五十パーセントの確率
黒い影のクラビが出現した。
「俺が食い止める」
ボジャックは前に出た。
マリーディアも少し怯えて前に出た。
口が震えている。
仲間達は言った。
「行けと言うのか」
「頼む、疑問に感じないでくれ」
ゾゾは思った。
ボジャックさんの口元が震えている……
怖いんだ、不安なんだ。
マークレイは決意を込め言った。
「マリーディア、君は逃げろ。俺が残る」
「……」
マークレイは続けた。
「こんな時に言うのはなんだけど俺は君が好きだ」
「……」
「勿論、君がクラビの方が好きなのは分かってる。俺はとっくに諦めてるよ。でも、最後に一度だけかっこつけさせてくれ。頼む」
「……駄目よ、貴方はこれから皆を引っ張ったり戦わなきゃいけない人」
「俺は男だ。こんな状況で逃げる事は」
「お願い」
「そうか、そんなにクラビが好きなのか。分かった」
何かが俺の中で吹っ切れた気がする。
一方ミッシェルはボジャックに言った。
「俺が残る。こんな時残らなきゃリーダーの名折れだろ」
「いえ、リーダーだから皆を託せるんですよ」
アズロは言った。
「皆逃げるぞ」
ポートサスも言った。
「行こう。我々はいったん引く!」
シンバスは言った。
「二人の気持ちに応えよう。ここは退散するんだ」
「私は残る」
と言ったデュプス神は黒クラビを食い止めようとした。
しかし念の力に黒クラビは耐えている。
そして黒いクラビは笑った。
「別に逃げてもいいよ。いつでも僕は人間に復讐できるんだからね」
デュプス神は言った。
「そんな事はさせんよ」
「僕はコプロサスの様に支配に興味はないよ。ガト教を迫害したデュプス神とデュプス信者を殺したいだけだ」
ボジャックはスタグラーに言った。
「それって、あんたの母親の意志って事?」
「私の母は殺された。だがずっと復讐を自分でしようとクラビの体の一部に取りついていたんだ。私も全く気付かなかった。最後にこんな事になるとは」
その間デュプス神は力を上げたが効果がない。
スタグラーが言った。
「もうやめろ母さん」
黒クラビは言った。
「貴方も取り込んであげるわ」
「あっ」
何と黒クラビはスタグラーを吸収した。
「なっ!」
「これでパワーが更にアップした。さあ、誰が来るかな?」
ボジャックとマリーディアは二人がかりで切りかかった。
ほぼ同時に。
それを黒クラビは二倍近くのスピードで受け止めた。
「はっはっは! 僕はコプロサスに勝ったんだよ? 君らが勝てるとでも思ったのかい?」
「俺なら勝てる」
「何?」
振り向くとクラビが立った。
黒いクラビは言った。
「何? 貴様は力を抜かれたはずなのに!」
「あんたを倒せるのは俺だけだ」
デュプス神は言った。
「実はクラビが勝つ確率はちょうど五十パーセントなのじゃ」
「え?」
「どちらが強いかなのではない。クラビと黒いクラビは全てがちょうど同じ力で、完全に勝つ確率は50だ。過去神界の戦いで光の肉体と影が分かれて戦った時もすべてそうだった。運任せなんだ」
「運?」
「そうだ、コプロサスの時の様に最後クラビが上がるとかではない。さいころを振るような物だ」
そしてクラビと黒クラビは剣を交えたがまるで鏡の様にちょうど力が同じだった。




