友を傷つけた罪
マークレイの両目の中に今初めて生みの親が映る。
あれが親父、おふくろ。
マークレイは自己の内面と戦った。
激しい葛藤が彼を襲う。
い、いくら生みの親の為とはいえ、仲間を裏切れる訳ないだろ。
俺達悪い事もやったと思う。
でも仲間だけは信じあってたんだ。
父と母が目に入り、仮に捨てられていなかったらという架空の幸せな家庭が思い浮かんだ。
俺は誰にも甘えない、孤児だからそう誓ったんだ。
でも今俺は甘えたがってる。
俺は普通の人と比べ十七年遅れて親と会ったんだ。
顔を見たんだ。
で、でも!
「仲間を裏切るなんて、出来るかよ!」
「……」
「俺がここにいるのは皆のおかげなんだ。孤児だからこそより仲間が大切になったんだ。俺はいつも皆に助けられているだけだ。それに俺はだから人を守れるくらい強くなろうとしたんだ。俺の人生に仲間を外す事なんて出来ない!」
ジョルジョは付け込んだ。
「いいんですか? ご両親と会えなくなっても。もしサブラアイム軍に入れば、貴族並みの生活を三人にさせてあげます。今までの辛さを消し愛に満ちた生活が待っているのです」
マークレイの父親が言った。
「マークレイ……」
本当に辛そうに力を絞り出した。
「マークレイ、すまなかった、すまなかった」
「……」
偽物じゃないかと思っていた。
だが違う、何となく雰囲気でわかる。
本物だだがそうだとしても!
「仲間何て裏切っちゃえよ」
ビスコは言った。
「裏切るか」
「何?」
「裏切らない! 例え父さん母さんが本物で俺に会いたがっていたとしても、今の俺がいるのはクラビ達のおかげなんだ! 何も出来ない俺を皆が支えてくれた! だから今度は俺が支えるんだ!」
ジョルジョは揺さぶった。
「いいんですか? 二度と会えなくなっても」
「親は俺を捨てた。だから今は仲間の方が大事なんだ」
「どうやら本物のようですね。では正面から相手しましょう!」
ジョルジョがサインすると十人近い兵が現れた。
しかしマークレイは動じなかった。
「来い、俺は絶対屈しない!」
そこへクラビが現れた。
「ぬ!」
「何か、マリーディアが助けを求める声が聞こえて気のせいかと思ったけど、ど、どう言う状況なんだ? 何でビスコとマークレイが」
マリーディアは目を覚ましかけた。
く、クラビ……
私の声が聞こえたって……
わ、私の事を……
クラビは聞いた。
「ビスコ、どういう事なんだ」
「どうもこうもない。お前たちをはめようとしただけさ」
ビスコは悪びれなかった。
クラビは悲しがった。
「信じられないよ」
「自分のお人よしさを嘆くんだな」
ジョルジョは言った。
「全て手の内通りだったんです」
クラビは言った。
「分かった。よく分からない部分もあるけど俺が相手するよ」
マークレイは決意を表明するように前に出て言った。
「待てクラビ、お前は裏切られて傷ついている。ボジャック、ジェイニーもだ。ここは俺一人でやらせてくれ」
ビスコは言った。
「君が俺の相手だと?」
「ああ、クラビ達は優しすぎてお前に騙されちまう。俺は鈍い無神経だから傷つかない。俺がお前を倒す」
「ふん」
すっかり臨戦態勢だ。
二人はにらみ合った。
マークレイは構えた。
「優しい人間を裏切って傷つける事がどれほど重い罪か教えてやる」




