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速攻で集まった。

「飼い主殿のみんなー! 猛犬系ストリーマーの犬飼ちくわだよー!」


 スピーカー越しじゃない挨拶にちょっとだけ感動する。


 配信開始となったところで、俺たちは自宅から少し遠いところにあるダンジョンで配信をしていた。


「今回はお昼のコメント返信と、同時並行で研磨石を掘っていきまーす!」


 仮面の下で、配信画面がAR表示される。俺の視界は様々な表示があり、視線の位置をAIが感知してその都度必要な情報を追加で開示するようになっていた。


 確かに仮面型のデバイスは大きくゴツいが、それ以上に快適だった。不評というのは、愛理が言う通り「ストリーマーにとって」という事なのだろう。


『ちくわちゃん昼の間にどれくらい集めたの?』

『配信何時まで?』

『手伝いにパーティ組みませんか?』


 コメントが大量に流れる。愛理――いや、配信中はちくわって言ったほうがいいか、彼女は愛想よく返事をしつつ、スパコメの読み上げをしていた。


「――それでねー、研磨石集めるの大変じゃない? だから、ちょっと今日はお手伝いさんを呼びました!」


 反応が一区切りついたところで、カメラが俺に向く、配信画面に映る俺の姿は、何というかゲームのモブそのものだった。


「どうも、モブです」


 だからこそ、俺はこのハンドルネームを使う事にした。主役はあくまで犬飼ちくわ、俺はただのお手伝いさん。そういう印象付けも狙っての事だった。


『モブって、そのまんま過ぎw』

『ソシャゲの★2キャラかな?』

『げ、男かよ』


 反応はちくわの時と似たり寄ったりだが、所々で裏側にある警戒心が透けて見える。顔出しでやっていたら恐らくこれ以上の針のむしろ状態だっただろう。


「今日は二人で掘っていくんだけど……モブ君、アイテムストレージ見せて」

「はい」


 名前とか表示された個人情報を隠しつつ、自分のアイテムストレージをドローンに見えるように提示する。


「で、みんなよく見ておいてほしいんだけど、モブ君は研磨石一個も持ってないし、今日探索者になった初心者だから優しくしてあげてね!」

『了解ー』

『初心者でちくわと組まされるのかわいそう』

『ま、まあ、今日はボス討伐しないはずだから……』


 初心者という言葉で、リスナーの空気が少し同情が混じった物に変わる。なるほど、こうやってコントロールしてるんだな、さすがはトップストリーマー。俺は素直に感心した。


「そういう訳で、何とかお昼にスタッフに手伝ってもらってかき集めた125個の研磨石! あと75個頑張って掘っていこう!」


 そう言ってちくわは拳を振り上げる。そういう訳で、俺の初参加配信が始まった。



――



 俺がピッケルを振り、ちくわがコメ返し含めた雑談配信をする。そんな流れで配信は続いていた。


「キュー……」


 ちくわが完全に雑談配信に意識を取られているので、俺は自衛のためにモビを出していた。


 ちなみに彼は採掘を繰り返す中、成長素材をひたすら食わせたので、結構強くなっていた。ステータスとしてはこんな感じだ。


名称:モビ

種族:モーラビットLv9

力:5

知:4

体:2

速:6


 やっぱり速>力といった感じの伸びだ。知って言うのが何なのか分からないが、立ち回りが賢くなったりするのだろうか。


 そして、ひとつわかったことがある。モビはこれ以上強くならないのだ。


 いや、正確には強くなる要素はあるものの、現状ではどうやっても強くなれない。なぜならこれ以上強くなるには進化という項目を満たす必要があるのだ。


 これはどうも、初心者用のダンジョンでは落ちていない素材が必要なようで、森の雫という素材が必要らしかった。


『あれ、モブの肩に乗ってるのって、テイムモンスター?』


 リスナーの一人が、そんな事を書き込んだ。


『うわ、ホントだモーラビットじゃん』

『ちょっとよく見せてくれよ』

『日本にテイムモンスターっていたんだ』

「え、ちょ、みんな落ち着いて」


 ちくわが慌てていたので、助け舟を出すつもりで俺は採掘を中断してドローンに近づく。


「んーバレちゃったね。そう、実はビギナーズラックって奴かな、お昼の裏作業の時にテイムできちゃったんだって、モブくんその子を紹介してあげて」

「こいつはモビです」

「キュイッ!」


 あんまり自慢げに聞こえないようにモビを紹介する。モビは言葉が分かっているのかいないのか、短く鳴いて反応を返した。


『モブとモビってw適当過ぎるだろww』

『うわー初めて見た。大事にしてあげてね』

『強化素材の必要量がえぐい奴じゃん。初心者でこいつは大変だろうな』


 分かりやすいようにモビのステータス画面を表示させて、ドローンに向けて見せるとコメントが滝のように流れた。


「そうそう! テイムモンスターってかわいいよね! これからもちょくちょく手伝ってもらうから、モブ君とモビちゃんもよろしくねー!」


 そう言ってちくわは話題を次のスパコメに移行させる。俺は近くの採掘ポイントへと歩いて行って、ピッケルを振り下ろす作業に戻る。あと10個ほど採れば75個まで届くはずだ。


「えーと、次のコメントは『研磨石集めるの大変ならいいダンジョン知ってますよ場所は――』あーっと、住所はあんまり書かないほうが良いかな? それに研磨石はもうすぐ全部集まるし、心配ありがとー!」


 そう話している間に、俺は研磨石を集め終えた。ちくわに報告しようかと思った時、流れるコメントが目に入った。


『200個もう集まったとか嘘じゃなかったら10人とかそんくらい集めないと無理だろ、初心者にそんな負担掛けるなよ』


 別に負担だとも思ってないが、反論するにもここはちくわのチャンネルだ。下手に騒いで炎上したら迷惑がかかる。俺はそのコメントをした奴の名前を覚えつつ、無視してちくわに報告する。


「ちくわ、集まった」

「ええっ、も、もう!? コメント半分しか読んで無いよ!?」


 半分しか読んでいないとしても、75個集まってしまったのだ。仕方ないだろう。


『は? もう?』

『早くね?』

『別の物集めてない?』

「ま、まあいいや……えっとね! モブ君の物欲センサー壊れてるみたいで、すごい勢いで研磨石集められるんだよ! ほら!」


 そう言って、ちくわは俺にストレージを開示するように促してくる。俺はそれに従って、研磨石75個の表示を見せつける。


『マジで集まってて草』

『物欲センサー壊れてるの羨ましい』

『モブさん鬼強えええ! このまま妖怪イチタリナイもブッ殺していこうぜ!』


 なんかまたよくわからない概念を言われるが、反応しにくかったので、俺は「あはは」と愛想笑いを返した。


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