鑑定所での混乱
やっと俺達の番になった。今回、初めての査定だ。どのくらいになるのかな?
「鑑定お願いします。」
鑑定の係は優しそうな感じのお姉さん。なんか日本の制服みたいなのを着てる。
「はーい。鑑定ですね。冒険者ライセンスを見せてください。」
冒険者ライセンス…。あぁ、えっと、何か皆に配られてたやつか。
「これでいいですか?」
俺は、俺達3人分の冒険者ライセンスを出した。そこには冒険者ランクと氏名しか載ってない。
これでいいのか?と思ったけど、詳しいことはライセンスを読み込ませたら分かるらしい。めっちゃハイテクやん!
「はい。いいですよ〜。えっと、今回初めてダンジョンに潜ったんですね。初めてのダンジョン、どうでしたか?」
「もうめっちゃ疲れましたよ〜。今回1回層に潜ったんですけど、フロアボスが強くて。」
クラスで鍛えたコミュニケーション能力を使って愛想よく話していると、
「フェニックスやばかったよね〜。」
余程疲れていたのか、しばらく放心状態だった結菜も会話に参戦してきた。ちなみに永遠はまだ復活してない。
「え?」
お姉さんは何故かわからないけどぽかんとしている。
「そうそう。攻撃は届きづらいわ、炎ぶちまけられるわ、しぶといわで本当大変でした。」
「??えっと、初めてのダンジョンで1回層のボスと戦ったんですよね?」
「はい。そうです。1回層だからって油断してました。気を引き締めていかないと。」
俺はフェニックスを思い出しながら、今回ゲットした魔石を取り出した。
ほとんどは白の魔石で、約30個ほど。そして、赤黒いフェニックスの魔石が1個。
その他にも素材とかあったが今回は取り敢えずこれだけにしとくか。
混乱していた様子のお姉さんはなにやら勝手に自己解決したみたいだ。
その時にカウンターのテーブルに今日採取した魔石を置いた。お姉さんはまた混乱の顔になった。
なんでだろう?何か変なものでも混じってたのかな?
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お姉さん視点
「鑑定お願いします。」
「はーい。鑑定ですね。冒険者ライセンスを見せてください。」
あれ?見たことない人達だな。ここらへんの冒険者はほとんど知ってるはずなのに。
すると、アイテムボックスやバッグの中を探し始めた。あ、でもすぐに見つかったみたい。
「これでいいですか?」
「はい、いいですよ〜。」
受け取ったライセンスを機会に読み込ませた。やっぱり今回が初めてのダンジョンだったんだ。
しかも、転移者みたい。転移者は強いって聞くけど魔石はどれくらい取れたのかな?まぁ、1回層だから4〜5個位かな?
「えっと、今回初めてダンジョンに潜ったんですね。初めてのダンジョン、どうでしたか?」
私がいつもの笑顔でそう聞くと、
「もうめっちゃ疲れましたよ〜。今回1回層に潜ったんですけど、フロアボスが強くて。」
なかなか愛想良く返してきた。ギルドの鑑定員として負けられない。(?)
すると今度は可愛らしい女の子が会話に入ってきた。
「フェニックスやばかったよね〜。」
え?フェニックス?どういうこと?
「え?」
しまった。ついつい疑問を声に出してしまった。いつもはこんなことないのに。
「そうそう。攻撃は届きづらいわ、炎ぶちまけられるわ、しぶといわで本当大変でした。」
戦った?あのフェニックスと?
「??えっと、初めてのダンジョンで1回層のボスと戦ったんですよね?」
「はい。そうです。1回層だからって油断してました。気を引き締めていかないと。」
イミガワカラナイ。………はっ、いけない頭がショートするところだった。
この子達、1回層に潜ったんならそんな上級モンスターには遭遇しないはず。
百歩譲って、遭遇したとしても初心者が勝てるような相手ではない。
と、いうことはこの子達の勘違い★決定!
自己満していたら、この愛想の良い子が、魔石を取り出していた。
カチャカチャカチャガチャ。
ん?ナニコレ。1、2、3、4、5、6……32。なんでこんなに魔石があるの!?
驚いて目を見開いた。そしたら気づいてしまった……。赤黒い魔石の存在に…………。
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