神に近い存在へ
一見クラビが押しているように見える。
しかしスタグラーには見えていた。
「あのままではやられてしまう」
「だ、ダメなん?」
スタグラーは続けた。
「あるいは、彼が力を全て開放すればあるいは……」
ゾゾは聞いた。
「解放ってどうやったら出来るんですか?」
「彼が内側からそれを欲し強く祈るしかない」
「クラビさんが『神に造られし』者だからですか」
一方クラビはさらに攻勢をかける。
「うおおお!」
クラビはこれまでに見せた事がない気迫と勢いでコプロサスを何発も殴って見せる。
その迫力がすごく誰も立ち入れない。
コプロサスの顔は変形する。
しかし、なかなか倒れない。
そしてクラビは息を切らし始めた。
「はあ、はあ」
コプロサスはにやりとした。
「大した気迫だが、もう終わりかな? 私にはさして効いてないぞ」
「……」
コプロサスは半分ほめた。
「大分さっきに比べると力は上がったよ。やはり『神に造られし者』だけあって普通の人間とは比べ物にならない底力だ。そこだけ誉めてやろう」
「うおおお!」
自棄になったクラビは渾身の鉄拳を放ったがこれを軽く受け止められ跳ね飛ばされてしまった。
「くっ!」
ボジャックは言った。
「クラビもかなりパワーアップしてるのに、コプロサスは底なしすぎる!」
クラビは少しだけ微笑みを浮かべた。
「へへ、あんたとてつもなく強いよ。だけどあんたがさっき俺をバラバラにしてくれたおかげで一つ分かった事がある」
「何?」
クラビは続ける。
「死ぬのは、少なくとも今の俺にとってそんなに怖くないってことだ。ありがとよ。あんたのおかげで死ぬのが怖くなくなったぜ。俺の体は何回も生き返れるのかそれとも一回だけなのかわからないが、少なくとも俺は今死ぬのが怖くない」
「何が言いたい」
「自殺だって出来るってことさ」
「行くぞ!」
いきなりクラビはコプロサスにつかみかかり押さえつけた。
「何だ!」
「行くぞ! 勇者の魂・地獄大爆発!」
そしてクラビの体は大爆発を起こした。
あたりが爆風に包まれる。
「どうなったんだ」
煙がなくなり二人が出てきた。
クラビは倒れているだけで爆発していない。
コプロサスは言った。
「ふん、自爆する覚悟まで出来ていたとは、これは少し恐れいったぞ。貴様の中で何かが変わった様だな。だがそれでもまだ私は倒れん」
「ぐ、もう動けない、命は助かったけど」
そこへスタグラーが立ちふさがった。
コプロサスは睨んだ。
「何のつもりだ?」
スタグラーはクラビに説明した。
「クラビ、もう今のままでは勝てん。しかし、君が神の様な存在になれば可能性がある。ガト神の守護者がそうしたように」
「人間じゃなくなるって事?」
「君は全部が人間でない。ならば完全に神になれるかわからんが神に近い存在にならなければ勝ち目はない」
「どうすれば」
「戦わず、祈り力を溜めるんだ。時間は私が稼ぐ」
ボジャックとゾゾは言った。
「クラビが神の様な存在に、な、なれるのか、でもそれしか手がないのか? なら俺もスタグラーの手助けをするぜ!」
「俺も行きます!」
ベルスも言った。
「俺も行く!」




