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もっと疲れが…

 鑑定所のお姉さんは魔石を見るなり、血相を変えて飛び出した。


 「少々お待ち下さいっ!」


 どうしたんだ?俺達は顔を見合わせた。まだまだ、後ろには冒険者がいっぱいいる。なるべく早く終わるといいんだけど。


 そう思ってたら息を切らしながらお姉さんともう一人の鑑定員の人がやってきた。


 「ちょっと応接室まできてもらえないかしら?ここは他の担当に任せますので。」


 

 え、もしかして魔物の取り過ぎとか?魔石の数は限られてるから何個以上取ったらダメとか?


 もしそうだったら、聞いてねぇよ!……神様、スキルは最高だけどもっとこの世界の情報をください。


 あれこれ考えながら鑑定員のお姉さん(長いからAさんで。)Aさんについて行った。しばらく歩くとAさんがある扉の前で止まった。


 覗き込むと、そこには立派でゴージャスな扉があった。え?ここ応接室?


 まだ中見てないけどなんかシャンデリアとか吊り下がってそう。そんくらいの雰囲気なんですが?


 永遠もさすがに目が覚めたようで、目を見開いて閉じない。


 「おい、なんでこんなとこ呼び出されてんだよ。何かやらかしたのか?」


 永遠は焦りの混じった小声で聞いてきた。そりゃそうか。こんな部屋に呼び出されるなんてなかなか無いよな。


 …永遠は優等生だったから余計にこういうことなさそうだし。(怒られることに全く耐性がないと思われる。)


 「俺が聞きたいわ!特に怒られることはしてないと思うけど…。」


 途中からちょっと不安になってきて最後の方はめっちゃ小声になった。俺、何かしたっけ?


 「してないと思うけどって結局どうなんだよ!はっきりしてくれよぉ。」


 今にも嘘でもいいからといいそうな顔でそう言ってきた。うわぁ〜、想像以上に怒られることに耐性なさそうだな。


 一方、結菜はもの静かだ。たまにあるんだよな。結菜がうるさくないとき。


 こういう時は弓を握ってるときか、真面目に何かを考えてるときだ。


 「お待たせしました。中にどうぞ。」


 ようやく部屋に入れるようで中に入ったAさんの後に続いた。さて、シャンデリアはあるのか…。(?)


 中を見ると、あれ?思ったよりゴージャスじゃない?よかったー。その部屋は、奥行きが結構あってぴっしりと整えられていた。


 扉から見てめっちゃ豪華そうだったからそんな重要な事かと思った。ん?奥に誰か人がいる…?


 あっ、はい。全然大丈夫じゃありませんでした。はい。やばいかもです。はい。


 部屋の奥には超がつく程の強面で背の高い人がいた。おそらく30代くらいで筋肉もめっちゃすごい。(Bさんとする。)


 「連れてきました。」


 Aさんがため息と共に言葉を発した。


 「おうよ。お前らか。」


 Bさんはギロッと鋭い眼差しでこっちを見た。…この人相当強いな。今の俺なんか比にならない。


 異世界で今まで会った人の中で1番強い。それは絶対に分かる。オーラが違う。


 「とりあえず座りな。」


 俺達はBさんの正面のソファに腰掛けた。あ、めっちゃ気持ちいい。そうして少しリラックスしたところで問いかけられた。


 「お前らは1回層でフェニックスと戦ったと聞いてるが?」


 「はい、1回層のボス部屋でフェニックスに遭遇してなんとか倒しました。」


 俺は真顔で答えた。すると、


 「ハッハッハッハ!おもしれぇ!その度胸、気に入った!」


 どこが面白いんだ?にやっとしながら大きく笑ったBさんを見てそう思った。


 「何かおかしいんですか?」


 純粋にそう思った。


 「あぁ。もちろんだ。いいか、よく聞けよ?1回層のボス部屋にいんのはちょっと大きいくらいのスライムだ。」


 「………へ?」


 どういうことだ?1回層にはちょっと大きいスライムくらいごろごろいたしそれ以上に強いモンスターなんて当たり前にいたぞ?


 永遠、結菜もポカンと理解できないと頭の上に?マークがついている。


 「こんだけ魔石が取れたっつうことはもっと強いのが当たり前にいたんだろ?それはボス部屋にフェニックスがいたからだ。」


 「…というと?」


 「あぁ、ダンジョンはなボス部屋にいるやつの強さによってその階層にいるモンスターの強さが変わる。だから本当は1回層で取れる魔石の数も4〜5個くらいだぞ。」


 はぁぁぁ〜??何それ!俺達めっちゃ頑張っちゃったってこと?俺ら、これが1回層かっ!さすが異世界!って息巻いてたのに…。


 さらにどっと疲れが湧いてきて……だるい。あーあ、本当はあんなに苦労しなくてよかったんだろうなっ!


 …まぁ、いい経験にはなったか。


 俺は、前向きに捉えながら、これからの異世界生活に不安を抱きソファにもたれかかった。

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