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第十五章58 【覇王杯/オーバーロード・カップ/ヴィナフェリア・エクセリア・トゥルーヴェリティチーム】6/ショータイム1

 【ヴィナフェリア】が落選すると言う結果は残念だが、それはそれとして、彼女達の表現もちゃんと中継しなくてはならないだろう。

 ただし、時間の関係で【ヴィナフェリア】自身の表現を中継する訳にはいかない。

 何故?

 【ヴィナフェリア】のチームの中継なのに【ヴィナフェリア】の中継はしないとは如何なることか?

 それは、圧倒的な実力があるにもかかわらず、【ヴィナフェリア】が【覇王/オーバーロード】になれず、【芳一】が選ばれる最大の理由でもある。

 【ヴィナフェリア】は【芳一】が自身の作品を表現している時間と同じ時間の内、10分の1も、自身の【表現】をしていないのだ。

 そのほとんど、10分の9以上の時間は、【ヴィナフェリア】を信奉し、彼女に取り入ろうと現れた無数の存在の【プレゼンテーション】を見ていたのだ。

 笑い方が解らないと言う【ヴィナフェリア】に笑顔になってもらうために、【覇王杯/オーバーロード・カップ】の【ヴィナフェリア・エクセリア・トゥルーヴェリティチーム】の居る場所に数多の存在が入り込んできた。

 彼女を倒すためではない。

 彼女のために何かをしようと善意でやってきたのだ。

 悪意であれば、彼女は敵対者として処分する事も考えられたが、善意で来ている者を無碍に扱うことは出来ない。

 そこで、彼女は自分達を売り込みに来た数多の存在達のプレゼンテーションを見る事になったのだ。

 結果として、良かれと思って手を貸しに来た連中に足を引っ張られた形で、【ヴィナフェリア】は、【覇王/オーバーロード】としての資格を得られなかったのだ。

 もちろん、彼女は【超越】、【謎】、【超謎】の要素を持っていると言う事、10分の1以下の時間で表現したのが、握手とされる、神の目線で世界観を表現して、自分では動かなかった事も挙げられるが、多くの原因とされるのは、表現する時間が確保出来なかった事。

 それが、最大の理由と言えるだろう。

 圧倒的過ぎる力を持っていても、それを発揮出来なければ全く意味がない。

 【覇王/オーバーロード】となるには、どのような表現であれ、【能動的】に力を示さねばならなかった。

 引っ込み思案なところがある【フェアリア】でさえ、自分なりに【能動的】に【世界観】を表現していた。

 それに対して、【ヴィナフェリア】は他者からの提供を見ていただけ。

 つまり、【受動的】な行動をとっていた。

 【弾】も当たらなければ意味がないと言う事である。

 どんなに才能があってもそれを外に向けて表現しなければ、無いのと一緒と言う事である。

 そう言う理由が積み重なって、彼女は脱落したのである。

 ありがた迷惑とはこのことである。

 と言う訳で、彼女の表現を中継する事は彼女を逆に貶めることにもなりかねないので、彼女の表現では無く、彼女に取り入ろうと割り込んできた数多の存在達のプレゼンテーション/ショータイムを中心に中継しようと思う。

 余りにも多くの存在が彼女の元にはせ参じたので、与えられた時間内には全てを紹介する事は出来ない。

 そこで一部だけを紹介したいと思う。

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