新しい仲間 新しい出来事
意識を失ってからどれぐらい寝ていたのだろう。重たい体とは対照的に後頭部は柔らかい感触がする。目を開けると誰かの膝の上と言う事が分かり声を出す
「えっと・・・どちら様?」
「フフ、対価を払う相手を忘れてしまったの」
その声には聞き覚えがある。今まで頭の中で会話をしていた人物だ。申し訳ないのだがご立派な胸のせいで顔が見えないので体を起こそうとするが体に力が入らない。
「無理をするな。魔力をすべて使ったあげく使い方も分からない能力を無理やり使ったから体が反動で動かないのだ。それに両腕を見てみろ」
そう言ってくるマナさんに首だけを動かして腕を見て観ると包帯で巻かれていて何かの魔法をかけられていた。
「回復魔法をかけている。エリカという小娘も薬草を探しに今出向いて・・・」
「主様!!」
いるっと声を出そうとした時だった。エリカは何処からか一気に現れて心配そうにこちらを見ていた。
「エリカ、ごめん、心配をかけたね」
そう言って体をもう一度起こそうとするとエリカがそれを支えてくれた。体を起こすことが出来たおかげて膝枕をしてくれた人の顔をちゃんと見ることが出来た。
エメラルド色の長い髪と透き通った水色の目が特徴の女性は一目見ただけで息を吞むほどの美人だった。ドレスの様な印象的で何処かのお姫様なのではないかと思ってしまう。
「貴方が」
「ええ、私がこれから魔法の師になる存在、マナ・マクスウェルだ。これからよろしく頼むぞ小僧♪」
そう告げる彼女はからかうように自分の事を小僧と呼んで来た。それに対してエリカが反応し
「貴方が・・・主神ゼロスの推薦とはいえ主様に対して小僧呼びはやめてもらえますか。無礼ですよ」
「どうした小娘。小僧は私の為に全てを対価にしたのだ。ならば私も全てを捧げなくては釣り合いがとれないだろ?身も心捧げるのなら何と言っても問題ないでしょ」
あ、あれ?なんか二人の間に火花が散っているのですが・・・というか俺を引き寄せるように持っているエリカの腕の力がどんどん強くなっているけど。
「ふ、二人とも仲良くね・・・」
俺がまともに動けるようになるまでの間、二人はお互いに火花を散らせながら自分の体を取り合っていた。
それから自分達はエリカが倒しまくった魔物を空間収納で全て回収した後に何事もなかったように正邪大樹界に出入り口にたどり着く。門番には森で何か大きな騒ぎがあったが大丈夫かと言われたが何もなかったと答えた後に人気のない場所から一気にセイディオ都市に空間転移した。
一気に自宅まで戻って来た。いや~本当に一回行ったことある場所ならこれだけで戻れるんだからチート能力なんだよな。
「本当に一瞬で戻ってこれるのだな。それにここが小僧が住んでいる家なのだな」
「はい、もう一人アロン先生という仲間がいます」
「そうですね。主様の怪我もありますし私が探してきますね」
そう言って家の中に入って行ったエリカとは別にマナさんは周りを見渡している。そう言えばここに来る前も街を見まわしていたな。
「どうしましたか?マナさん」
「いやなに一万年も経っているから不思議な感覚なのよ」
そうか、マナさんにとっては一万年後の世界を見ているものだ。今の世界に対してどんな思いを持っているのか自分でははかる事すらできないのだろう。
少しして奥からエリカとアロン先生がやって来る。両腕の包帯を見たアロン先生はとても取り乱していたが回復魔法をかけてくれたおかげで日常生活には支障がないほどには回復したことを伝えるとホッと息を吐いて落ち着いた。
その後に夕食を食べてながら都市で何か新しい情報はないかを聞いてみた。
「それならば、踏破の時期が決まりました」
それは噂にしかなっていなかった星の開拓者の踏破が確定したというものだった。なんでも今回は新人たちの10階層の大部屋に挑むとのことで周りの冒険者もそれに続けとその日にダンジョンを踏破するらしい。
「ふむ、話を聞くにその日に大きなイベントがあると言う事だな。時にアロンよ。今の冒険者はどれぐらいまでダンジョンを上っているのだ?」
「現在は星の開拓者の58層が記録になっていますね」
「・・・・は?58?・・・まさかそこまで人類の質が落ちているとは」
マナさんに言い方からして58層は思っていたよりも低かったらしい。1万年前はどれぐらいの強者がいたのか個人的に気になる。
それを聞いてから何かを考え始めたので自分もアロン先生に質問する。
「そう言えば、その日っていつになるんですか?」
「今から1週間後になりますね。都市はそれに向けてお祭り騒ぎです」
大手クランの踏破はどうやら一大イベントでもあるらしく発表されれば祭り騒ぎになるとの事だ。まさか新米の冒険者でそんなことになるとは・・・大手の影響力は計り知れないのだろう。
「あ、それとダンジョンって何層あるの?今まで具体的に聞いていなかったから気になって」
今までは死なないように修行でいっぱいいっぱいだったからそんな当たり前のことを聞くのを忘れていた。
「うむ・・・伝承では12の魔王を倒しっと書かれているのでダンジョンには12の大部屋があり120層あると言われていますね。そこのところどうなのでしょうかマナさん」
「ああ、120層で合っているぞ。魔王って言う言い方は昔の人が大部屋にいる魔物の事を魔物の王と思って付けた名称だからね」
120層、まだまだ先も見えないほどだけども自分は必ず。ダンジョンを上り切って見せる。
心の中で決意を決めて明日に備えるのであった。




