コラボ決定
「遅かったな先輩」
「ちょっとね、スキル上げをしてた」
俺がファミレスに到着するころには、既に東野くんは席に座っていた。角の大人数用の席を確保してくれていたようで、こちらとしてもありがたかった。
「へえ頑張るじゃん。まあ確かに今の実力だとファフニール討伐は難しいもんな」
俺が席に座ると、彼はそういいつつ、メニューを渡してくれた。俺はパラパラとページをめくってから山盛りのポテトを注文する。二人で食べるにはちょっと多い量だが、これからの事を考えると丁度いいだろう。
「で、さ……俺たちだけじゃファフニール倒せないと思うんだよね。しかも映えを意識するとなると、人を無計画に増やすわけにもいかないしさ」
注文を終えてセルフサービスの水を持ってきたところで、俺はポテトが届く前に話しておきたいことを済ませることにする。
「ああ、だから俺としては上級のダンジョンハッカーと協力して討伐することを考えてる。いくつか目星も――」
「ちょっと待って、僕の方からの提案なんだけど……東野君って秘密守れるよね?」
「? ああ、そりゃストリーマーとして活動してるから、守秘義務くらいは弁えてるが」
東野くんは怪訝そうな表情を浮かべつつも答えてくれる。
「じゃあ、これから話す事はマネージャーさんにも家族にも言わないでね、SNSで匂わせるのも禁止、あと――」
「分かった分かった。大丈夫だからとりあえず要件を言ってくれ」
念入りに確認すると、東野くんは少々呆れたように答えてくれる。なので、多分大丈夫なのだろう。俺はそう判断して、昨日のボイスチャット会議で決めた提案を彼に持ちかける。
「深河プロのストリーマーとコラボする気はある?」
それを伝えると、東野くんの表情が途端に引き締まる。どうやら彼の中で、いくつかの候補がすぐに挙がったらしい。
「深河プロ側としては乗り気でいるんだけど……どう?」
「どうって……」
東野くんは考え込むように顔を俯かせる。俺としても、軽率に答えられては困るので、彼の中で答えが出るまで待つことにした。
たしかに彼と俺たちでは所属事務所が違うし、言ってしまえば競合他社、ライバル企業とも言える関係だろう。だが、だからこそその「あり得るはずのないコラボレーション」は相当な話題性がある。
「……分かった。やろう」
時間はかかったが、東野くんは首を縦に振ってくれた。
「ただし中途半端な実力の奴じゃ認められないからな、少なくとも登録者二〇万くらいのダンジョンハッカーじゃないと――」
「あ、それは大丈夫」
俺は東野くんの言葉にあっさりと答えて、グループチャットに「OKだって」と打ち込む。
「ホント!?」
「うおっ!?」
それとほぼ同時くらいで、東野くんの後ろで待機していた柴口さんが身を乗り出してきた。
「良いわね、企業を越えたコラボ配信! トレンド一位間違いなしじゃない!」
「ウェブプロとコラボかぁー……私、実はそっちの会社の事ぜんぜん知らないんだよね」
「ボクは何度かウェブプロの子とコラボしたことあるよ、ダンジョンハッカーとして活動する前の話だけど」
そして愛理と紬ちゃんもそれに続いて、こちらの席に移ってくる。
「先輩、もしかして……」
「あ、うん。コラボ予定の犬飼ちくわと珠捏ねこま、あとマネージャーの柴口さんね」
混乱している東野くんに、俺は三人を紹介した。
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