町中の戦い 幹部ブロキア現る
2023年11月18日改稿しました。
町に戻ると騒ぎが起きていた。
逃げ惑う人とわめく人。
恐怖が町を包んでいた。
警官も出動する
クラビは何かと近くの人に聞いた。
かなり怖がった様子で町人は答えた。
「見た事もない武器を持った奴が手から火や氷を出して暴れてるんだ」
「見た事もない武器?」
クラビは何か嫌な予感がした。
町民たちはクラビを見て疑いを向け、目つきが少し変わった。
「そ、そういやあんたらが持ってるのもそうだな、仲間か?」
他の町民達も疑って目を向けて来た。
「いや違います!」
雰囲気を察しクラビは必死に否定した。
クラビ達は大急ぎで話の聞いた方に行った。
「どこだ」
「あいつじゃないか?」
逃げた先で別の人に聞いてみた。
「あんたみたいに変な腕輪はめた奴が暴れてるんだ」
それは驚く光景だった。
そこには四十歳位の妻子のいそうな少し白髪交じりの疲れた顔のあまり好戦的でない、農民のような雰囲気の男がクラビに似たブレスレットから火などを出して暴れていた。
クラビ達は信じられなかった。
マリーディアとクラビは叫んだ。
「あれは天の武具よ!」
「何で? 悪人が持ってる訳ないのに!」
女神は言った。
「うーん、あの人は悪人じゃないわ」
「どう言う事だ……」
「あいつは我々の手下だ」
と言う声に皆が振り向くと、そこには頭を丸め法衣を着た僧兵らしきたくましい長身の男がいた。
「誰だお前?」
男は答えた。
「私は幹部の一人、僧正ブロキアだ。あの武器の使い手と共に王とお前らを殺しに来た」
好戦的な目、大きな声を出す大きな口、それでいて落ち着いた雰囲気もある。
体格的からも強そうな感じや威圧感は十分過ぎる程に伝わる。ボジャックも感じ取り震えも起きた。
胸元に硬そうな胸当てを付けておりこれが頑丈さと胸の筋肉及び彼が重い装備を着こなせる強靭な体である事と僧であるが体も強い人物だと言う印象を与えた。
「王を?」
「その通りだ。貴様ら王の所に向かっているんだろ?」
「あの人は誰だ?」
ブロキアは答えた。
「あの男は正真正銘お前と同じ様に神の武具をもらった男だ」
女神は反論した。
「うそ、悪人に渡す訳ないじゃない!」
ブロキアは悪びれずに言った。
罪の意識なく。
「あいつを利用しようとしたが言う事を聞かんのでおどして服従させた。妻子を人質にな」
マリーディアは危機を感じ言った。
「あの人を止めてくる」
しかしブロキアは制した。
「その必要はない。あいつはこれからお前達の相手になる」
「何?」
男は前に出て来た。
「よ、よせ、あんたが誰か知らないけど神が武器をくれたって事は善人なんだろ」
「目を覚まして」
クラビと女神は呼びかけた。
しかし男は悩みながら敵意を見せた。そしてついにアンカーから火を発射した。
すんででクラビは避けた。
ブロキアは嫌な顔で挑発した。
「お前達に善人が殺せるかな」
ジェイニーは言った。
「あの人を止めるのはクラビとマリーディアに任せましょう!」
「お前は俺達が相手だ」
ボジャック、ゾゾ、ジェイニーはブロキアと対峙した。
ボジャックはブロキアの強さを感じ取り小刻みに震えた。
こ、こいつ、相当な使い手だ。
否定しようのない恐怖を感じた。
そしてブロキアはいきなり目にも止まらぬスピードでジェイニーの腹を突いた。
「ぐぐ」
「貴様は魔法使いだな。これで遠距離攻撃は出来まい」
不意を突かれゆっくりと倒れたジェイニー。
血が流れ腹を押さえている。
ゾゾは応急手当てをしようとした。
「傷薬です!」
ボジャック、ゾゾは構える。
「くっ、こっちもスキルを発動だ。怪力と高速移動だ」
「俺は高速移動レベル三と気配抹消だ」
「ふん。大したことはなさそうだな」
激しく三者の攻撃がぶつかり合う。
ボジャックとゾゾは左右から同時に切りかかった。
ブロキアは両手持ちの長い槍で二方向の剣を防ぐ。
ブロキアは流石に二方向からだと防戦を余儀なくされた。
しかし余裕綽々で焦る様子がない。
がっしりぶつかり睨み合う。
剣で切り込んでも軽く押し返してくる。
ゆるりと余裕を見せながら反撃のチャンスを伺う。
やっとこれで互角の様だったがブロキアにはまだ余裕があり、二人はスキルを使っている為スタミナを消耗した。
「ゾゾ、疲れてもペースを落とすな!」
「わかってます!」
あいつは疲れていない、余裕があるって事か。
ゾゾは気迫全開になった。
「クラビさん、皆の為この命をささげてやる。うおおお‼」
「貴様ごとき命を賭けても大して変わらんわ!」
ブロキアは高速で槍をくるくる回し防ぐ。
余裕の笑みを見せながら。
「二人がかりでも駄目なのか」
ボジャックは弱音を吐いた。
一方クラビとマリーディアは男を説得しようとした。
「やめて下さい! 貴方とは戦いたくない!」
クラビとマリーディアは止めにかかった。
「やめて下さい!」
しかし男は一瞬迷ったが、やはり火が出るアンカーで攻撃してくる。
「どうすれば……」
サブラアイムの兵は指示した。
「そいつらは自分より他人の命の方が大事な奴だ。あえてそいつら以外を狙え」
「き、汚い!」
「やめてくれ!」
火を出して他の人々を攻撃し始めた。
「あああ!」
逃げ遅れ焦げた人が出た。
兵長らしき男が言った。
「これでこいつも命令とは言え無罪ではなくなったな」
「危ない!」
クラビは子供をかばい背中に火炎を食った。
急速冷却が発動する。
「くっ!」
「逃げるんだ」
「ありがとうお兄ちゃん、この恩は必ず返すよ!」
走るクラビの前にスタグラーがいきなり現れた。
「くっ」
「私が相手をしようか」
「く、マリーディアさん、俺はこいつを食い止めるからあの人を!」
「はい!」
マリーディアは駆け出して行った。
今日中にもう1話投稿するかもしれません。




