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幕間3 彼の日常

下野精生の朝は早い。


彼は朝食はできる約三十分前に起床し、毎日のようにすることがある。


勿論、それは自慰である。


性の目覚めと同時に始めたルーティーン。

もはやこれをしないと朝を気持ち良く目覚めることが出来ない。


ランニングが好きな人が毎朝外へ走りにいくように、喫煙者が目覚めの一本を吸うように。

彼の一日は一回の行為で始まる。



……下処理を終えた精生は洗面所へ向かう。

手を洗い、歯を磨き、髪を整える。

朝の支度を手際よく終わらせて、朝食をとり、足早に学校へ向かう。


家から歩いて五分の最寄駅に到着し、そのまま電車へ乗り込む。

片道二十分の電車での通学時間、彼は携帯電話を取り出して時間を潰す。


この時間に良く見ているのは、成人向け雑誌の情報やSNSにアップロードされているセンシティブな絵だ。


こういったジャンルは深夜から朝にかけての更新が多い。

昨晩に回収しきれなかった情報は無いか、朝にアップロードされたばかりの絵がないかのチェックを行う。


携帯電話を見る彼の周りには、その男らしい目つきと凛々しい顔立ちに見惚れる女性が自然と集まり、小さな人混みを作っていた。


決まった時間に電車に乗る精生は、知らず知らずのうちに女性人気を獲得しており、中には精生を目当てに電車の時間を調整する人もいる。


そんな彼女らは、彼が今この瞬間も成人向けコンテンツの絵を見ている事など、夢にも思わないだろう。



昼休憩に差し掛かると、彼は朝に集めた収集物を手にトイレに駆け込む。

行先は大体適当に決めているが、彼は最近になってお気に入りの場所を見つけていた。


それは、職員室前にあるトイレだった。

ここは各学年の教室から少し遠く、職員以外にはあまり利用されない場所であり、一人でスルにはもってこいの場所だ。


……ただ、たまに誰かが勢いよく隣の個室に入っているようだが、彼は特に気にしていない様子だった。



放課後、今日はアルバイトもない暇な一日。

こういう日は家でエロ本を読み漁るに限る。


周りのクラスメイトが楽しそうの雑談をしているのを他所に、彼は一人で鞄の中身を整理する。

本日も誰とも話さずに過ごし、自分だけの時間を大切にする。


性の目覚めからというもの、他人と関わる事を極力避けてきている。

自分の快楽を最優先し、その為に色んな物を捨ててきた。

それが彼にとって最も気分が良い。


変わらない毎日。

小さな快楽の積み重ね。


それこそが、最も幸福なのだと彼は考えているのだ。


「……よし」


帰り支度を済ませ、早々と教室を出る。

今日は『おっぱい爆盛り、夢の超銀河世界ギャラクティックワールドへようこそ』の今月号が出る日だ。


彼は駆け出す。

今日のエロの為。

そして、新鮮な快楽を貪る為、今日も一人楽しく生きるのであった。

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