圧巻の演技力
『!?』
『モブが増えて草』
『テイマー二人目!?』
「あー落ち着いて落ち着いて、ちょっとした戦力増強だから、大丈夫だよ」
ちくわが勘違いして熱狂しそうなリスナー相手に、なだめすかすように説明していく。ここら辺の事情説明は、炎上に気を付けて活動してきた彼女だけあって、俺とかねこまよりもずっと上手い。
「ファフニール三人で倒すのは流石に無理だから、人を増やす事にしたんだよね」
モブ二号が配信に参加することになったのは、昨日のミーティング中に決まった事だった。
将来的にファフニールに挑むのであれば、早い段階から連携やコミュニケーションを深めていくほうが良い。ちくわからそういう提案があり、東条君以外の俺たちはそれに賛同する。
東条君としては、ウェブプロ所属ストリーマーの看板を背負ったまま、深河プロの配信に出ることは難しいという意見で、配信外でなら一緒にパーティを組むことができる。という話だった。
だがしかし、俺はともかく、ちくわとねこまはプロどころかトップストリーマーである。配信中もダンジョンに潜り、配信外でもダンジョンに潜る生活は、配信以外のプロモーションなども考えると難しかった。
同じパーティで活動する回数を稼いでおきたい。しかし配信で顔が映って、東条君がただでさえ休止中なのに、他社所属のストリーマーと勝手にコラボをしている姿を見せるわけにいかない。それを解決させる方法がモブ二号だった。
「モブ君のバイト先の後輩なんだって、ダンジョンハッカーとしてある程度活動実績あるから、今回のお手伝いに呼んでみたよ!」
『確かにファフニール討伐三人は前代未聞だけど』
『三人が四人になったところで……って感じしない?』
『てかモブまだ専業ハッカーじゃなかったんだ』
ちくわの紹介が終わると、未だに懐疑的なリスナーは何人かいたが、彼の正体が東条匠馬だと看破する人は誰一人いなかった。
「ま、ファフニール討伐までだから、よろしくしてあげてね? ほら、二号くんも」
「……っす、頑張ります」
ねこまが二号に話を振ると、彼は妙にこもった声で返答する。
『ガチの陰キャで草』
『バイト仲間って事は、ほんとに配信に関しては素人なんだな』
『素人相手にトーク振りすぎるなよー』
凄い。
俺は素直にそう思っていた。
東条匠馬と言えば、男性向け整髪料とか、ファッション雑誌の広告とか、バラエティ番組のキレイどころみたいな役割で、ドラマ出演も一度や二度ではない。そんな彼がショウビジネスどころか配信で素人なはずがない。
だが、彼の演技力だけでここまで対応が変わるのは、流石としか言いようがなかった。これは確かにダンジョンハッカー以外の道も十分開けていると言わざるを得ないだろう。
「さ、そろそろボスを目指して出発しようか!」
「いこいこっ、頑張るぞー!」
ちくわが宣言して、ねこまがそれに続く、俺と二号はそれに続いて遠慮がちに右手を振り上げた。
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