アイラとの世間話
俺はギルドの立派なドアを開け、中に入った。辺りを見渡すとかなりたくさんの冒険者の人達がいた。
…まぁ、昼だしな。朝ならまだしも1番人が多いタイミングできてしまった。これなら、アイラさんとかと世間話してる場合じゃないな。
そう思って踵を返そうとしたら、肩をポンポンと叩かれて話しかけられた。
「久しぶり!って昨日初めて会ったんだった。」
そう、アイラさんだ。今回は作り笑顔ではなく、もう素の顔だ。心を開いてくれたってことでいいかな?
「あっ、こんにちは。」
探していた人物がなんとすぐ横にいたなんて。灯台下暗しってやつか。俺は続けた。
「今日は鑑定員の仕事は無いんですか?」
「あるけど、今は休憩時間〜。結構つかれるのよね〜。」
なるほど。だから鑑定員の服装なのか。いつも笑顔、アクシデントにも素早く対応、不審人物の確認、などなどやることは山盛り。
そりゃ疲れるわな。俺だったらストレスでハゲる。しかも頭のてっぺんだけ。
「お疲れ様です。」
これは決して煽りではない。俺は実感のこもったような声色でそう言った。
「あら、労ってくれるの?ところで今日はどうしたの?また上級モンスターでも狩ってきたのかしら?」
アイラさんはニヤニヤしながらこっちを見ている。なんなんだ。
「今日は1日暇だったんでアイラさんと世間話でも、と。」
「なるほどね〜。わざわざありがとね!あ、アイラさんって言うの禁止ね。年大して変わらないから。」
アイラさんは仕事の休憩時間でも少し強張っていた?顔が少し緩みながらコーヒーを飲んだ。
「えっ?俺まだ中1っすよ?」
アイラさんはもう二十歳くらいに見えるんだが。
「中1?って何?もしかして異世界の年の数え方かな?」
アイラさんは一瞬、?マークが浮かんでいた。そっか中1は伝わらないよな。…それに、日本は俺にとっては母国だけどアイラさんにとっては異世界。
あらためて、認識を変えていかないといけないという思いを抱きつつ俺は答えた。
「まぁ、そんな感じです。」
「へぇー。面白いね。あっ、年を知ったのは冒険者ライセンスを読み込んだときなんだ。記憶力には自信あるのよ?」
アイラさんのドヤ顔、ばっちり決まりました!!……………冒険者ライセンス、恐ろし。鑑定員さんに対して個人情報がモロバレすぎる。
「私まだ16歳だよ?」
「えっ。」
「えっ、って何よ!私そんなに老けて見える?」
やべっ、純粋な気持ちがうっかり漏れてしまった。アイラさんは割と身長高いからすっかり大人かと…。
「いえ、そういうわけじゃなくて。俺が元々住んでた世界は、基本その年では働かないので。」
ちょっと不安そうにしてたアイラさんは安心したようだ。…年にそこまでこだわらなくても。
「そっか、まだこっち来たばっかだもんね。この世界では15歳から働けるんだよ?」
「えー、そうなんですか。」
って、ちょっと待った。ここで一旦時を止めて。落ち着いて。大丈夫。整理しよう。15歳から働けて、アイラさんは16歳。
……?じゃあ、1年で副ギルドマスターに?それってえげつないよな。えっ?モシカシテコレガコノセカイノフツウ?
「…もしかして、超優秀ですか?」
「おっ、キミ!見どころあるじゃない!…なんちゃって。私、結構頑張ったんだから。」
うん、これがこの世界の普通ではない。絶対。アイラさんは超がつくほど優秀。それが今の私にわかる限界なのです。
「ってことで、敬語禁止ね!」
「えっ、でも…。」
「えっ、でも…じゃない!ほら、次もし敬語使ったらご飯奢らせるからね!」
「はい…。ってこれも敬語?」
「はいアウト〜。ご飯奢り決定ね!」
しくじったぁ。不意に言葉が出てしまった。今までのコミュニケーション能力が裏目に出たか。
「おっけー。今度奢るわ。」
逐一敬語使わないように気を付けて見るか!多分アイラさんは、俺に気を遣わせないように言ったんだろうな。
「冗談で言ったのに奢ってくれるの?ラッキー。じゃあ、連絡先交換しよ。」
思ってたよりアイラさんは馴染みやすい人だった。少なくとも今話してみてそう思った。あと、根がすごく優しいことも。
「連絡先?」
「あぁ。えっとね、ウインドオープンして連絡って欄あるでしょ。そこから近くにいる人を押して申請を選択する。」
言われた手順通りにやってみた。アイラさ…んんっ、アイラが追加と押したようで、フォン、という音とともにアイラという名前が追加された。
やはり、便利…!もっと機能を確認しなければ。絶対冒険にも役立つしね。
「よしっ、これでおっけー。じゃあ分からないことあったら聞いてね!敬語もダメだからな!」
「了解!」
アイラは仕事に戻るそうで忙しなく鑑定所の方へ歩いていった。アイラって面白い人だな。
俺もギルド内のある方向へ向って歩き始めた。
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