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勇者の記憶と力を封印された少年、「神に造られし者」の孤児に転生し悪人と再対決する  作者: 元々島の人


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マークレイの思いとミッシェルの覆面剥がし

2023年2月12日台詞を追記改稿しました。


本来、リーダーなんて下らない物に固執しアイデンティティーとしてすがろうとしてる俺は哀れだ。 




 


 

 

「弱い所がある様には見えないけどね」

 ジェイニーが言った。


「シヴァが明らかに優勢だ。このままだと勝つ!」

「お、おのれ」


「大丈夫か、ブロキア」

 何とそこにドードリアスが駆け付けた。

「助太刀するぞ」


「ドードリアス!」

 マリーディアは叫んだ。

「あの後ヒーラーが到着し回復してもらった」


「私が……」

 マリーディアは戦おうとする。


「俺も行く」

 ボジャックも立った。


「ブロキア様、ドードリアス様!」

 しかも大量の兵士達が現れた。


 しかし

「待て!」

 と言う声の方を向くとそこにはクラビ、そして何とマークレイとミッシェルがいた。 

  

 騒然となった。

「よっ!」

 マークレイは笑顔で挨拶した。


 流石にマークレイとミッシェルが現れた事はボジャック達を驚かせた。

 敵味方合わせ異様な空気に支配された。

 しかも何とマークレイは子供を連れていた。


 ボジャックは思った。

 俺達は移動中だから手紙で場所を確認できない。

 

 クラビの手紙とかの手掛かりだけで俺達の居場所を知ったのか。

 それにしても……


 ボジャックは今度は口に出して言った。

「精悍に強そうになったな。それだけじゃない、前荒れてた頃のとげとげした感じがかなり薄くなってる。何があったんだろ」


 ジェイニーは言った。

「あの人がマークレイさん? 最初いい人でその後ぐれた皆のリーダーだった人?」

「うん、手紙をやり取りしてたのはクラビだけで、俺は詳しい事を聞いていない」


 マークレイは笑顔全開で言った。

「久しぶりだな、ボジャック、ゾゾ、ぞれにマリーディア、俺は帰ってきたぜー!」

「……」


 三人は呆然としている。

 マークレイは続けた。


「三人、クラビも含めて前よりすごくたくましくなってて、一瞬気がつかなかったよ。俺は更にパワーアップして帰ってきたぜ! リーダーは帰って来たぞ! リーダーじゃなくてサブリーダーだけどな」


 マークレイは大ピンチでシリアスな状況にも関わらず大声で明るくアピールした。

 さすがに皆と温度差があった。


 皆唖然とし、口があんぐり開いた。

 マークレイが駆けつけただけでも驚きなのに、この大声アピールである。

 前から目立ちたがり屋だったけど、と皆思った。


 ミッシェルも続けた。

「抑え役のミッシェルもね」

 

 しかしマークレイは内心で思った。

 マリーディア……あんなに綺麗になってたのか……

 実は内心では驚き愁傷な気持ちもあった。


「よっ」

「よ、よう……」

 マークレイは本心を見せない様に軽く明るくマリーディアに言ったが、マリーディアは戸惑い勢いで「よう」などと言ってしまった。


「ひ、久しぶり」

 ボジャックはそう返すのが精いっぱいだった。

 相変わらず声でかい。


 マークレイは言った。

「この子供はさっき道に捨てられていた。だから孤児院に送るまでは俺が面倒を見る」

「えっ⁉️ さっき拾った子供を?」


 さらにマークレイは余裕を持って言った。

「大体の事情はクラビから聞いてる。もう大丈夫だ。後は俺とミッシェルさんに任せてくれ」


「そう俺達にね」

 ミッシェルの言い方はさらに余裕と不気味な自信に満ちていた。


 兵は言った。

「何だ? また身の程知らずのガキが増えたか?」

「頭が悪いんじゃないんですかねえ我々に歯向かうなんて」


 シヴァがマークレイの所に来た。

「すみません! あいつ仕留めきれませんでした」

「だから敬語やめろって言ってるだろ、対等な仲間なんだから。と言っても俺のせいか。後はゆっくり休んでくれ」


「俺はまだやれます、うっ!」

 マークレイはシヴァの首に当身をして気絶させた。


 マークレイは兵達に言いかえさなかった。

「さて、あのボス二人は俺とミッシェルさんでやる。雑魚たちもだ」


 クラビはよたよたしながら言った。

「俺もやるよ」

 

 マリーディアも力を振り絞り言う。

「私もいけるわ!」

「いや、大丈夫だ、二人共」


 ジェイニーはボジャックに言った。

「大丈夫なのあの人達?」


「分からないけど、いくら何でもあの二人とこれだけ兵がいたら」

 あの二人、どの位変わったんだろう知らないけど……


 兵はマークレイに言いがかりを付けた。

「おい、雑魚とは何だ。偉そうにガキのくせに」

「ふん!」


 いきなりマークレイはすさまじい威力の張り手を食らわした。

 兵は顔がひしゃげ吹っ飛んだ。


「がう!」

「えっ⁉」


 しかし本人は思いっきりやったと言うより軽くたたいた様な感じだ。

 それで人が吹っ飛んだ。


 兵は気絶している。

「え、ええ⁉️」


 この状況に敵も味方も騒然となった。

「じゃあ、後は任せてくれ!」


 マークレイは手をならし臨戦態勢とばかりの態度で自信満々に言った。

「始めようか」


 一方、ミッシェルはこちらも臨戦態勢の様におもむろに顔の皮を掴んだ。

 すると変装用の覆面がはがれ、いつもの強面の顔とは全く違う、童顔な美少年の顔が出てきた。


「えーっ! あれがミッシェルさんの本当の顔なの⁉️」

「あの顔見せたの久しぶりだ。それだけ本気になってるって事か」


 ドードリアスとブロキアは慎重に二人を見た。

 あのガキ共、いや覆面を脱いだ方、異様な力を感じる。

 何者だ。


 戦いが始まった。

 雄たけびと共に向かって来た兵達を一人、二人と圧倒的な強さで倒すマークレイ。


「すごい」

 とボジャックは言った。

 

 しかしマリーディアは

 そうかしら、彼は弱さを抱えてる様に感じる。

 と思った。


「孤児院リーダーの戦いぶり、とくと見せてやるぜ!」

 しかしマークレイは余裕綽々で大声で叫びつつ内心思っていた。

 

 クラビ、手紙に書いたけど、俺はお前の敵になるかも知れない。アンドレイに脅されてるんだ。

 

 その恐怖と戦ってる、それに俺はマリーディアが好きだったんだ。

 だからクラビと彼女が仲良くしてる事も本心じゃ妬んでる。

 だが!


「悪いが俺は俺のままに行かせてもらうぜ、我の強ーい人間だから。いじけてる暇はない。俺は強固な精神力を持ってるんでね。忘れっぽいが。強がりかも知れない。皆に迷惑かけた事は忘れ全てを未来の為に戦い力を尽くすぜ。俺は恩知らずの無神経人間だ。だから忘れるのは簡単だがな」


 ボジャックは言った。

「忘れてんのかよあいつ」


 しかしマリーディアは気づいていた。

 彼、本心と違う事を言ってる。


 マークレイはここからは声に出して叫んだ。

「なーんてこっからは真面目に行くぜ! 俺は命のある限り仲間の為戦う! 俺はリーダーだ、リーダーなんだ! リーダーの座は誰にも渡さない! その代わり俺が盾になって皆を守るために戦う! 仲間は誰一人傷つけさせないぞ! そしてサブライム軍を倒して人間らしい世界を取り戻す! また皆で笑えるようになるんだ!」


 孤児院で「お前がリーダーだ」と言ってもらえて初めて自分の存在が認められた。

 俺はスポーツ得意だけど本当は自分が社会で認められてない人間だと思ってた。

 俺は箱に入れて捨てられた。


 でも皆を助けたり助けられたりする内自分が一人じゃない、かつ必要とされてる人間だって分かったんだ。


 俺は孤児で後ろ盾もなく存在に疑問を持っていた。

 だからもっと皆を引っ張り助けなきゃいけないと思った。


 皆を引っ張れた時。

 楽しく笑った時。


 苦しい事を共にした時。

 誰かの悩みを聞いた時。


 孤児院で火事が起きた際、皆が怯え逃げている際マークレイとクラビだけは必死に消火に参加した。焦げススだらけになった中「リーダーは戻ってきたぞ!」と初めて言った。


 俺は怖かった、勇気を振り絞った。

 でも皆を守れたみたいで嬉しかった。

 

 ぼろぼろの俺を皆が迎えてくれた。

 人の命を救えた。孤児院を一人の力じゃないけど守れた。

 

 職員さんは自分の為でなく孤児の為生きてるんだ。

 それにしてもクラビすげーなあいつ大人しいのに。

 勇気は俺以上かも。


 どんな時も俺はリーダーだった。サッカーの時も演劇会も。

 演劇会で主役やって皆の前ですごく自己表現出来て本当に楽しかった。胸が一杯だった。


 俺はスポーツは得意だけど演技は苦手だ。

 だから努力した。


 それを皆が称えてくれた。

 それで役者を目指したくなった。

 俺でも夢が持てた。

 

 だから犯罪を犯さなきゃ生きられない世の中なんかじゃなく、皆が輝ける夢を追える世の中にしたい!

 アンドレイは夢を食い物にしているんだ。


 俺はリーダーだ! リーダーと思われている時だけ俺の心は満たされるんだ!

 何もない俺のアイデンティティーなんだ。ミッシェルさんより弱いけどさ。

 だから皆に弱さを見せないようある時は余裕綽々に、ある時はクールに振る舞って本当の素を見せないようにしてる。


 だから誰よりも強く責任を持って名に恥じない様に戦う! 生きる!

 名前とかっこだけのリーダーじゃねえぞ!


 そして戦うしかないんだ、罪の償いと禊ぎの為に! 皆あまり強くなかったのに無理して戦うようになった。

 だから俺みたいな人間が前線に立って弱い人の荷を背負わなきゃ行けないんだ。

 

 農業の仕事だって同じ位大事だ。

 俺は戦いしか才能がないから。女神にもらった力で!

 都合の悪い事は大声で叫ばないのが俺のずるい所かもな。


 今まで不幸なのは親のせいとか社会とかアンドレイのせいだとか、誰が一番悪いのかいらだってばかりだったけど、自分が一番悪いのかもしれないな。  

 

 本来、リーダーなんて下らない物に固執しアイデンティティーとしてすがろうとしてる俺は哀れだ。 


 アンドレイは憎い。

 でも悪い事をした俺に批判する資格はない。

 それより仲間の為に戦いたいんだ。

 





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