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あいつダンジョンハックの話になるとめっちゃ早口になるよな

 ミーコさんから教えられたことは、なんというか小学生のボールを追いかけるだけのサッカーから、中学高校で部活に入ってから教わる作戦のあるサッカーへの変化が一番わかりやすいと思う。


 全員でボールを追いかけて、シュートを決めれば勝ちという戦い方から、オフサイドの警戒や前線の構築などのいかに効率よく攻撃と防御への移行をするかという概念の提示、それが役割ロールをこなすという事だ。


「じゃ、じゃあ……これから、私とココ、コンビーフさんで二人で動く場合の実践をしてみ……します!」


 座学を終えた俺たちは、ユキテンゲのダンジョンに赴いていた。


 ここに決めたのは、俺の希望するところが大きく、ユキテンゲをテイムするという目的を言ったら、彼女は快諾してくれた。やはり俺の正体を知っている人とダンジョン攻略するのは、色々と楽でいい。


「えっと、じゃあ二人で戦うなら俺がバフ役で――」

「いやコンビーフさんが近接火力兼タンクをしてください!」


 俺がモビたちを呼び出そうとしたところで、ミーコさんからストップがかかった。


「今回は初めてなので多分慣れてないと思うんでまずは火力側に立ってどういうタイミングで支援されると動きやすいかとか実感してくださいあとボスモンスターの動きとかもそれとなく把握してパーティメンバーがどうやって動くのとか考えながらやってください私は今回支援に回るのでまず決壊することはないと思うのでまずは安心して冷静に動きを一つ一つ確認しながら落ち着いて行動をしてみてください!」


「……あ、はい」


 なんか滅茶苦茶早口でまくしたてられたが、今回はバフ役にミーコさんが全力で徹するので、自分がその役割になったらどういう行動すればいいか、実際に支援される側に回りつつ考えなさい。という事らしかった。


「そういうわけで、行きましょうか」

「は、はい」


 俺はボス部屋の扉を押しあけて、槍を構える。モビは既に出しており、周囲を警戒するように鼻を動かしている。


「クルルルゥ」


 雪天花が現れると冷気が巻き起こり、気温が一段階下がる。そして体中を突き刺すような冷気が……訪れない?


「これが支援魔法『防護』の効果、戦う相手が決まってるなら挑む前からかけておいて」


 戦いの緊張感からか、ミーコさんは幾分か聞き取りやすい話し方になっていた。さすがは上級ダンジョンへ日常的に挑むダンジョンハッカーである。ここら辺の切り替えはすぐに出来るようだ。


「っ、行きます!」


 俺はミーコさんに一声かけると、地面を強く蹴ってユキテンゲとの距離を詰め、手に持った槍を突き出した。

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