第十五章70 【覇王杯/オーバーロード・カップ/ヴィナフェリア・エクセリア・トゥルーヴェリティチーム】18/ショータイム13
優しかった【イータジータ(【一芳】役)】の死を乗り越え、【パイファイ(【アデラ】役)】は、立ち上がる。
いつまでも泣いて何ていられない。
だって、【闇の世界】に行くために、生まれ故郷だと言う【闇の世界】に行くために、【パイファイ】は生きて来たのだから。
【イータジータ】の亡骸にそっとキスをする【パイファイ】。
そして、
「【イータジータ】、
私、行くよ。
正直怖くないと言ったら嘘になる。
この世界では、【闇の世界】は怖いところだって聞かされて来たから。
だけど、私の中の何処かで覚えているんだ。
多分・・・あれは・・・母親だったのかな?
私の頭を優しく撫でる、そんな光景が私の中に残されている。
だから、怖いところでは無いはずだ。
私はそう、思う。
そう、思う事にした。
【イータジータ】はいつも言ってたよね?
あれこれ言い訳をして何もやらないのは空っぽな人間のする事だ。
後悔したって良いじゃないか。
後悔の中にだって学ぶ事はある。
反省する事で同じ過ちを繰り返さない様にもなる。
つまり、見えにくいけどそれはちょっと成長しているって事なんだって。
私は、そんなわけないって反発してたけど、今ならちょっと解るよ。
【イータジータ】の死は私にとって自分の事の様に辛い。
辛くて、どうにかなっちゃいそうだ。
だけど・・・だけどね・・・
貴方の言葉がね、私の背中を押すんだ。
貴方と喧嘩してた頃の貴方の正論が私に前に進めって力を貸してくれるんだよね。
それにここで立ち止まったら、貴方の行動が全部、無駄になってしまう。
私のためにしてくれた事が駄目になっちゃう。
だから、私は前に行く。
貴方の教えを胸に、お母さんに会いに行くよ。
ありがとう。
生きてる時に伝えたかったけど、実はずっと貴方の事・・・
ううん・・・聞こえない時に言っても卑怯だよね・・・
貴方ならそう言う・・・
じゃあ、行くね」
と言った彼女は服を脱ぎ、【闇のドレス】に着替えるのだった。
と同時に【闇の世界】への扉が開くのだった。




