抵抗は無意味である。
『もーみんな、良くないよそういうの!』
ねこまが不機嫌そうにそう言っているのが聞こえる。俺は再び鼻をかんでいた。恐らく鼻が鬱血して真っ赤になっている事だろう。
「一応見てるけど、今はねこまとちくわの配信中だろ、マナー守れよ」
何とかもう一度ご飯粒を排出して、コメント欄に投稿しておく、流石にこの状況で俺への言及がしつこく来るとは思わなかったし、このままでは収拾がつかなくなるだろう。
「ごめん」
「さすがに悪乗りし過ぎたな」
「ごめんね、ねこまちゃん」
配信コメントは何とか落ち着きを取り戻したようで、幸いなことにその後はつつがなく配信を続けることができていたようだった。
『じゃあまたねー!』
『明日はボクのチャンネルでやるから見てねー!』
配信が終わったところで、俺はファンコミュニティを巡回する。気付かないところで炎上の火種がくすぶっていないかチェックする為だ。
「今日の配信はよかったな」
「ていうかモブ、ちゃんと見に来てるんだな」
「そうそう、その前後のねこまちゃん。割と成長してたよな。昔はよその話が出ると不機嫌になって配信切ってたじゃん」
どうやら、全体的に好評なようで、俺はホッとする。もしねこまとかちくわの強火オタクにヘイトを買っていたらどうしようかと思った。
「だなー、休止前と全然違う……実はちょっと寂しさもあるんだよな。ほら、休止前って炎上上等な感じでバチクソ尖ってたじゃん」
「たしかに、でもあの尖り方だとあれ以上登録者増やすの大変だったろうからなぁ」
「事務所謝罪だけで本人ケロッとしてるの突き抜けてて面白かったけどなw」
なんだろう、ちょっと住人たちの言うことも分かってしまうような気もする。体当たりでマニアックなことしてた深夜番組がゴールデンに行って丸くなっちゃったみたいな。そんな感じ。
「てか、明日モブがサプライズで出てくれないかな?」
「どうだろうな―、コメント見る感じ、露出嫌ってそうだし」
「そうは言っても、ちくわとねこまのアシスタント名乗ってるし、二人から言われたら出るんじゃないか?」
その書き込みを読んでからスマホを確認すると、メッセージが着信していた。俺、柴口さん、ちくわ、ねこまの四人で作られたグループチャットだ。
――ね、優斗。配信見てくれた? SNSのリプライでも要望が出てるんだけど、明日一緒にゲーム配信しない?
……まさに来るだろうな。と思っていたメッセージが愛理から来て、俺は溜息を吐く。
――そうね、要望が多いなら出ちゃったほうがいいと思うわ。
――え、明日優斗さんも配信出てくれるの!?
柴口さんと紬ちゃんもそれが当たり前とでもいうようにメッセージを送ってくる。
――分かった。ただしウェブカメラは無しな。
俺はもう抵抗できなかった。
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