あうんの呼吸
ボジャックはなりふり構わず戦った。
恰好を全く気にしないでここまで必死になったのはいつ以来か。
俺の手でこいつに勝てると思ってない。
ただジェイニーが安心して魔法を出せるようにしてやりたいんだ。
防御に徹する事も出来るが、それだと囮作戦がばれる。
適度に攻めるんだ。
しかし今まで囮をした事がない為どうやってそれがばれない様に戦うか悩んでいた。
傷の痛みが思考を妨げる。
ゾゾも必死にボジャックの意を汲んだ。
しかし、ゾゾは腹を槍で切られた。
「ぐあ!」
「ゾゾ君!」
ジェイニーは悲鳴を上げた。
しかしゾゾはこらえた。
俺がボジャックさんの、皆の盾になってやる。
「何だと! こいつ傷を負いながら動きが鈍っていない?」
ゾゾは無我夢中で傷の痛みさえ忘れ狂う様に剣を振るった。
ボジャックは再度ジェイニーにアイコンタクトを送った。
俺達がどんなに傷ついても気にするな。お前は詠唱に集中してくれ。
「ぐっ!」
ジェイニーは二人の覚悟を知り唇を噛みしめた。
ブロキアは何か違和感に気づいた。
「ぬ?」
そして二人は奮闘虚しく倒れそうになった。
この時ジェイニーの詠唱が完了した。
「今だ!」
ジェイニーは構えた。
「最大火球!」
「行けっ!」
しかしブロキアは何かに気が付いた。
「馬鹿め!」
と言いジェイニーに槍を投げつけた。
「しまった!」
読まれていたのか! とボジャックは絶望した。
ジェイニーが串刺しにされる! と皆が思った。
ところがその瞬間ジェイニーは読んでいたかのごとく伏せてかわした。
「何⁉」
焦るブロキア。
読んでいたのはジェイニーの方だったのだ。
そしてジェイニーは突如マリーディアの方を向いた。
「マリーディア!」
と叫ぶとジェイニーは火炎魔法をマリーディアに撃った。
マリーディアがシールドブレスを構える。
「そうか! その作戦だったのか!」
ボジャックは驚いた。
「受け止めて撃ち返して!」
マリーディアは火炎を受け止めエネルギーをさらに上げてブロキア目掛け撃ち返した。
「ぬう!」
武器を無くしたブロキアは両手で火炎を受け止めようとした。
「受け止められるわけがない!」
「ぬおおおお!」




