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メトロボーイ  作者: 亜同瞬
 
5/20

第五話 ドッグファイト

 日本チームは次々にトーナメントを勝ち抜き、ついに決勝戦進出を決めた。

 東京アリーナの観客席は再び熱気に包まれ、観衆の期待が高まっていた。


 トーナメント決勝戦

 アメリカチーム対日本チーム

 ステージ/峡谷フィールド


 アメリカチーム

 リーダー/ジェイコブ・ハンター

 ウィングマン/ブレイク・マーチ

 エース/ライアン・カーター

 カバー/エミリー・マディソン


 日本チーム

 リーダー/福田貴史

 ウィングマン/橋本優

 エース/天野友樹

 カバー/小川美咲


「次は、アメリカチーム対日本チームの決勝戦です!」

 アナウンサーの声がドーム全体に響き渡ると、観客は沸き立った。

 無数のライトがステージを照らし、空気が震えるような熱狂が広がっていく。

 友樹はアンダーセイバーのコクピットに座り、ヘッドセットを取り付けると深く息を吸った。

「天野、準備はいいか?」

 福田が無線で確認してくる。

「うん、いつでもいけるよ」

 友樹は操縦桿に手を添え、戦闘準備を整えた。


 対するアメリカチームはリーダーのジェイコブ・ハンターがチームメイトを鼓舞する。

「奴らを圧倒して勝つぞ」

「了解」

 ライアン、ブレイク、エミリーが一斉に答える。

「ゲームスタート」

 その合図と共に、両チームのアンダーセイバーが一斉に空中に舞い上がった。

 峡谷フィールドは、切り立った断崖絶壁が続く壮大なフィールドになる。

 アメリカチームは戦闘開始と共に編隊を組んで、日本チームに向かってきた。

「突っ込んでくるぞ!散開しろ!」

 福田の警告が飛ぶ。

 アメリカチームのミサイルが一斉に発射され、白い煙を描きながら日本チームに迫る。

 瞬時に反応した日本チームの機体は、急激な旋回でミサイルをかわす。

 友樹も操縦桿を引き、機体を垂直に引き上げた。

 その直後に、アメリカチームは一対一のドッグファイトを仕掛けてきた。

 橋本機が後ろを取られてしまった。

「後ろをとられた!」

 橋本が焦りの声を上げる。

「まずいぞ……」

 福田もジェイコブ機が後ろに付いていた。

 ジェイコブが福田機にロックオンする。

 福田は急旋回で回避を試みるが、ついに被弾してしまう。

「くそっ!やられた……」

 福田機は爆発し、画面に「Shot Down(撃墜)」の文字が表示された。

「福田くんが……」

 友樹はその光景を見て、唇を強く噛む。

 次に狙われたのは橋本だった。

 彼の機体もアメリカチームのブレイクに狙われ、逃げる間もなく撃墜された。

「ダメだ……逃げられない!」

 橋本が無線越しに叫ぶ。

 その後、小川もライアン機の追撃を避けきれずに撃墜されてしまった。

「ごめん……撃墜されちゃった!」

 友樹はたった一人、孤立した。

「僕しか残ってないのか……」

 四対一になってしまったが、ここで諦めるわけにはいかなかった。

 友樹は深く息をつき、冷静さを取り戻した。

 追いかけてきたエミリー機に、友樹は巧みに機首を上げてコブラ機動を繰り出した。

 エミリー機の背後を取り、ミサイルを命中させ撃墜した。

「これで残り三機……」

 友樹は降下し、峡谷の谷間に身を隠した。

 ジェイコブはすぐに友樹の動きを見抜き指示を出す。

「天野が峡谷に入った。挟み撃ちにしてやれ」

「了解!」

 ブレイクとライアンが応じ、峡谷へ向かっていく。

 峡谷の谷間は狭く、曲がりくねっている。

 友樹はレーダーを見つめ、前後に機体が迫ってきていることを確認した。

 前からブレイク機、後ろからライアン機――完全な挟み撃ちの形だった。

 ブレイク機がミサイルを発射した。

 ライアン機もミサイルを発射する。

 前後から迫る誘導ミサイルが友樹を完全に包囲する。

「一か八かだ……!」

 友樹はチャフを放出し、操縦桿を引き上げて垂直上昇を開始した。

 追いかけてきたミサイルはチャフに惑わされ、目標を見失う。

 その結果、ミサイル同士が直進し、ブレイク機とライアン機にヒットした。

「くそっ、やられた!」

 ブレイクとライアンの怒りの声が無線から響いた。

 彼らの機体は爆発し、戦場から姿を消す。

「よし……これであと一機だ!」

 友樹は自分に言い聞かせ、最後の敵を探し始めた。

 残るはアメリカチームのリーダー、ジェイコブ・ハンターただ一人。

「やるな、アマノ」

 ジェイコブの低い声が無線越しに聞こえた。

「勝負だ!」

 友樹は決意を込めて操縦桿を握りしめた。

 ジェイコブ機は後方から友樹の機体に迫り、機銃を発射した。

 友樹は急上昇し、その攻撃をかわすが、ジェイコブはすぐに追撃してきた。

「さすがリーダー……」

 友樹は冷静に判断し、次の作戦に出た。

 彼は急上昇を続けた後、一気に反転してバレルロールを繰り出した。

 急激な機体の回転と螺旋を描くような飛行で、ジェイコブの視界から姿を消す。

「どこだ!?どこへ消えた!?」

 ジェイコブが驚く間もなく、友樹は彼の背後に回り込み、ロックオンを完了させた。

 ジェイコブは気づいた時にはすでに遅かった。

「今だ!」

 友樹は叫び、ミサイルを発射した。

 ミサイルは一直線にジェイコブ機へ向かい、回避する間もなく直撃する。

「やった!」

 ジェイコブ機は爆発し、煙を上げながら峡谷の下へと墜落していった。


 試合結果

 日本チーム/残り一機

 アメリカチーム/残り〇機


 日本チームは、アメリカチームを破り、見事に優勝を勝ち取った。

 観客は大歓声を上げ、会場は熱狂に包まれた。

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