喫茶店では静かに
「……」
いや、何? この最悪な雰囲気は。
東野くんについて行って、なんか隠れ家的というか、チェーン店じゃない喫茶店に入って、それほど時間が経たずにこないだ会った及川って人が来て、コーヒーが運ばれてきたっていう状況だが、間違いなく「楽しくお話しましょう」っていう雰囲気じゃない。
いうなればカップルの片方が浮気してるのバレて、その言い訳が今から始まったりとか、そういう空気の方が近い。
「で、なんでお前にプライベートまで縛られなきゃなんねえんだよ」
多分さっき倒したクリスタルゴーレムよりも重い沈黙を破ったのは、東野くんだった。
「ダンジョン潜るくらい別にいいだろうが、第一活動休止してるんだし」
「そういう事じゃないの! たっくんは自分の知名度とか影響力とか、そういうの考えたこと無いの!?」
不機嫌な東野くんも相当怖いが、それを受ける及川さんも随分迫力があった。どう見ても未成年にしか見えない容姿だが、やはりトップストリーマーのマネージャーをするだけあって見かけで判断はできないのだろう。
「プライベートでも使うデバイスは大人気になるし、服の紹介をすれば即売り切れ、街中で遭遇報告があればすぐに人が集まってくるんだよ!? プライベートでダンジョンに潜るなんて危ない事をしないで!」
「ダンジョン自体入ってる奴いっぱいいるだろ! ダンジョンストリーマーもいっぱいいる! なんで俺は指図されなきゃならない!?」
「ちょ、ちょっと待った! 店の中だし落ち着こう」
二人の会話がヒートアップしてきて、周囲のお客さんとかマスターが何事かと様子を窺い始めたのを察して、俺は思わず二人を制止していた。
「ちっ……」
「むっ……」
二人それぞれに反応をして、ばつが悪そうに咳払いをする。周りが見えなくなるくらいまで高ぶってなくて良かった。
「ていうかアナタ、なんなんですか? 昨日もたっくんと一緒に居たけど」
一息ついたところで冷静になったのか、及川さんが俺に向かって指をさしてくる。
「あ、昨日も言ったけどバイト仲間で、篠崎優斗って言います」
人に指をさしちゃいけません。と言えるはずもなく、昨日と同じ自己紹介をする。
「ああ、それで俺のバディだ」
『は?』
自己紹介の言葉を引き継いで、東野くんがそんな事を言いだしたので俺と及川さんは同時に気の抜けた声を出した。
「い、いやいやたっくん。何を言い出すの? そもそもダンジョンに潜るのも控えて欲しいのに――」
「俺はモデルのついででおままごとみたいなダンジョン配信するんじゃなくて、ダンジョンハッカーがしたいんだよ!」
及川さんの言葉にかぶせるように、東野くんは心の底からそうであるとでもいうように、そう言い放った。
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