第1話 俺、転生する
その日。
俺こと『美女木 晴夢』は日課の18禁ハーレムゲーをプレイしていた。
画面に映る俺専用精子吐き捨て玩具共(美少女)たちのあられもない姿を見つめながら、重ねたティッシュの中に白濁液をブチまける。
「おッふうゥゥゥウウゥウゥウウゥゥ~~~ン゛ッッッ!!!」
無論一発では収まらない。
すぐさまストロークを開始し二発目を発射。
ただちに三発目に移る。
「死ねぇッ!!!
死んで孕めええええええッッ!!!」
股間の巨砲が次々と白い炎を噴く。
旧ソ連軍の兵器|BM-13カチューシャ自走ロケット砲斉射もかくやという勢いだった。
ザコの分際で俺のチンコをイラつかせてんじゃねえぞクソメスども!!!
今すぐ死ねッ!!!
死に曝せッ!!!!!
『はい……ッ♡♡
ご主人様……ッ!!
殺してください……ッ♡♡』
すると、画面に映る精子吐き捨て玩具共(美少女)たちの悲鳴のような嬌声が聞こえてきた!
破壊を求める声である!!
ならば!
雄として当然その期待には応えねばなるまいッッッ!!!
俺は破壊と暴力衝動の赴くまま手を動かし、そこから更に三発発射した。
画面をカチカチっとクリックすると、
「「イックウゥゥゥウウゥウゥウウゥゥ~~~ンッッッ!!!♡♡♡」」
俺の精子吐き捨て玩具どもが、俺の目の前で潮吹きしながら嬌声を上げる。
その声を聞いた俺は、深く座っていたゲーミングチェアを引き、雌どものハレンチな顔が移る画面に向かって足を振り上げた。
そして画面を思うさま蹴り飛ばす!!
蹴る。
蹴る!!
踏みつぶす!!!
体液飛び散る玩具どもの肉体を思うさま蹂躙する!!
セックスとは破壊であった!
女体を壊したその先にこそ真の創造があるッ!!!
「グハハハハハハハハハハアアアアアアアンッッッウ゛ッッッッ!!!!!!!!」
俺はモニター画面を蹴り飛ばし、最後の一発を発射しながら涙を流し叫んだ。
気持ちいい……ッ!!
もはや股間に当てたティッシュは防壁の意味をなさず、辺りに白濁液が撒き散らされるが、そんな事はどうでもいい。
この一瞬の快楽が俺の人生の全てだ。
「…ぅふう…ッ゛ン……ッ!!」
だが数秒の沈黙の後。
再び俺の心に怒りが込み上げてきた。
冷静になった俺の視界にクソみたいな現実が入り込んできたからだ。
おかしい。
画面の向こうにメスどもはあれど、俺の傍には女どころか虫すら寄りつかねえ。
みんな俺がオナニーすると逃げていく。
なぜだッ!?
なぜここには俺が精をブチまける美少女が居ないッッッ!!!!?
「ハアッハアッ!!
ムカつくッ!!!
どうして俺に彼女ができないんだッッッ!?
この世はハーレム然るべきッ!!
俺がモテない世界など断じて許容されるべきではないいいいいッッッ!!!」
俺は叫んだ。
乾き切った叫びを。
苦しい…ッ!!
悔しい……ッッッ!!
俺もハーレムゲーの主人公みたいな生活がしたいいいいいッ!!!
「ウッウッ……ウッ……う……う゛ゥッッ!!!」
女一匹犯せない己の不甲斐なさに涙と精液が零れ落ちる。
だが感傷に浸っているヒマなどない。
頼りになる相棒は既に次弾の装填を完了し、次の破壊対象を求めてランチャー角度を上げ続けていた。
次なる破壊を開始しなくてはならぬ。
俺は蹴り飛ばしたモニターを再び設置し直すと、ゲームを一旦終了した。
そして18禁ダウンロードサイトを開いて次なる獲物を探し始める。
やがて好みの女キャラを見つけた。
ピンク髪ロングでムチプリボインのドスケベな女キャラであった。
シチュエーションもハーレムモノ。
股間のランチャーも爆発寸前である。
次はこのゲームを犯るぞ!
戦闘開始の一発だッッッ!!!
そう思い、俺が一物を擦りながら画面をクリックしたその時だった。
突然男の囁くような「おいで」というキモい声が聞こえ、半裸のイケメンたちのハーレムエロ画像が画面いっぱいに映し出されたのだ!?
「ウ゛ッッッッッッッ!!??!?!?!?!?!?!?!?!?」
どうやら間違って乙女ゲーの広告をクリックしてしまった。
だがそんな事はどうでもいい。
俺は気付けば発射していた。
裸で股間をイキリ立たせながら、クズっぽい笑顔で俺を見やるクソイケメンどもの前で。
発射……ッ!?
この俺がメスではなくイケメンで発射……ッ!?
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「許さんぞクソイケメンどもおおおオオオオオオオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!?!?!?!?!?!?!???!!!!!!??!?」
イケメンどものドスケベ顔にブチギレた俺は、即座に拳を振り上げモニターごと殴り殺そうとした。
「ウッツツッツツッツツッツツッツツツッツ!!?!?!?!」
だが立ち上がった直後、俺は悶絶してその場に倒れ込んでしまう。
立ち上がった際に怒張した一物を机にぶつけてしまったのだ。
しかもそれだけではない。
机が揺れて、モニターが俺目がけて落っこちてきたのである。
イケメンのエロ画像が俺の顔面に激突した。
一瞬脳内がスパークし、俺はなすすべもなく射精してしまう。
妙な脱力感があった。
痛みがない。
気付けば股間が液体に塗れていた。
白ではない。
赤だ。
なんだ、と思った刹那。
オナニーのし過ぎで血管が破裂した事に気付く。
考えている内にもどんどん感覚が薄れていった。
血がどんどん抜けていく。
あかん……!!
これやばいやつ……ッ!?
□□
次の瞬間視界が暗くなり、その直後、僅かな時間の経過を感じた。
そして、不意に俺の鼻先を弱風が打つ。
一緒に草木の香りがした。
俺は目を閉じていたことに気付き、開けてみる。
すると、
「………ッ!!?!!???」
いきなり外に居た。
辺りには赤いレンガで作られた壁や校門らしきものがあり、反対側には白い石で作られた豪奢な建物があった。
まるで異世界ファンタジーの学園に有りそうな建築物である。
俺はその学園らしき場所の校門と校舎の間の道に横たわっていた。
時間は夜で辺りは暗いが、あちこちに街灯らしきものが立っており、お陰で辺りが見渡せる。
え!?
さっきまで部屋でオナニーしてたはずなのに!!
ここどこ!?
そんな事を思いながらその場に立ち上がると、ふと近くの水たまりに目が止まった。
そこに映っているのは、純白のレースをあしらったドレスを身に纏った美少女。
長い金髪縦ロールと鋭い灼眼が絢爛華麗さを感じさせるお嬢様だった。
俺お嬢様になってる!?
そう思った瞬間、突然頭の中に、自分が何者であるかの記憶が浮かび上がってきた。
俺の名前は『オナシス・グランデュール』。
魔法貴族の名門『グランデュール家』の公爵令嬢にして、
世界各国の王子や大貴族、勇者や賢者の家系に生まれた者たちが集う『アルヴィオン魔導学院』に通っている1年生である。
成績は歴代卒業生を含めてもトップクラス。
その家柄や容姿も合わせて、まさに才色兼備のパーフェクトお嬢様だ。
ただし性格は悪く、自分の召使いや弱い立場の女子生徒たちをイジメて愉悦に浸る趣味があるらしい。
つけられたあだ名は『悪役令嬢』。
そんな記憶がありながらも、俺は今、同時に自分の事を男だと認識している。
なぜならほんの数分前まで俺は、自室のパソコンの前でオナっていた39歳フリーター1K暮らしの独身男だったからだ。
独身男と公爵令嬢。
二つの記憶が合わさっている。
恐らくその結果だろう。
俺は、俺が今居るこの世界が『乙女ゲームの世界である』という事も理解している。
いわゆる『ゲーム転生』とかいう奴だろう。
ソッチ系のハーレムゲームもプレイした事があるからなんとなく分かる。
「そっか……!
俺、女になっちまったのか……!!」
俺はひとまず現状を受け入れる事にした。
美少女なら幾分マシである。
悪役だかなんだか知らないが、家は金持ちだし魔法も使えるみたいだ。
この体と金と権力があればメスどもを犯しまくるハーレムを作ることもそう難しくはないだろう。
転生してよかったぜ!!
なんて俺が思ってウキウキしていると、
「よく来てくれたね!
グランデュール公爵令嬢!!」
突然学園校舎の方から威勢のいい声が聞こえてきた。
振り返ると、校舎の方から緑色の髪を短く切った王子様……らしき人物が歩いてくる。
らしきというのは、なぜか上半身裸なのだ。
しかも股間をフル勃起させている。
その怒張っぷりは今にもズボンを食い破ってしまいそうな程だ。
何ちんこいきり立たせてんだコイツ?
俺が美少女過ぎるからか?
とりあえず警察を呼びたいがスマホがねえ。
「で、答えは?」
なんて俺が考えていると、当たり前のような顔で近くまで寄ってきた変態……オナシスの記憶によるとこの国の第二王子『ゼイン・アルトゥール』……とやらが尋ねてきた。
「あ゛? 答え?」
俺はヤクザみたいな顔で問い返した。
ゼイン……もとい王子の笑顔に虫唾が走ったからだ。
それとは別に嫌な予感もしている。
「そうです!
今宵はキミがこのボクの専属メス奴隷になるという誉れ高き夜ではありませんか!
さあ全裸で土下座してボクに犯してくださいとお願いするのです!!」
コイツ!?
ブッ殺すぞ!!!?
クソキモ王子のおぞましい笑顔と言葉に、俺の怒りゲージが一瞬でブチあがった。
今すぐ超必殺技が発動できそうなくらいに。
だがお陰で思い出した。
俺が現在置かれている状況を。
俺が今いるこの世界はただの乙女ゲー世界ではない。
『18禁』乙女ゲームなのである。
しかもジャンルが『レイプ願望持ちのドM女性』に向けた『ハード鬼畜レイプ』モノ。
主人公の恋愛対象となるイケメンたちがどいつもこいつもクズのヤリチンばかりという地獄みたいなゲームだった。
最悪じゃねえか!?
なんでよりにもよってそんなクソみたいな世界に来ちまったんだ!?
「どうしました?
恥ずかしがっているのですかねえ。
だが安心して下さい!
王族の嗜みで日頃から女の調教には慣れておりますから。
さあ安心して身を任せ……」
「死ねや!!」
俺は拳で御断りをする事に決めた。
調子コキまくってやがる王子の顔面を右拳で突く。
「プルルルァッ!?」
すると王子は気持ちいい悲鳴を上げながら、真後ろに広がる草むらの向こうにすっ飛んでいった。
軽く四・五十メートルは飛んでいる。
この体すげーな。
熟練の格闘家みたいな動きしたぞ今。
自分の両手をマジマジと見つめて思う。
俺の記憶によると、どうやら公爵令嬢の嗜みとして古今東西あらゆる武術や魔術を極めているらしい。
にしても強すぎる気がするが……。
「何をするんです!?
ボクはこの国の王子様なんですよォオオオッ!?」
なんて考えているうちに、クソキモ王子が凄まじい勢いで飛んで戻ってきた。
全身が緑色のオーラに包まれている。
風魔法を使って飛行したのだろう。
髪の色で分かるのだが、緑髪の奴は基本風属性に秀でている。
「分かっているんですか!?
この貴いボクに拳を向けたらどんな女も死刑ッ!!!
お前も死刑!!
一族郎党全殺しィィィイイイイイッ!!!!
なのですよ!?
分かったらさっさと股開け金髪縦ロールドブス!!!」
相手が従順じゃないと知るや否や、王子はチンパンジーみたいな顔で俺を罵倒してきた。
この髪整えるのどれだけ苦労してると思ってんだ、と一瞬オナシスの感情が混ざる。
「うっせえ!!
俺はちんこをブチ込まれてえんじゃねえ!!
ブチ込みてえんだ!!!」
俺が中指をおっ立ててそう叫んだ。
全てのメスは俺が支配する!!!
「フン……!!
だったら自分がメスだって事を分からせてやるッ!!!」
王子も股間をいきり立たせて叫ぶ。
瞬間、奴の体がブワッと空中に浮かんだ。
直後凄まじい速度で俺の後方に回り込んでくる。
直後。
俺の体は後方に吹っ飛び、校門近くの壁にぶつかって止まった。
どうやら蹴られたらしい。
「悔いろ悔いろ悔いろ悔いろ悔いろ悔いろオオオオオオッ!!!!
このボク様に逆らった事をオオオオオッ!!!!」
なんて思っている内にも、王子が俺の傍にすっ飛んできて俺のアゴに痛烈なアッパーを食らわしてきた。
俺の体は上空高く吹っ飛ばされる。
かと思うと地面に叩きつけられた。
浮かんだと思った直後、すぐに王子に蹴り落されたのである。
どうやらコイツは超人じみた実力の持ち主らしい。
「ハハハ!!!!
精子吐き捨て玩具の分際で、
王宮でも指折りの魔法使いであるボク様に勝てると思ったか!!!?」
王子は甲高い声でそう叫ぶと、俺の金髪を掴み上げた。
そして情け容赦なしに俺の顔面を殴打しまくってくる。
「その整った顔をグッチャグチャにしてやるよ!!!!
女の子を殴るのは楽しいなあアハハハハッ!!!
ギャハハハハハハハハハハハハアハハッハアハハハハハアッハハハ!!!!」
俺を何発も殴りながら、高らかに笑い出した。
その声が耳障りだったので俺は握った拳を王子の隙だらけの腹に打ち込む。
すると、
ミシシシィッッッ!!
骨と肉が軋む音。
ほぼ同時に『ボンッ』という鈍くて低い音が辺り一帯に響き、王子が斜め上に吹っ飛んでいく。
その速度たるや、奴が魔法で飛行した時のおよそ三倍。
同時に衝撃波が発生し、校舎中の木や窓が割れんばかりにしなる。
「が………………は………………ッ!?!!?!?」
王子は校舎の壁に叩きつけられ、そのままズルズルと地面に落っこちた。
なんだコイツ。
弱え。
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