三つ
全知全能の神は己を三つに分けた。
一つ目には少しばかりの神の力と自由を
二つ目には多くの神の力と制限を
三つ目には余ったモノすべてを与えて
自由な一つ目は"魔法使い"となって世界を巡った
制限の二つ目は物語を紡ぎ出す世界を"記録"した
余りの三つ目は世界に超えられない"試練"を課した
一つ目と二つ目は世界を神のように愛し見守ったが、
三つ目は神が愛した世界を壊そうとした
自分と同じ余り物でありながら、未だ絶対的な力があった神が嫌いだった
龍は弱く小さいまま、満たされぬままに死ぬはずだった。
ある少女は偽神となり、勝利に固執し死ぬはずだった。
一つ目と二つ目はその結末を良しとしなかった。
世界が終わることを良しとしなかった。
一つ目は"魔法使い"として、主人公に近づく脇役として試練を超えるきっかけを与えた。
二つ目は"記録者"として、不幸から幸福に変わる物語を記録し続けた。
三つ目は今もまだ、試練を世界に課し続けている
いつか世界が終わる日まで。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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