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手紙

 攻略から戻った自分達は、冒険者協会で魔石を換金しそのまま宿に帰った。そのまま食事をしながら今夏の反省点をエリカは上げていきこれからの事を話始める。


 「ダンジョン攻略はまた今度にしてこれからある事を学んでもらおうと思います」

 「え、この勢いで行くものだと思ったけど何を学ぶんだ?」


 エリカの話によると今の自分は剣に頼り切った戦い方をしているとの事らしく。実際のところはあんなにスパスパ魔物を切る事なんてできないし手入れなどをしないでもいい時点で破格の性能の剣だと言う事らしい。ばれたら奪っても欲しがる人が出るほどだとか。


 「なのでこれからは武器に魔力を纏わせる。身体強化魔法から派生した武装魔法を学んでもらいます」

 「武装魔法」


 戦闘において武器を使う人は身体強化と武装魔法の二つを同時に使って戦って初めて半人前との事らしい。


 「あくまで半人前というのは一般的にという意味ですけどね。それからさらに色んな魔法やら道具を使って自分だけの戦い方を模索していった先に一人前になって行くんです」

 「それじゃあ、自分はまだ三分の一人前と言う事なんだな・・・もしかして稽古の時に自分の剣だけが壊れていた乗ってその武装魔法を使ってなかったからなのか?」

 「そうですね。ですがこれからの修行は更は難しくなります。なんせ二つの魔法を常に発動し続けなければならないのです。この技法を二重魔法(ダブルマジック)と言って難しいんです」


 常に二つの魔法を発動し続ける。自分は強化魔法をしている時に斬空や空間転移をしているがそれはその一瞬使っているだけで常時使っているわけではない。確かに難しそうだ。


 「寄り厳しくなりますが頑張って行きましょう」

 「・・・ほ、ほどほどにね・・・」


 今もスパルタなのに更にってスパルタンにでもされるのだろうか。そんなこんなで今日が過ぎて行った。


 それから数日が過ぎ今日はお互いの為に休みの日にした。エリカは自分について行くと言っていたが女の子だし何かとしたいこともあるだろうと思ってお金を渡して隙に都市を見てきていいよと言った。そんなこんなで一人になり自分も何をしようかと宿を出ようとした時だった。


 「お、ソウマ君、ちょっといいかな」

 「なんでしょうか?」


 そう言って自分を止めるのはこの宿の店主さんだ。すると店主さんは一枚の手紙を俺に渡してきた。


 「あんたに渡してほしいってこの手紙を預かったんだ。持って行ってくれ」


 そう言って手紙を受け取った自分は、警戒した。なんせ自分に知り合いなんているわけがないからだ。それなら誰だと思い当たる点を探っていくが思い当たらない。警戒しながら中身を開けると


 『エリカ・リーバについてお話があります。時間がありましたらここまで来てください。いつでも待っています』


 そう書かれたその手紙を見て今日の自分の予定は決定した。


 罠かも知れないことを考慮していつでも逃げれる準備をし手紙に書かれている場所に向かう。エリカに言うべきなのだろうが手紙のあの書き方からして余りエリカには知られたくないのだろうことを考慮し一人で来た。


 「いらっしゃいませ。お一人ですか」

 「いえ、待ち合わせです」


 そう言って店の中に入り指定されていた席に向かうとローブを来た人が座っていた。


 「・・・あなたが手紙の差出人ですか」

 

 そう言うとローブを着た人物が動き顔が見えた。60代近いその外見は少しやつれているが優し気な男性が座っていたのだ。


 「おお、君がエリカちゃんの・・・すまなかったなあんな手紙で呼び出してしまって」

 「それはいいんですが貴方は?」

 「儂の名はアロン・ダイナー。かつてエリカちゃんの父、カール・リーバの師であり、一時期エリカちゃんの指南もしていた老兵崩れじょ」


 なんとエリカの師匠が現れた。


 少しして紅茶が運ばれてきてお互い相対するように座る。アロンさんは紅茶を少し含み自分が話すのを待ってくれている。


 「・・・それでアロンさんはなんで自分を呼んだんですか?」

 「そうじゃな・・・なら単刀直入に君に聞きたい。エリカちゃんを奴隷から解放する気はあるのかな」

 「え?」


 奴隷解放について聞いて来た。なんでそんなことを聞くのかと思ったが彼の目には鋭くこちらを見ている。答えない事は許さんと言わんばかりだ。よくわからないが俺は今思っていることを率直に答えた。


 「奴隷解放についてはすいませんが今は出来ません。自分にはどうしても成し遂げたいことがあって彼女にはその為に力を借りているんです」

 「成し遂げたい事とは?」

 「ダンジョンの最上階を目指してます」


 目を丸くするアロンさんに自分は続けて話始める。


 「自分はどうしてもダンジョンの最上階まで行って叶えたい願いがあります。その為に彼女には自分の剣の師匠になってもらっています」

 「エリカちゃんが師匠」

 「はい、自分に戦い方を教えてくれているんです。すっごくしごかれていますが充実もしています。彼女とダンジョンの中に入って一緒に戦って・・・というより自分のサポートをしてもらってます。いつかは彼女と一緒に戦えるように今も日々精進している次第です。なので今は奴隷解放できません」


 そこまで言って自分はアロンさんを見る。アロンさんも自分を見てこちらを品定めしているように見える。


 「エリカちゃんにダンジョンを攻略してもらおうとは思わなかったのか?」

 「俺が叶えたい願いがあって付き合って貰っているんです。それなのに俺が戦わないのは筋が通らないと思っています。なのでそれが叶う時までは奴隷解放はできません。こちらにもそれだけの事情があるので」


 自分は、言いたいことを統べて行ったあとに少し考え込むそして数分考えた後にアロンさんは重い口を開けて聞いてくる。

 

 「最後に聞きたいことがある。エリカちゃんを愚弄し辱めようとは思っていないのだな」

 「そんなことは全く思っていません。誓ってもいいです」


 自分は即答し答えるとまたアロンさんは黙って考え始める。そうしてまた紅茶を含むと深く息を吐いて安堵の表情を浮かべた。


 「そうか・・・エリカちゃんは良き主を見つけたのだな」

 「そうありたいとは思っていますけどまだまだですよ」


 笑みを浮かべるアロンさんは今まで張りつめていた物が一気にほどけたのか体から力が完全に抜けていた。


 「あんなことがあった後の奴隷として売られたからな・・・心配していたんじゃ」

 「あんなことって何があったんですか?どうしても本人からは聞きずらくて聞いていないんですよ」


 そんな質問をした途端、アロンさんの顔が自分に向けられる、その顔はまるで何も事情を知らないのか?という疑問と困惑がこもっているものだった。


 「お主、本当に何も知らないのか。あの子が奴隷に落ちた理由を()()()()()と言われていることも知らんのか」

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