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たっくんはダンジョン大好き

「ちょ、ちょっとたっくん! 待ってよ!」

「要件あるならメッセージ送れって言ってるだろ。とにかく、俺に付きまとうのは止めろ……じゃ、行きましょうか」

「え、いや……いいのか?」


 なんだろう、頷いた手前言いにくいのだが、小さい女の子を相手に大人二人が虐めているかのような構図に、少々しり込みしてしまう。


「ああ、気にしなくていい。こいつはただのマネージャーだ」

「そうなんだ――ってマネージャー?」


 東野くんの言葉に、俺は思わず聞き返していた。


 驚いて視線を女の子の方を見ると、堂々としたたたずまいで、こちらを見返している。いや、どう見ても俺たちと同年代には見えないんだが……


「ええ、その通り! ワタシはたっくんこと超大人気カリスマストリーマーのマネージャー、及川すだちです。あ、名刺は今切らしてるので交換はナシでね」


 自信満々にそう話す女の子と、うんざりした様子の東野くん。なんだろう、とても二人の関係性が分かりやすかった。


「及川! お前プライベートの時は名前出すなって言っただろうが!」

「あっ、ごめんたっくん! ついうっかり」


 そう言って、及川さんは口元に手を当ててウインクをしてみせる。微妙に年代を感じる仕草に、俺は彼女が結構年上――いや、少なくとも同年代以上であることをなんとなく察した。


 彼女のそんな姿を見て東野くんは頭を押さえて深くため息を吐いた。


「あー……うん。なんというか大変なんだね、東野くん――っとぉ!?」


 彼にねぎらいの言葉を掛けようとしたところで、東野くんに腕を掴まれて引っ張られる。


「とにかく! 俺は仕事に復帰する気はねえから! しつこくかかわってくるんじゃねえよ!」

「たっくん!」


 東野くんは彼女にそう吐き捨てるように言って、俺の腕を引いて走り出した。



――



 彼はしばらくダンジョンにもぐっていないだろう。だがそれでもダンジョン配信で生計を立てるストリーマーだった男だ。


 ということは、人並み以上に体力があるのは言うまでもない。


「はぁ、はぁ……」


 俺は何とかバランスを崩さないように彼についていき、今は喫茶店の注文待ちの列に並んでいた。


「奢ってやるよ、ミルクココアでいいか?」

「いや、ア、アイスティーで……」


 流石にこの状況であったかくて甘いものを飲む気にはなれなかった。


「……しかし、意外と体力あるな、先輩」

「そ、そう見えるかな」


 何とか椅子に座って、ぜーはーと息をしていると、そんな事を言われた。


「ああ、最悪担いでいかなきゃならんと思ってたからな」

「はは、まあ、俺もダンジョン潜ってるから、それなりに体力がついてきたのかな――あっ」


 満身創痍での油断か、東野くんとの仲間意識からか、思わず口を滑らせてしまう。


「ん? 何だ先輩もダンジョンに潜ってるのか、じゃあせっかくだしスキル構成とか見せてくれよ」

「いや、いいよ! それに東野くんダンジョンに嫌気がさして辞めたんでしょ!?」


 ダンジョン探索者の識別票や提携アプリを見せる訳にはいかなかった。なぜなら、そこにはモビとマンダがすぐわかる位置に表示されている。いくら鈍くてもこれを見られたらバレてしまうだろう。


「遠慮すんなって、それに俺、配信は嫌いだけどダンジョンに潜るのは好きだからさ」


 東野くんは楽しそうにそう言うと、俺のスマホを取ろうと手を伸ばしてくる。


「ぎゃーっ! 無理無理!」

「いいじゃんいいじゃーん」


 どうも東野くんはダンジョン探索に話になると、人が変わるらしい。俺は何としてでも見られるわけにいかないスマホを、彼の魔の手からなんとか逃がすのだった。

――読者の方へおねがいとお知らせ




 お読みいただきありがとうございました。現在私は「ビヨンド・ジ・エンド」というSF作品でカクヨムコンに参加しています。カクヨムコンは異世界ファンタジーや現代ファンタジー、異世界恋愛が強い状況で、その中で戦っていくためには皆様の助力が必要不可欠です。




 もしよろしければ、「ビヨンド・ジ・エンド」作品ページにある+☆☆☆の+を押して★★★にしていただけるとありがたいです。




 では、よろしくお願いします。

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