クラビが分身? スタグラーの母の策略
コプロサスは完全消滅した。
死体すら残さず。
皆、少し呆然とした後状況が把握できた。
「コプロサスが死んだ?」
「クラビが勝った」
ゾゾは言った。
「やった、やりましたよ!」
アズロは言った。
「彼がここまでやるとは。もはや私は出る幕もないな」
ポートサスも言った。
「私も同じ気持ちですよ」
アズロが言う。
「私も色々教えたが、彼が自身の力で強くなったのだ」
マリーディアは目に涙を浮かべた。
今すぐクラビを抱きしめたかった。
ところが、クラビの方を見ると何やら様子がおかしい。
「ぐ、ああく!」
「どうしたんだ!」
「ダメージが大きすぎたんじゃ!」
「それともコプロサスに呪いでもかけられたのか?」
何と神の造形物の証であるブレスレットが割れた。
ボジャックは言った。
「何が起きてるんだ⁉」
デュプス神は言った。
「彼の体が進化しすぎて限界を超えたのだ」
「え?」
スタグラーは言った。
「やはり力を溜めるのが中途半端だったために反動が来たのですか」
デュプス神は答えた。
「それもある、だが実は彼の体には別の神族のパーツ、ガト神のパーツが使われていたのだ」
「ガト神の?」
スタグラーは衝撃を受けた。
デュプス神は言った。
「彼を蘇生させた際どうしてもデュプス神族のパーツが足りず、前の戦いで得たガト神族のパーツを使用した。それが今になって体中に変調をきたしたんだ」
ボジャックは言った。
「何でそんな事黙ってたんですか!」
「彼のどうにもならない運命を言えば君達もクラビも絶望させてしまうと思ったからだ。
「俺達は絶望なんてしませんよ。必ずあいつを助ける方法を考えます」
いい友達だなー。
マリーディアは涙ぐんだ。
しかし涙ぐんでいる暇もなかった。
「クラビはどうなっちゃうんですか⁉」
その時スタグラーの耳に声が聞こえた。
「スタグラー、私と一体になりなさい、そして人類に復讐しなさい」
「母さん? どこから言ってるんだ?」
「私はここ、クラビ君の体にあるガト神族のパーツに憑依していたの。そしてクラビ君の力を吸い取り私がクラビ君の影になるわ」
「どういう事なんだ母さん!」
スタグラーが叫ぶと皆驚いた。
「誰に叫んでるんだ」
「うがああ!」
「クラビ君、自身の悪の心と影を私に託し吐き出しなさい」
「あんたがスタグラーのお母さん? どうするつもりなんだ⁉」
「私は貴方の影と邪心をもらいもう1人の貴方になるのよ」
「意味が分からない、うわ!」
クラビの体から影が飛び出した。
それはクラビと全く同じ姿になり肌だけが黒かった。
「なにあれ?」
「母さんの怨念の霊が、クラビの体を半分乗っ取った?」
「え?」
デュプス神は言った。
「いつ彼女は取りついたんだ。全く気付かなかった。わ、私の落ち度だ。ガト神族のパーツに取りついてエネルギーを吸い取っていたんだ。そしてクラビの邪心のみを吸収しもう1人の『黒いクラビ』になったんだ」
「え?」
クラビは動けなくなっていた。
「クラビは気絶してる?」
「動けなくなったんだ。力と心を奪われ、骨や肉を奪われた様な形になってしまったんだ。邪心も彼の一部だからだ。それとあの黒いクラビはクラビしか倒す事が出来ない」
「え?」
「彼の影だからだ。君達や他の人間がどんなに頑張っても倒す事は出来ないんだ。だから逃げるんだ」
「しかし、ここまで来て逃げるなんて」
「私やります」
マリーディアは名乗り出た。
ボジャックは言った。
「よせ。女の君がそこまで無茶をする必要はない。第一他の人間じゃ倒せないんだ。
「うん」
わ、私はクラビの姿をした人が人を傷つけるなんて事許せない。例え勝てなくても食い止める!
ボジャックも言った。
「俺も行くぜ。相棒を救うために」
ゾゾも言った。
「俺も行きます!」
ボジャックは言った。
「いや、お前達は逃げてくれ。ここは2人でいい。後は力を蓄えて何とか倒してくれ」
アズロは言った。
「私は残る。弟子を残す師匠等いる意味がない」
ボジャックは言った。
「いや、貴方も逃げてください。貴方がいなくなれば指導者がいなくなります」
「君達は死ぬ気か!」
マリーディアは思った。
回想した
「マリーディア、好きだよ」
あの夢の言葉の続きを知るまではクラビを死なせるわけには行かない!
そして……




