節穴アイは健在らしい
カクヨムコンに集中するので文字数少なめで更新していきます。
テレビで見るような人気者っていうのは、案外すぐ近くに居たりする。
それに気づかないのは、単純に注意力の欠如とか、そういう理由もあるが、あまり責めないでやってほしい。なぜなら、人気者側も自分を隠そうとしていたりするのだから。
「ねー、篠崎君。この日シフト変わってくれない?」
「あ、その日は無理ですね」
金澤さんからのお願いを即答で断って、俺は帰りの荷物を纏める。バイトの回数は随分減って、週一回のペースまで落ちていた。店長があんまりにも忙しそうだと緊急で入ったりもするが、最近はもうほぼ完全にダンジョンハッカーだ。
「ほらー金澤さんダメじゃないですか、その日はちくわちゃんとモブくんのコラボ配信ですよ。篠崎さんも手伝わなきゃいけないんじゃないですか?」
「あ、ああ、そう、そうなんだよ」
山中が間に入っていつものように金澤さんが納得する。
「えー……モブ君のリアタイしたーい……」
「俺以外の奴に声かけてみてくださいよ、案外受けてくれる人いるかもしれないですよ。ほら、食べ物で釣ったり――」
「おお、君達休憩中か、丁度よかった。今日から新人が入るから、色々教えてやってくれ」
俺が言いかけたところで、店長が事務室から出てきた。ああ、そうか、俺があんまりシフトに入らなくなったから、新しい人を入れたんだな。
「じゃ、君、これからお世話になる先輩方に挨拶して」
店長に促されて、新人が部屋に入ってくる。
「よろしくお願いします」
……ん?
部屋に入るなり深々と頭を下げた彼の声に、不思議な聞き覚えがあった。なんだろう、すごく最近聞いたような。
俺が不思議に思っていると、彼はそのままゆっくりと顔を上げる。髪型は随分地味になって眼鏡を被っているが、その目鼻立ちを見て俺はピンときた。
「えっ東じょ――」
「東野匠です。至らないところがあると思いますが、教えていただければ幸いです!」
俺の声は彼のはっきりとした声にかき消されてしまった。
「そっか、東野君ね、よろしく」
「よろしく! いやー初めての後輩だよ。仲良くしていこう!」
「えっ、あっ、よ、よろしく……」
二人が気付く素振りも無く、朗らかに挨拶をしたので、俺はとりあえずそのまま二人に習うことにした。
いや、二人とも……俺の時もそうだけど、あまりにも騙されやすくない?
俺は心の中でそう思いながら、視線の先にいる新人――東条匠馬をまじまじと見つめ、彼から「言うなよ、絶対言うなよ」というアイコンタクトをバチバチに貰うのだった。
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