第二十話 エピローグ
友樹は、福田、橋本、小川、そして皆月とともに、エシャトゥーラの誘いでアストリア王国に招かれていた。
アストリア王国の地下深く広がるその神秘的な都市は、地底に存在しているとは思えないほどの壮麗さを誇っていた。
未来的な都市の中心部、荘厳な宮殿に足を踏み入れると、その内部には数十メートルもの高さを誇る巨大な柱が並び、壁には精緻な装飾が施されていた。
はじめて来た福田たちは、その圧倒的な美しさと壮大さに言葉を失った。
「ここが、アストリア王国の宮殿か……」
福田は思わずつぶやいた。
目の前には、玉座に鎮座するアストリアの王、カヴィール・サマールがいた。
彼は威厳に満ちた姿で、堂々と座している。友樹たちはその強大な存在感に圧倒され、緊張で身を硬くした。
王の隣に立っていたエシャトゥーラが、一歩前に出て静かに語りかけた。
「皆さん、よく来てくれました。あなたたちの勇気ある行動で、戦争を回避することができました。私たちアストリア王国を救ったその行動に対し、心から感謝しています」
王の口調に一切の曇りはなく、彼らへの深い感謝がこめられていた。
「感謝のしるしとして、あなた方にこの勲章を授与します」とエシャトゥーラが続けた。
彼は王の傍にある金色の勲章メダルを手に取り、友樹たち一人ひとりの首にその勲章をかけていった。友樹は、首に掛けられたメダルの重みを感じながら、その象徴的な価値を理解した。この勲章は単なる戦いの証ではない。
それは、アストリア王国の信頼と彼らの未来への希望を背負った重みだった。
カヴィール王が低く威厳のある声で言った。
「君たちの勇気と知恵には、私たち王国一同、心から感謝しています。しかし、これからも我々は地上の人間とは交わることはありません。アストリアの存在は、地上の人々には知られてはならないのです。どうか、この場所のことは秘密にしておいてほしい」
友樹たちは、一瞬お互いを見つめ合い、そして力強く頷いた。
「はい、アストリア王国については秘密にします」
彼らの声には、王国の平和を守るための強い決意が込められていた。
アストリアの壮大な文明を目の当たりにした友樹たちは、この場所が二度と危機にさらされることがないよう、王の願いを胸に刻んだ。
勲章の授与が終わり、しばらくの沈黙が流れたあと、エシャトゥーラがそっと友樹に近づいて言った。
「これが私たちとの最後の別れになります。今後、会うことはできないでしょう」
その言葉を聞いた友樹の胸に、ぽっかりとした空虚感が広がる。
「もう会えないのかな?」
友樹の問いかけに、エシャトゥーラは穏やかな笑みを浮かべた。
「私たちは、いつでも繋がっているよ。君が私を思い出せば、どんなに遠くにいても、心の中で再び会うことができる。私たちの絆は、時間や空間を超えて続いていくのだから」。その言葉を聞いた友樹は、エシャトゥーラと固く握手を交わした。「ありがとう、エシャトゥーラ」。その瞬間、二人の間には言葉以上のものが通じ合い、深い友情の証が確かなものとなった。
友樹たちはアストリア王国を後にし、再び地上へ戻ることとなった。いつもの東京の空が広がる日常が待っていた。
再び日常に戻った友樹は、これまで通り学校に通う毎日を過ごしていた。周囲の誰もが、彼が経験した壮大な冒険を知らない中、友樹は内に秘めた記憶と共に静かに生活を続けていた。昼休みになると、いつも通り校舎の屋上で携帯ゲームを楽しむ。表面的には、彼の日常は何も変わっていないように見えた。しかし、彼の内側には確かな成長があった。
ある日のこと、学校が終わり、友樹が校門を出たところで、見知らぬ中年の男が声をかけてきた。
「君は天野君だね?」
友樹は振り返り返事をした。
「はい、そうですが。何かご用でしょうか?」
「私は雑誌記者をしている者なんだけど。君は、ファルコが主催したEゲームの大会で優勝したんだよね?」
「はい、そうです」
友樹は簡潔に答える。
「実は、これは噂なんだが……アラン・ベイカーという男が、地底で武装し、どこかと戦争をしていたのではないかと耳にしてね。その中で、ゲーム大会に参加した子供たちが関与していたとも聞いているんだ。君は、何か知っているかい?」
雑誌記者の鋭い質問に、友樹は少し考え込み、首をかしげた。
「さあ……その話は知らないですね」
「そうか、君は何も知らないか……地底には行ったことがないの?」「いいえ、行ったことはありません」
友樹はきっぱりと答えた。
その時、少し離れた場所から声が響いた。
「おーい、天野!カブトへ行くぞ!」
友樹が振り返ると、そこには福田、橋本、小川が立っていた。
彼らは手を振り、待っている。
「お友達かい?」
友樹はほっとしたように笑い、雑誌記者の方に向き直った。
「ごめんなさい、もう行かなくちゃ」
彼は深くお辞儀をして、仲間たちのもとへ走っていった。
こうして、天野友樹の大いなる冒険は静かに幕を閉じた。
孤独だったゲーム少年は、仲間とともに、互いに支え合い、新たな未来を切り拓いていくだろう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ずっと「空想科学小説」のような作品を書きたいなと思ってました。
地下世界、地底人のような都市伝説系のネタやゲーム、登山、戦闘機などの趣味ネタも入れ込んで、ちょっとカオスな感じになってはいるかと思います。
昔、ゲームセンターの黎明期にはインベーダーを始めとしてシューティングゲーム全盛の時代がありました。私も学生時代にゼビウス、スターフォース、グラディウス、スペースハリアーなどゲームセンターが現実を忘れるための夢の空間であったと思います。
今ではスマホでゲームができる時代になり、シューティングゲームは廃れてしまいました。
映画「トップガン・マーベリック」公開に刺激され、またシューティングゲームの復権を目指してゲームをテーマにした小説を書いてみようと思いました。発想のネタ元は「スターファイター」という映画になります。アーケードゲームで最高得点を叩き出した主人公がスカウトされて本当の宇宙戦争に参加するというものでした。今回の作品では宇宙ではなく地底にしています。地底世界というとアガルタやシャンバラが有名ですが、あくまで伝説の域を出なかったのですが、元CIAのエドワード・スノーデンが地底人はいるという証言をしたことで、今なら地底世界がリアリティを持つのではないかと思いました。
この作品のご意見、ご感想をいただければ幸いです。




