敏捷しようと思っているわけ他にもあんたらみたいに燻っていた連中にも渡してあんだ」
この薬さえあれば俺達も10階層を踏破できるのでは今まで馬鹿にしてした連中を見返すことも出来るのではと思い始めていた。他の連中は既に薬に興味を示している。
「まあ、頑張ってみろよ。ここが最後のかけ時だぜ」
陽気に言うその商人にはこちらにとって救いの手を差し伸べて来た。




