ストーカー再来
「はあっはあっ、ようやく勝った」
傷ついたボジャックは疲労懇唄の中絞り出した。
ゾゾが言う。
「こいつら二人、前にドラゴンの姿した人間の様に多分人間じゃない生命体です。でなきゃこんなに打たれ強い訳がない。アンドレイ直属の人間以外の悪魔みたいな種族なんでしょう」
ジェイニーは言ったさか
「剣術だけじゃ勝てなそう」
マークレイは言う。
「そうだな、人間の姿であっても、巨大な化け物を相手にする気持ちで強い攻撃をこれでもかと叩き込まなきゃ駄目だな」
ゾゾは言った。
「ただ、苦戦はしたけど、司令官を一気に二人倒せました。これでサブラアイム軍の戦力を大きく削ぐことが出来ました。アンドレイに近づいた感じで」
クラビは言った。
「そうではあるんだけど、多くの人達を犠牲にしてしまった。利用されてたあの男の人や町の人達」
ミッシェルは鋭く言った。
「クラビもマリーディアもわざと今回も止め刺さなかっったの?」
「はい」
「そりゃ人の命奪うのってためらうよね。でもヒーラーたちがまた回復させてまた相手しなきゃならなくなる」
マリーディアは悲しそうに言った。
「分かってはいるのですが」
ミッシェルは言った。
「よし、俺が止めを刺してやろう。俺は忍者の一族の任務で何人か暗殺をした事もある。俺がやるよ」
と歩を進めた瞬間聞き覚えのある声が聞こえた。
「お休みの所すみません」
「え?」
それはあの男だった。
「ゼネイル!」
まさかのゼネイルだった。
そして何故か顔は美形だがどこか全体的に軽く質も悪そうな現代で言う悪質なホスト風の男が隣にいる。
二人共サブラアイムの軍服を着ている。
ボジャックは言った。
「性懲りもなく、仲間でも連れて仕返しに来たのか!」
いきなりゼネイルは笑い出した。
「ぷっくくく、バーカ! 騙されたな! 俺は元々マリーディアに一ミリも興味はねえよ」
「え?」
「俺は偵察してたに過ぎない。本当にマリーディアにストーカーしようとしてるのはこのイアン先輩よ」
「え?」
「ふふ、宜しく」
「どう言う事だ」
「元々俺はイアンさんの子分で命令で孤児院時代からマリーディアの動向や周りにどんな人間がいるのかどうか探ってたのよ」
「何だって!」
イアンは花束を持ちマリーディアに歩み寄った。
「初めまして。貴方を愛する者です。二人の世界にこれから行きましょう」
マリーディアは戸惑い嫌悪した。
「何なんだお前!」
「止めろ!」
ボジャックとゾゾが前に出たが怪我のせいで素手で弾き飛ばされてしまった。
あの二人を簡単に
クラビは戦慄した。
「止めなさい!」
ジェイニーも出たがいきなりイアンは睨み顔を張り倒した。
「な!」
「女を張り倒しやがった」
「さあ」
と迫るイアンにマリーディアは怖がり嫌がる。
クラビは何故か戸惑っている。
そこへマークレイがイアンの手を掴んだ。
「やめろ」
低い声で言うマークレイにゼネイルは言った。
「ほう、お前は確か孤児院時代から一番前面に立って戦ってたやつだな。気があるのか?」
「……」
マークレイは黙っていたが少しして言い返した。
「マリーディアは俺が、守る……!」
「え?」
クラビはさすがに戸惑った。
そしてマークレイは何故かクラビを睨みつけた。
その気迫と憎しみを帯びた目に気おされ何も言えなかった。
マークレイ……
マリーディアは複雑な思いだった。
孤児院時代からよく明らかに好意を持った感じで話しかけられた事、好意を匂わせていた事。そしてクラビが何故か動かない事にも。
クラビは内心思っていた。
マークレイは昔からマリーディアが好きっぽかった。
だから俺と一緒にいるのが気に入らないのかも。
イアンは言った。
「いいぜ、勝負するか。素手と剣どっちがいい?」
「剣で」
「良いだろう」
とイアンは剣を引き抜いた。
マークレイも少し遅れて引く。
そして皆が場を暗黙的に空け、まるで決闘場の様にスペースが出来た。
そして二人は向かいあい、遂に切りあいが始まった。
マークレイは感情的になっているのか、大きく振りかぶり左斜め八十度の垂直に近い袈裟切りと、右への四十五度に近いそれを出したが、いずれもイアンは完璧に防いで見せた。
マークレイは少し焦っていた。
今度はやや大味な中央付近への連続突きを浴びせる。
しかしイアンは余裕綽綽だ。
そして
「今度はこっちから行くぞ」
と余裕に満ちた口調で剣を繰り出した。
中央付近を狙う、かつ絶妙に一発ずつ角度をずらした攻撃を繰り出した。
「くっ!」
明らかにまだ本気を出していないが、マークレイは防戦一方になった。
「くっ!」
マークレイは間合いを取り、アンカーから火を出した。
「ほう!」
しかしイアンはあまり驚かず、さっとかわして見せた。
こいつあまり動じていない、何故だ。
マークレイは戸惑った。
またイアンはにやりとして動きを止めた。
「面白いものを見せてあげようか」
と言い手首を見せた。
「な?」
「あれはアンカーのブレスレット!」
「何であいつが!」
「ふん!」
と言いイアンは火を出した。
「くっ!」
と咄嗟に火を出して相殺した。
マークレイはアンカーカードを入れ替えた。
「俺のアンカーは石や岩を操れる」
と言うと先程の様に地面から石を浮かせ何発も散弾銃の様に飛ばして見せた。
「はあ!」
さらに意思を左手に集めこん棒の形にした。
「二本の武器を喰らえ!」
とこん棒で殴りかかったが、驚くべきことが起きた。
何とイアンは左手にもブレスレットをしていた。
「な⁉」
そこから火を出し、こん棒を焼いてしまった。
「驚いたか?」
今度は両腕から火を出しマークレイを炎に包んだ。
「はーっはっは! アンドレイ様は俺のマリーディアへの気持ちを理解しブレスレットを二つくれたのだよ!」
「うわああ!」
女神は言った。
「ブレスレットを二つ付けたらエネルギーオーバーよ! 普通の人間なら体を破壊してしまうわ!」
クラビは思った。
あいつ、もしかしてアンドレイに利用されてるんじゃ。
好き勝手しているイアンに何故かクラビは怒りが思ったほど湧いてこない。
憐れみの情さえあった。
マリーディアも同じような事を考えていた。
あんな事をしたら体が崩壊する。ただ今はマークレイを助けないと。
23時頃もう1話投稿したいです。




