続・町中の死闘
「俺は殺す意味がない相手は殺せない」
クラビはアンカーを上手く使い、遠距離攻撃と魔法で距離をとり、逃げようとする。
スタグラーは言った。
「どうした? 私と剣でやり合わんのか?」
「この場ではやりません」
「何故だ? 私は君の目の前の敵だぞ。甘い事を言うな」
「あんたの言ってる事が本当か嘘かよく分からないし、道を防いでるからと言って安易に殺せない」
「甘いな、この前君が助けた幹部ドードリアスは今頃暴れているぞ。恐らく君に恩義など感じず名誉のために戦っているだろう。君のお連れのお嬢さんのいる方向だ」
「じゃあ行かないと」
「私の相手はどうする」
「あんたは善人か悪人か分からないから殺せないんです!」
「ふふ、戦場などみなそうだ。敵国が悪人とは限らない。君は普通と違うな。良いだろう。私はいつでも勇者の力を感知できる。それまでせいぜい腕を上げておけ」
「ありがとうございます」
「マリーディア……」
一方マリーディアは苦戦した。
相手が手負いとはいえ、相手も復讐の念に駆られている。
「貴方はクラビに救われたのに心を入れ替えないの」
「あんなものは屈辱だ。俺はそれを晴らすため戦っているのだ」
「恩知らず」
「はあああ」
気迫と技術にマリーディアは押された。
中段への隙の少ない高速突き、少し角度をずらしながら連撃したが相手もさるもの。簡単には切らせない。
サイドからもう少しだけ大振りの剣をずらしながら放つが決定打にならない。
そして大剣で反撃して来た。
大剣なのに相変わらず素早い。
顔付近の突きや斜め六十度の袈裟切りをかわすマリーディア。しかし少し疲れて来た。
「娘、汗の量が多いぞ。息も乱れているぞ」
下手に攻撃すると鈍ったのがばれる為防御に徹した。
上からの垂直切り、右下五十度からの切り上げ、右斜め上への突き、いずれもすさまじい速さだ。
マリーディアはやむなく防戦に出た。
「手数なら私だって」




