ボス部屋に居たのは……フェニックス!?
フェニックスだと!?普通もっと下層の方にいるもんだろ!フェニックスって中、上級モンスターだぞ。
そうだ。こういう時は、【鑑定】!
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フェニックス 鳥型の魔物
体に炎を纏わせている。
これ以上の情報はスキルレベルを上げないと表示できない。
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……今までのモンスターとはわけが違うってか。いいじゃん、面白いねぇ!
俺は逆境に燃えるタイプなんだよ。
今そんな話せんでいいやろ!って思われるかもだけどさ、体育祭のリレーとかも1位で回ってくるより4位で回ってきたほうが面白くない?
だって、1位キープしただけでは喜ばれないけど、たくさん抜いたらめっちゃ盛り上がるやん?
俺はそーゆータイプ。
やつは今、悠然と空を飛んでいる。炎に包まれたその体は軽そうでどっしりとしている。
とても鋭く、鉄すらも引き裂きそうな鉤爪。ふわりとしているがぎっしり生えている羽。そのどれもがやつが強者だと示している。
でも、なぜだろう?あんまり怖くない。なんならワクワクする。
あぁ、どんな攻撃をしてくるんだろう。どうすれば攻撃を当てられるだろう。どう連携を取ろう。
考えれば考えるほど鼓動が鳴り止まない。もう…だめだ。我慢できない。
「声を通じて連携したくない。」
思ってたことがするっと口から出てきた。
2人はちょっとだけ驚いたような顔をしたがすぐに笑った。
「おうよ!」
「おっけー。」
やっぱりこいつらとは心で分かりあえる。
「よ〜し、やるぞっ!」
俺の掛け声をきっかけに俺達3人は一気に畳み掛ける。
力を抜く。リラックスする。ゆっくり走りながらスピードを上げていく。自分で自分がノッていることがわかる。
まぁ俺、陸上部だったからな。あの頃は退屈だったけど、唯一走ってる時は楽しかったな〜。
陸上部でそこそこ楽しくやっていた時の事に思いを馳せさらにスピードを上げる。
周りの音が聞こえない。聞こえるのは自分の呼吸だけ。
たんっ、たんっ、たんっと一定のリズムで体の真下に接地していく。
気がつくとものすごいスピードになっていて、フェニックスまであと20メートルくらいになっていた。
すかさず、クラウ・ソラスを体の前でクロスして構える。
本来だったら厄介なはずの炎も、多分大丈夫だな。そう感じるのだ。
フェニックスに向かって走りながら剣をもう一度構え直す。
そして、思いっきりジャンプした。走ってきた風圧で炎が弱まる。そこに双剣モードのクラウ・ソラスで斬りつける。
「グワァァァァー!!!!」
余裕な顔してたフェニックスも顔をしかめながら鳴いた。
斬りつけたあとに少しして後ろから永遠がやってきた。
「ふっ!」
溜めて突き出す。永遠は気迫のある突きを喰らわせた。
「グガァァァァ!」
フェニックスは更に顰め面になって空へ羽ばたいた。一旦俺達から距離を取るつもりのようだ。
そこへすかさず結菜が3本の矢を立て続けに放つどれもフェニックスに命中した。
…だが。
「ギィギグァァァァーーーー!!」
フェニックスはとうとう怒った。それに伴い体にまとっている炎も激しく爆ぜた。
__そこからが長かった。何度も斬撃を喰らわせているはずなのに全然弱らない。なんなら体の炎がどんどん強くなっていく。
もう、何十回もしかしたら100回目くらいかもしれない攻撃をする。
手応えはあるが聞いている感じはしない。
スキル、【身体強化】!
『吸収』スキルでオークから得たこのスキルは色々な所に使えるからなかなか良い。
身体強化は1分くらいしたら強化が解けるからまたかけ直す。
【軟体化】は、体がめっちゃ柔らかくなるけど使い時によっては逆効果だからな。
【状態異常無効】も、今使ってもあまり意味がないと思う。やけどを無くすとかあるかもだけど、どうせ炎に当たったら丸焼けだし。
【仲間を呼ぶ】は、うん。すでにここにいるしって感じだね。
ということで【身体強化】で全能力を少しだけ上げながら何度も攻撃を仕掛ける。
……を繰り返してるんだけど埒が明かない。もしかしたらもっと長期戦になるかも。
はぁ〜。がんばりますか。