街中での遭遇
「自分から行くって、正体明かすとかそういう事?」
彼女の言葉に、俺は首をかしげる。できれば俺がモブだということは、柴口さんを含めた四人の秘密にしておきたかった。
「ううん、そうじゃなくて、優斗さんが正体ばれてないなら、東条さんと色々話して、あの人自身の目的を探ってみたりするといいんじゃないかなって」
なるほど、敵を知る……って訳じゃないが、情報は確かに知っておきたいもんな。虎穴に入らずんば虎子を得ずってやつだ。
「確かになあ……でも、警戒されないように注意しないと逆に怪しまれるかもしれないし、ちょっとタイミングを探ってみるよ」
俺はそう答えて、次のダンジョンボス討伐の作戦を話し合った。
――
「ふぁ……ぁあ」
昨日の会議は結構遅くまでかかったので、今日起きたのはもう十二時前だった。俺は夕方からの裏作業の準備のため、散歩もかねて買出しと荷物整理に向かうことにして、街中を歩いていた。
しかし昨日の話で、東条くんと仲良くしておいたほうが良いってことは共通認識として得られたのだが、具体的にどうするかまでは考えが及ばなかった。
なんせ彼は活動休止しているとはいえ、トップ層のストリーマーである。不用意に近づこうとすれば、警戒されてしまうだろう。
どうしたもんかな……と考えていると、言い争う男女が目に入った。女の方は随分身長が低く、一五〇も無いように見えるし、もしかすると中学生かもしれない。そして一方の男はすらっとした美形である。
「なんで? ちゃんとこれから気を付けるから!」
「うるせえよ、それが信用できないって話だろうが」
うーん、なんだろう。兄妹喧嘩かな?
そう思いながらなんとなく見ていると、男の方に見覚えがあった。
「東じょ……東野くん?」
「あ?」
東条匠馬――いや、東野匠くんだった。
「どうしたのこんなところで、兄妹喧嘩?」
「いや――」
「ちょっとちょっと、ワタシと彼の会話に入ってこないで下さいよ。ていうかアナタ誰ですか?」
東野くんが何かを言おうとしたが、ちっちゃい女の子がそれを遮ってこちらを睨んできた。いや、何だこの子……?
「えっと、バイト仲間ですけど……」
「バイト!? たっくんバイトしてんの!? 勿体ないでしょ! すぐやめて!」
「あーうるせえうるせえ、先輩、丁度よかった。喫茶店行きませんか?」
信じられないというように愕然とする女の子と、明らかに鬱陶しそうな顔をする東野くん。
「あ、ああ、良いけど」
俺はそんな二人に圧倒されつつ、つい頷いてしまった。
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