第十五章61 【覇王杯/オーバーロード・カップ/ヴィナフェリア・エクセリア・トゥルーヴェリティチーム】9/ショータイム4
次にアピールして来た者は、
『初めまして、プリンセス(【ヴィナフェリアの事】)。
我が輩は、【謎】の【圏外ランク】第224位の【謎識想思のソクナハソクメ】と申す者。
【謎識想思】とは、【謎】を知識として夢想する者を総称している。
従来の想像とは異なり、【謎】について考える者をそう呼称している。
我が輩はその中での第百七人者(【第一人者の百七番目という意味】)と呼ばれている。
我が輩が、プリンセスに献上するは、【謎々アート】と言うアートである。
すなわち、驚く無かれ。
なぞなぞを解いて行くと、隠されている言葉や絵、動画などが発見出来ると言う斬新なアートである。
これを是非ともプリンセスの偉大なる作品群に加えていただきたく参った所存。
常人には作れない凝ったものがたくさんあるゆえ、楽しまれる事請け合いである。
なにとぞ・・・』
とダラダラと長話をしているが、要するに【謎々アート】とはちょっと凝った程度の【なぞなぞ】そのものである。
ほとんど何のひねりもない、【特別な作品】とするなら駄作レベルの話である。
そして、このレベルの【なぞなぞ】であれば、普通の人間でも時間を掛ければ十分に作れると言うレベルのものであり、【選ばれし者】の作る【特別な作品】としては全く相応しく無いレベルのものである。
作品のレベルとその存在のレベルは比例している訳では無いと言う良い見本である。
【ソクナハソクメ】は人間よりも遙かに強い。
が、【ソクナハソクメ】より良い作品を作る人間はかなり居ると言う事だ。
【ヴィナフェリア】に取り入ろうとしている者が全て、優れた才能の持ち主という訳では無いと言う事である。
例え、圧倒的な力を持っていようとも、それが良い作品を作る事には直結しないと言う事である。
【ヴィナフェリア】は優しいから黙って見ていたが、本来であれば、
『この様な駄作を持ってきおって、この無礼者が』
と怒りを買ってもおかしくないレベルのものである。
だが、【ソクナハソクメ】は人間の創作レベルを知らないため、自分の作ったただの【なぞなぞ】が素晴らしい作品だと信じて疑わない。
それを取り入れたからと言って、【覇王/オーバーロード】になれるはずもないが、【ヴィナフェリア】は、
『・・・ありがとう・・・』
と律儀にお礼を言っている。
彼女にとっては自分に善意を向けてくる者には無碍に対応する事は出来ない。
だが、【謎々アート】もあえて紹介する程のレベルの作品では無いので、これも割愛させてもらう。