《鑑定》スキル
ダンジョンにも慣れ、魔石もたくさん集まった頃。
「ここらで一回休憩にしない?」
永遠がそう言う。確かにそろそろ集中力的にも体力的にも疲れてきた。
「「さんせーい」」
ダンジョンには、休憩出来るような場所がいくつかある。今回はひらけていて、土が露出しているところで少し休憩させてもらう。
「まず、損耗チェックをしよう。矢とか、魔力、体力とか大丈夫?」
俺がそう聞くと、
「「大丈夫で〜す!」」
「でもそろそろお腹へってきた。」
結菜は意外と食いしん坊だ。(意外か…?)
「ダンジョンでお腹空くだろうと思って準備してきたんだ。」
永遠はいつでも準備がいい。
「ほら。」
と言って永遠が取り出した物は鍋だ。
「えっ、まさか準備してきたのってこれだけ?」
結菜が躊躇なく、正直に思ったことを言う。
「なわけないだろ。」
永遠がそう返す。
これは、もしかして……
「アーティストファクト?」
「そう、この中に食材を入れると料理ができるっていうすぐれものだぞ。」
「……食材もってる?」
永遠が不安そうに聞いてきた。
えっ、もしかして…
「ダンジョン内で食材とれると思ってた??」
「うん…」
「「もしかしてご飯食べられない?」」
「……」
永遠はたまに、抜けているところがある。
「あっ、食材あった!」
結菜がそう言ってアイテムボックスから取り出したのは、米。
「ナイス過ぎる!」
と言ったら、
「まぁね。」
と鼻高々に返された。
でも、やっぱりおかずも欲しいよね。
すると永遠が周りをキョロキョロし始めて、何かを見つけたようだ。
「あっ、キノコ生えてる!」
俺と結菜も勢いよくそっちを見る。
そこには白っぽい色をしたキノコがたくさん生えていた。
「でもさ〜、キノコって毒あるかもじゃん?資格をもっていないと食べちゃだめ、って聞いたことあるよ。」
珍しく結菜がまともな意見を出した。
「そうだよな〜。死んだら意味ないしな〜。」
永遠も頷いている。
毒があるかないか見分けられたらな〜。そう思った。あっ!!!《鑑定》があるじゃん!
「俺、鑑定スキルがあるからそのキノコ食べれるかどうか見てみるわ。」
「「頼んだ!」」
スキルは初めて使うな。ちょっと緊張するけどワクワクする。
「《鑑定》!」
_______________________
エリタケ 食材
特徴 体力の回復に役立つ。毒はない。繁殖しやすいため、一つエリタケを見つけたら近くにたくさんある。
_______________________
へぇー!結構色々な事が分かるんだな。便利じゃん鑑定!
「毒はないみたい、体力回復に役立つだってさ。」
「じゃあ、食べられるじゃん!やった〜!」
結菜がいつも通り騒いでいる。
「じゃあ、あの木の下の日陰で休もうか。」
永遠がアーティファクトの鍋を使う準備をしながら言った。
「「オッケー。」」
しっかし便利だな〜、鑑定。こうなるとそこら辺のやつも鑑定したくなるわ。あと、声に出さないと鑑定できないのかな。
試してみよう。えっと、《鑑定》!おっ、できた。心の中でもできるなんてさらに便利だな。ん?どれどれ、
_______________________
トレント 木型の魔物
木、そっくりに擬態して人を襲う。上級者でなくては気づかないほどなのでダンジョン内で木を見つけたら注意が必要。
_______________________
へ〜!そうなんだー!ためになるな〜。っじゃなくて、魔物じゃん!?
「2人とも、この木トレントだ!!」
急いで知らせようと叫んだ。
2人は俺が叫んだのが聞こえたようで、すぐに戦闘態勢に移った。
気づかないから脅威なだけで、その後トレントはすぐに俺達の餌食となった。
「蓮、助かったよ〜!」
結菜が驚き半分感謝半分な様子で伝えてくる。
「なんでこの木がトレントだってわかったんだ?」
永遠も気になっていたようで俺に聞いてきた。
「《鑑定》スキルのおかげだよ。魔物も鑑定できるみたいだ。」
「蓮がいなかったら全滅だったかもしれない、これからも気を引き締めて行こう!」
「「おー!!」」
そう言ってご飯の準備に取り掛かった。