表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/5

第2話 チンコがねえⅠ

「バカな……ッ!?

 ボクは天才なのに……ッ!!」


 王子は校舎の壁にもたれたまま愕然とした顔で俺を見つめていた。

 化け物でも見たような顔だ。


 そうか。

 コイツが弱いんじゃない。

 俺がつええんだ。

 だって俺は悪役令嬢。

 この世界における女主人公ヒロインのライバルとなるべき存在。

 当然それだけの実力が備わっている。


 にしても少々強すぎる気がするが。

 オナシスの記憶を参照する限り、この王子は学園でも指折りの魔法使いの一人だった。

 俺に王子を瞬殺できるまでの実力はないはずである。


 となると、俺が転生した事でバグでも発生してるのだろうか?

 調べる必要があるな。


 そんな事を考えながら、俺は王子を見やる。

 奴はその場から逃げ出そうとしていた。

 一つ飛びで王子との距離を詰める。


「弱すぎ。

 それでもチンコついてんのか?」


 俺は冷め切った目で王子を見下ろして呟いた。

 実際俺の心は冷め切っている。

 さっきまでは怒り狂っていたのだが、コイツが弱いと分かると途端に興が冷めてしまったのだ。

 顔だけのゴミに用はない。


「す……ッ!!!

 すみませんでしたああああああッッッ!!!!」


 そんな俺の感情を読み取ったのだろう。

 王子は慌ててその場に起き上がった。

 かと思うと五体を投げ出して土下座をし始める。


「ボクが間違ってました!!!

 先ほどまでの非礼お許し下さいッ!!!」


 言いながら、奴が土を握ったのが分かった。

 同時に奴の体内魔力が拍動し、両手の指先に一斉に集まる。


「死ねっ!!!!」


 次の瞬間、王子は俺の顔面目掛けて土を投げつけた。

 目潰しのつもりだろう。

 そして反対側の手で俺の金髪縦ロールをひっ掴むと、奴は俺の両目と口に指を突っ込み、爆発的な魔力を直接体内に解き放つ。

 次の瞬間、奴が放った凄まじい風の圧力により、辺り一面に砂埃が巻き上がった。

 竜巻並みの旋風が俺の体内を斬り刻もうとする。


 通常、肉体の外には魔力による障壁が作られる。

 だが肉体内部にはこの障壁がほとんど無かった。

 魔力の障壁を作ってしまうと生命活動を阻害してしまうからだ。

 従って、こうした相手の体内に直接魔力をブチ込む手法は相手の魔法防御力が高すぎる場合によく使われる手だった。

 しかも今回は目潰しに加え、詠唱阻止のための口潰しまで兼ねている。

 この王子は中々にケンカ慣れしていそうだった。


「ハァッ!!!

 思い知ったかメスブタッッ!!!

 ボクは天才なんだよッッ!!!

 てめえのクソ死体はブチ犯し、ひき肉になるまで斬り刻んで虫のエサにしてやるッ!!!!

 ギャハハハハハハアハハハハアハッハハハハハハッッ!!!」


 王子の高笑いが辺り一面に響き渡る。

 やがて煙が晴れると、


「うげッ!?!?!?!?!?」


 王子の目玉と口がこれ以上ないほどに開かれた。

 俺が無事である事にようやく気付いたのだ。

 とはいえお気に入りの学園制服のシャツやスカートがボロボロになっていた。

 縦ロールも若干ほつれている。


「俺の大事な服と髪が痛んでしまった。

 お返しをしていいか?」


 俺はニッコリ笑顔で王子に尋ねた。


「は……ッ!?

 はああああああああああああッ!?!??!?」


 奴はドスン! とその場に腰を抜かしてしまった。

 あわあわと口から泡を吹き、両手を使って後ずさろうとする。

 だが後ろは壁だ。

 逃げることはできない。

 俺はそんな奴の顔面のすぐ横の壁を足で蹴る。


「お返ししていいですかって聞いてんだよおおおおおおおおおおおおおおッ!!!?」


 そして王子の緑髪をひっ掴むと、右拳で顔面に拳を突き入れてやった。


「ギョエエエエエエエエッ!?!?!」


 王子の細マッチョな体が錐もみ回転して横に吹っ飛ぶ。

 校舎の壁や窓ガラスをバリンバリン割ってようやく止まった。

 全身血みどろとなった奴が、ヨロヨロと立ち上がる。


「フヒヒョ~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!?!?!?!??

 ゆるしてえええええええええええええええッッッ!!!!」


 王子は大声で泣き叫ぶと、そのまま全力疾走で校舎の向こう側に逃げていった。

 情けない奴だ。


「ったく。

 服どうしてくれんだクソが」


 俺は両手に木属性と風属性、それに火属性の魔力を合わせて発動した。

 魔力により制服の解れを縫い合わせ、熱と風でアイロンをかける。

 金髪も同様に整えた。

 一分と経たないうちに、俺の姿は王子と戦う以前の状態に戻る。

 更に臭いも少し気になったので、花魔法の応用で柑橘系の香りをまとった。


 こういう魔法の使い方が呼吸するようにできる。

 というか金髪の人間は基本光属性しか使えないはずなのだが、体内の魔力組成を確認するにありとあらゆる魔法が使えるようだった。

 しかも魔法に限らず筋力や身のこなしも凄い。

 さっきの王子との戦闘でも、奴の動きは全部見えてたし殴られても全く痛くなかった。

 この体、強すぎる。


「へっ。

 楽しくなってきやがったぜ」


 何しろ、こんだけ強けりゃ一流冒険者になるのは勿論、自分の国を持つことだってカンタンだろうからな。

 と決まればこんな学園なんかに居る必要はねえ。

 さっさと好みの女どもを捕まえてハーレムを作ろう。

 まずは屋敷のメイドどもでも漁るか。


 そう考えて俺が帰宅しようとしたその時。


「やめてください!!!

 近寄らないで!!!」


 どこからか悲鳴が聞こえてきた。

 若くて精力のありそうな女の声である。


 この声は確か……!


 その声には心当たりがあった。

 場所は校舎を挟んだ向かい側。

 噴水のある中庭庭園のあたり。

 俺は軽くジャンプし、4階建て校舎の屋根に跳び乗る。

 すると中庭の風景が見えた。


「あ?」


 中庭の中央部。

 庭園と庭園の間に大きな噴水があるのだが、その前に一人の女子生徒が立っている。

 その周囲を囲んでいるのは白馬に跨った半裸のイケメン男子生徒たち。

 総勢30名は居た。

 男子達は棘付き鉄球を棒に結び付けたモーニングスターやハンマーなどを持ち、馬上からその先っぽを女子生徒の方に向かって振り回して威嚇していた。


「ゲヒャヘヘヘヘヘヘッ!!!!」

「主席入学のお嬢様じゃねえか!!」

「下品な体しやがって!!!

 たまんねえぜ!!!」

「ブチ犯してやる!!!」


 白馬に跨ったイケメン連中が、口々に蛮族みてえなセリフを吐く。

 全員遠目でも分かる程度に股間や目がギンギンだった。


 オナシスの記憶によると、奴らはいずれも一年生。

 全員引き締まった体に金髪碧眼や黒髪灼眼など無駄に色気のある容姿をしているが、中身は漏れなくクソ。

 性欲とマウント欲求しか存在し得ないシコザルどもである。


 一方、囲まれている女も俺は知っていた。

 メロンみたいな爆乳。

 肌は輝くような乳白色で、ケツもデカい。

 そこにピンクチョコレートみたいな色をした長髪が垂れ下がってやがる。

 オスなら生まれたばかりの赤ん坊でもチンコを突っ込みたくなるだろう。


 女の名前は『コスモス・ローゼン』。

 この乙女ゲームの女主人公にして、この俺を差し置いて主席入学したローゼン男爵家の超天才美少女である。


 なんて俺が観察しているうちにも、


「入学式の時から犯してやりてえ思ってたんだよなああああ!!?

 さっそく頂いちまおうぜ!!!」


「ああ!! 誰が一番にやるよ!?」


「平等にジャンケンなんてどうだ!?」


「いや!!

 チンコのデカさで決めようぜ!!

 一番デケえ奴が一番乗りだ!!」


「それがいい!!

 デケえのは正義だからな!!

 ゲハハ!!!」


「ブチ犯してやるぜええ!!!」


 全員ゲハゲハ笑いながらズボンを脱ぎ始める。

 その様子が余りにもキモチワリィので、とりあえず近場の一匹をブチ殺す事に決めた。


 俺は屋根から囲まれているコスモスの傍に跳び降りつつ、進路方向に居た一匹のクソイケメンの後頭部をジャンピングドロップキックで蹴っ飛ばしてやった。


「ゲッハアアアアアアッ!?」


 俺のドロップキックを食らった半裸のイケメンは、まるで水切りの石みたいな速度と勢いで庭園の柵代わりになっている分厚い生垣を幾つも突き抜け吹っ飛んでいった。


 ざまあねえぜ!


「おう!!!

 このメスは俺んだボケェ!!

 分かったら死んどけ三下ども!!!!」


 俺は女の前に着地するなり、クソイケメン共を一喝してやった。

 突然の乱入にイケメンたちはもちろん、白馬までもが一斉に嘶く。


「なんだコイツ!?」

読んでいただき、本当にありがとうございます!




この小説を読んで




「面白そう!」


とか


「続きが気になる!」



と少しでも思って頂けましたら、↓の★★★★★を押して応援してくれると最高に嬉しいです!




皆様の応援のお陰で、いつも執筆できる力が湧いて参ります!!



よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ