現れた真の恐怖 クラビが氷漬けに
クラビは目をつぶり精神集中し始めた。
奴がどこにいるか感じ取るんだ。
しかしコプロサスの爆撃は精神集中中も続いた。
「ぐあ!」
当然どこを狙ってくるかも分からない。
またクラビの体の各部位を小爆発が襲う。
痛みで精神集中が途切れそうになる。
しかし、クラビは倒れなかった。
踏ん張った。
血を流しながら、やけどをしていても。
目も開けず。
その間マークレイも爆撃を受けたが何とかもっている。
「くそが、俺だって倒れられないんだ!」
クラビは思った。
い、痛い。
だが今精神集中を止めるわけにはいかないんだ。
もう少し、あいつの姿が見えそうだ。
目を瞑っているため爆発は見えず、ただ爆発の痛みだけが響く。
「きたねえぞ! 姿を現せ!」
ベルスは叫んだ。
アズロは言う。
「私が精神集中してもキャッチ出来ん、クラビに賭けるしかないのか」
スタグラーは言った。
「奴の動きは『神の被造物』であるクラビしか捉えられません。それだけではない、力を全て開かないと勝てるかどうか」
そして遂にクラビは上空にコプロサスの姿と生命反応をキャッチした。
「よしそこだっ!」
クラビは上空向けて大ジャンプした。
ところが、である。
突如実体化したコプロサスが上空にジャンプ中のクラビの顔を手で掴み地上に降下して叩き落とした。
皆、何が起こったのかと思った。
コプロサスは遂に実体を現した。
鬼の様な角と十六歳くらいの少年の様な童顔と不思議な大人の落ち着き。
それを角は出して覆う原始時代で使われそうな石の兜。
軽装の全身の石の鎧と、着けてない場所は薄い服の外装。
何故か漂う威圧感。
クラビは凄まじい力で頭を床に叩きつけられ、割れて頭から血を流した。
まだ起き上がってこない。
コプロサスは動けないクラビを見下ろして言った。
「貴様がそろそろ私の姿を感知すると思い、姿をこちらから現させてもらったよ」
「……これが真の力?」
「お前には分かるようだな。他の奴は馬鹿だから分からんようだが。姿を消さないと勝てない等と言われると癪に障るし神としての名が下がる」
ズン!
とコプロサスはクラビの腹を憎々しげに、重く踏みつけた。
踏みつけながらコプロサスは言う。
「これが私の最後の姿だよ。嘘だと思う者もいるだろうが、お前には分かるはずだ」
クラビは血を流し息を切らしながら立ち上がった。
「これがあんたの本当の姿なんだな? 今のあんたを倒せばこれで全てが終わる」
「言っておくが様子見などしない方がいい。最初から切り札を使うんだな」
「行くぞ!」
意気揚々とクラビが剣で切りかかるなり折れた。
鎧部分ではなく皮膚の部分でだ。
だが、めげないクラビは渾身の鉄拳をコプロサスに見舞ったが全く効かず逆に殴られ吹き飛ばされた。
「ならこれでどうだ! ハイパー射出型光剣!」
光剣が伸びるとコプロサスの鎖骨のあたりの石の鎧を貫きそうになった。
「おお!」
しかしコプロサスは剣を掴み折ってしまった。
「なっ!」
マークレイは叫んだ。
「勇者の魂・砲撃強化型!」
背後からこれを浴びせかけたがコプロサスは全くの無傷だった。
クラビは叫んだ。
「勇者の魂・火炎撃!」
ごうごうと火炎がコプロサスを包み込む。
「燃やし尽くしてやる」
しかし燃やしても効いたそぶりがない。
そしてコプロサスは口から突如冷凍光線を吐いた。
「えっ!」
これが瞬く間に炎を全て消しクラビにもかかった。
クラビの体を凄まじい勢いの冷凍光線が包む。
クラビは氷漬けにされてしまった。




