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R&Bのリズムで殺れ YOU&I  作者: やましたゆずる
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第七十二章 くのいち四姉妹 近藤夫妻の死

澪から電話があったのは、ティシャツの話をしてから4日目の夜だった、「お姉ちゃん。ティシャツ2枚あったよ。県庁の職員の男性が私のサインと写真撮影で譲ってくれた。明日、送るね。テレビ見てくれた?熊退治したんだよ。2頭目。私だけのチカラじゃないんだよ。今、一緒にペアを組ませて貰っている佐竹のじっちゃんが凄い嗅覚の持ち主なんだ、熊の居る所がわかっちゃう!佐竹って苗字、聞き覚えない?平安時代から続く名門の出の方なんだ。今の秋田県知事とは遠い親戚で知事からも私の教育を頼まれている立派な方なんだ。テレビに時々私と映っているじいさんだよ。汚いけど見た目じゃないから。人間中身だから。」澪は語った。「澪、君も成長したな。立派だよ。姉妹の誇りだよ。頑張れ!身体に気をつけて、ティシャツ有り難う、金は?」星璃の声ははずんだ。「金なんていらないよ。バカ!お姉ちゃんも頑張れ!」澪は元気そのもだった。後二人の妹もきになって、この後、電話した。「お姉ちゃん、バイバイ!」澪は電話を切った。「小春、私あかり、元気してるか?つくば以来だな、山南さんとは上手くやってるか?小説は上手く行ってるか?」星璃が言いたい事を立て続けに言った。「お姉ちゃんは元気そうだね。私、妊娠したんだ。結婚式早める。授かり婚だね。小説は行き詰まっている。私の自叙伝は辞めた。つまらないし、読者は誰も私の自叙伝なんて興味ないし、小説は今、ストップ中だよ。ただ、子供が出来たから嬉しくて毎日がウキウキだよ。お姉ちゃんには悪いけど。お姉ちゃんにはまだなの?」小春は、複雑な心情を吐露した。「小春おめでとう!お姉ちゃんも嬉しいよ。私はまだまだ。私の子宮壊れているんだよ。心配してくれてありがとう。焦らず待つよ。小説のヒントになるかわからんが、ヒーロー物なんかどうだ、流行ってるやつだいたいがヒーロー物じゃないか?読者もお腹いっぱいか?小春の今までの諸行を明るく面白く書けば、今だったら本物のヒーローが目の前にいるじゃないか?澪なんて良い題材だよ。脚色すれば最高だよ。今や熊退治の名手だよ。後、山南さんの警備日誌とか、私のラーメン修業とか、ゼロから修業して将来、フランチャイズの元締めになる話色々あるぞ?考えれば。頑張れ、身体を大事に良い子供産めよ。」星璃は、ガッカリするも、小春の子供が出来た事を喜んだ。電話を切った。今度は純麗だ。「純麗、私あかり、お前元気か?お姉ちゃん、聞いた、小春お姉ちゃんの事、私も二人目出来たよ。三ヶ月だって、お姉ちゃん。ごめん。私達にだけ授かっちゃって!ラーメン屋上手くいってんの?」純麗の声も明るかった。「純麗、おめでとう。お姉ちゃんも嬉しいお祝いするよ。私はまだだ!ラーメン屋は繁盛してる澪のおかげで連日満員だ。さっき小春も澪も純麗の事何も言ってなかったな?私に対しての気遣いか?妹達に気を使わせちゃてんな?メイクアップの仕事は順調か?元気で身体を大切に拓哉君にも宜しくな!」星璃は一人だけ取り残され感をひしひし感じて電話を切った。「幸子さん。あかりです。遅くなりまして、ティシャツありました。澪から近い内送られてくる手筈になっております。お楽しみに。お金は要りません。幸子さんもミーハーなんですね。」星璃は笑った。「あら!有り難う。先日は島で色々お世話になりました。楽しかったですよ。お魚美味しかった。星璃さんのラーメンも良い思い出になりました。こっちに帰ってからうちの亭主元気がなくなっちゃてね。星璃さんと別れたくないって一晩中、ダダを捏ねてたんです。グッスリ寝たなんてかっこつけてたけど一睡もしてなくて帰りの船ではずっと寝てましたのよ。あなたの事、愛してるって言っていたわよ。」幸子は、全部バラした。「ご主人は今、居ますか?私の声聞かせてあげますよ。」星璃は幸子さんに言った。「パチンコに負けてふてくされて帰って来て今、お風呂に入ってます。残念ね。」幸子は星璃に言った。星璃はこの時は二人の異変に気づいてあげられなかった。澪のティシャツが二人の死装束になる事にも気づいていなかった。「アッ!あかりさん。主人が風呂から出てきたわ、声だけでも聞かせてあげて、代わるから、あなた、ちょっとあかりさんから電話よ早く代わって!」幸子がスマホを伊佐夫に渡した。「もしもし、私だが、あかりさんか。島ではお世話になりました。楽しかったですよ。パチンコ負けて来ました。五万円。」伊佐夫は星璃に会いたいとは言わなかった。「伊佐夫さん、奥様から聞いたよ。私に会いたいって、私には一言も言わないじゃない?私が誘っても断るし、カッコつけてっからな伊佐夫さんは。すぐに会えない微妙な距離がお互いの間にあるからな!地理的にも。」星璃は少し強い口調で言った。「カッコつけてなんかないよ。私のポリシーだ!女に誘われてホイホイついていったら騙されたなんて本所そこらのコッパ役人じゃないんだ。俺は、そうじゃないと局長までにはなれないんだ。あかりさん。わかってくれ、俺の気持ち。」伊佐夫は星璃に本音をぶちまけた。「うん。わかった。あんたは立派だよ。自分の信念にぶら下がっつ生きていけばいいんだものなあ!奥様とか私の気持ち考えた事あるのか?伊佐夫さん。幸子さんだって沢山の涙を流してきてるのわからないか?よかったな!最後にババ引かなくて。私の事だよ。お元気で!電話切るよ。」星璃は頭に血がのぼったせいで強い口調になった事を電話を切って反省した。これが近藤と幸子との最後の会話になった、一週間後、土方から電話が入った。近藤夫妻が心中したと。長男の伊佐治さんから知らせが来たと。星璃はその場で泣き崩れた。とりあえずフェリーのチケットをとった。お通夜が明日の6時から自宅で。告別式は明後日の9時から。星璃は小春と純麗と澪に電話して近藤夫妻の訃報を知らせた。星璃は喪服を用意し数珠と香典袋に十万円を入れた。お義母さんと石山さんに葬式が出来た事と暫く店を休む事を知らせた。星璃は店の事は二人に託し、これからの事を考えると共に自殺の理由を考え始めた。「あかりさん。これ、沢井家から」お義母さんが香典を星璃に渡した。「要らないから。」星璃は聡子に香典を返した。ちょっと喪服を着たが少しキツかった。東京で新しいのを買おうと考えた。すべて、新調しよう。香典だけ持って家を出た。車に乗って運転した。11時出発のおがさわら丸に乗った。部屋に入るとベッドの上に仰向けに寝転んだ。死んだ理由を知りたかった。最後の電話もおかしかった。私も言い過ぎた感は否めない。行けばわかると気持ちを切り替えた、映画を見始めた。映画をやめて、民放のワイドショーを見始めた。澪のニュースをしていた。3頭目の熊を仕留めたとやっていた。佐竹のじっちゃんもチラホラ映っていた。人を殺っていた頃の顔つきと今の顔が違って見えた。今は見習いだから一日の日当が半額の7500円ってのも驚いた。それも徳川のじいさんの口利きで15000円になっていた事は知っていたが暮らしは楽ではないだろうと考えていた。マタギって金じゃねえ事を悟った。私らは金で動いていた。世の中のことあまり知らなかった自分に気付かされた。星璃は金銭感覚が麻痺していた。資産は十億円は下らないから、お金に困った事は無かった。恵まれていたのであった。でも、堕落してる訳では無いのはわかっていた。ラーメン屋だって、努力と才能だと思っていた。お義母さんと隆志と石山と神野が居たおかげだとも思っていた。けして、一人じゃなかった。殺しも姉妹がいたから出来て来た。それだけは忘れていなかった。だから、私は死のうなんて思わない。星璃はひらめいた。近藤にはそういう人が居なかった孤独だったのだと局長まで登りきりそれで辞職し、何もなくなったから生きがいが一気に消えちゃたからパチンコに逃げていたんだと。子供も居たよな?そう、3人パチンコ屋の蕎麦屋ので聞いた記憶がある伊佐夫さん、子供達にも頼れなかったのか?私には話してくれていた事にいまさら気づいた所で自分に言い聞かせた「あかり、遅えよ。お前が気づいてやれよ。遠慮してたのは、おまえだったと。」バルコニーに出て海へ叫んだ。この時はなんで死んだか聞かされてなかった。覚醒剤の多量摂取だった。それを聞いた星璃は伊佐夫さん、幸子さん、苦しかったろう?私がもっと楽に死なせてあげられたと悔やんだ。家族にあてた遺書と星璃にあてた手紙があった。家族宛ての遺書には財産分与と自殺した理由がながながと書いてあった。幸子さん宛の文章もあった。要約すると部下を沢山死なせてしまったお詫びと今までの諸行の数々のお詫びだった。お昼になっていたので食堂へ行った。カウンター席に座った。中村が注文をとりに着た。「チキン南蛮にしますか?カツカレーにしますか?」中村は笑顔で星璃の目を見た。「カツカレーがいいわ!」星璃は千秋の目を見て微笑んだ。「カツカレーですね。コーヒーはいかがしますか?」中村は星璃の目を見て微笑んだ。「もらう。淹れたて頼む。」星璃は千秋の目を見て微笑んだ。「少々お待ちください。」中村はキッチンに消えて行った。暫くして「お待たせ致しました。」中村がカツカレーを持って来た。「いただきます。」合掌した。いつものルーティンでカツを2切れたべてからごはんをルーに良く混ぜてから食べた。相変わらずカレーを飲んで完食した。「ご馳走様でした。」合掌した。そこへ中村がコーヒーを持ってくる。いつものルーティンだ!「あかりさん、今回は何のご用事ですか?」千秋が聞いてきた。「お葬式だよ。」星璃は千秋の顔を見た。「元財務省局長の近藤さんのでしょう?覚醒剤の大量摂取して、奥さんも道連れにしたやつ。さっきニュースでやってた。」千秋が星璃の顔を見た。「そうだ!当たり。覚醒剤大量摂取で死んだんだ。苦しかったろうに?私に頼んでくれたらもっと夢の中で死ねたのに!バカなじじいだな!」星璃は毒づいた。「夢の中でどうやって殺すんですか?私にはわかりません。」中村は星璃の目を見た。「これだよ。これ!」星璃はポーズで示した。「あら!いやらしい!そんなんで殺せるんですか?」中村は星璃の目を見て微笑んだ。「テクニックと催眠術と覚醒剤が必要だけど。千秋にもやり方教えてやるよ、彼氏千秋から離れなくなるよ。」星璃は千秋の目を見てニヤリ微笑んだ。「あかりさん。エッチですね。でも教わりたい。」中村も話に乗って来た。「今度、チルするか?レズの事だよ。私と千秋で女どうしも捨てたもんじゃないよ。千秋が死んだら責任もてないから、遊びですっか?一回だけ?」星璃は千秋の目を見て微笑んだ。「たぶん2〜3日は東京に居るから電話頂戴。道具は買っておくから。」星璃は千秋の目を見て微笑んだ。千秋は首を縦に振った。「ご馳走様でした。」合掌して中村に頭を下げ食堂を出て行った。部屋に戻ってワイドショーの続きを違うチャンネルで見始めた。澪は、波海と完全に別れて秋田県へ行ったとばかり思っていた。が時々東京に帰って来て会っていたが半年も続かず完全に別れていた。澪の事を受付無かった北海道では問題が起きていた。猟友会札幌支部長が解任される事態になっていた。澪の広告効果を見違えた結果だ。秋田県は増収増益だった。大反対したじじいは居場所がなくなり猟友会を辞め違う土地に引越す羽目になっていた。テレビでそこまでやるか?のレベルだった。見苦しいに程があった。澪に何台のカメラが密着してるか知りたい気持ちになっていた、星璃だった。星璃はバルコニーに立って海風にあたり、マジックアワーを眺めていた。いつも感動させられた。近藤夫妻もこれを見たかと思うと自然に泣けて来た。センチメンタルな気持ちになった。夜の食堂へ行くと満員だった。かろうじてカウンター席が一つ空いていた。そこに座った。中村も忙しそうだった。団体の客が乗っていた。中村が星璃に気づいて注文をとりに来てくれた。「今、忙しいから出来るの遅いよ。」と言ってくれた。「うん。いいよ。チキン南蛮お願い。コーヒーは忙しそうだからいらない。」星璃は中村の顔を見た。いつもより時間はかかったが料理が運ばれてきた。それを完食すると「ご馳走様でした。」合掌して食堂をでた。通路も客でいっぱいだった。食堂に入るのに並んでいたのだった。初めて見る光景だった。星璃の部屋は特1デラックスだったのでこの辺は静かだった。到着まで民放のドラマやバラエティを見た。久しぶりにテレビを見た感覚を覚えていた。11時過ぎに到着した。なかなかタラップを降りられずにいた。最後になった。小春が迎えに来てくれていた。ありがたかった。「小春ありがとう。身重なのに悪い!」星璃が小春の顔を見た。「うん。大丈夫だよ。たまに歩かないと。」小春は星璃の顔を見た。二人は車に乗った。「小春、礼服ってどこで売ってる。私、太っちゃって前の小さくて、明日買わないといけない?」星璃が小春に相談した。「しまむらでも売ってるけどちゃちいか?最近では紳士服の青山とか、デパートよね。」小春が答えた。「西葛西にサニーモールとかにあると思う、明日一緒に行ってやる。今晩家に泊まれば。」小春が言った。「有り難う、」星璃が返事をした。マンションに到着した。愛犬のリンリンと山南さんが出迎えてくれた。「山南さん。おめでとうございます。今晩すいません。泊まらせていただきます。」星璃は山南の顔を見て頭を下げた。「いいえ、自由にお使いください。このたびはご苦労さまです。」山南も星璃の顔を見た。「お姉ちゃん、お風呂入る?」小春が星璃の顔を見た。「船でシャワー浴びてきたからいい!」星璃は小春の顔を見た。三人は就寝した。


近藤夫妻が亡くなるシーンを書くのは辛く流すようになってしまい、申し訳ありません。次回は波乱の葬儀になります。お楽しみに。

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