クラビが感じる恐怖 マリーディアの声
「部屋中にこだましててどこでしゃべってるのか分からんな」
しかしクラビはマークレイ以上に悪寒を感じ取っていた。
何だこの嫌な感じ。
不気味さと威圧感と言うか。
「どこだ! 出てこい!」
そう言ったマークレイの体に爆発が起きた。
「!」
クラビも驚いた。
「ぐあああ!」
マークレイは倒れた。
「マークレイ!」
クラビは駆け寄った。
そして何処かにいるコプロサス向けて叫んだ。
「どこだ、出てこい!」
少しの沈黙が流れる。
そして爆発した。
「ぐああ!」
クラビの体の表面で直径30センチ台の爆発が起きた。
「くっ!」
ポートサスは叫んだ。
「どこから攻撃しているんだ!」
クラビは思った。
これだ。
初めてコプロサスに会った時に感じた恐怖。
どこから来るのか。
どこにいるのか。
それもある。
でも、一番怖かったのは奴が隠れているというよりも。すごく巨大に見えた事なんだ。
際限のない大きさ。無限大に。
世界を敵に回したような強大さを感じた。
世界そのものが奴の支配下みたいで。
これが「神と相対する」って事なのかと。
これは人間や生物の悪人では絶対に出せない。
例えどんな強い奴だろうと。
遥か上の天から爆撃されてるみたいな。
そしてまたクラビの体に爆発は起きる。
腹、右胸、肩等。
その時毎に箇所が違う。
それと大爆発でなく、体の一部をピンポイントで狙うような。
「ぐああ!」
クラビはダウンしてしまった。
「クラビ!」
ベルスは叫んだ。
「きたねえぞ! お前神なんだろ! 姿を隠してないで堂々と出てきて戦えよ! それともやられるのが怖いのか⁉」
クラビは思った。
嫌、奴が姿を現さず攻撃の正体も現さないのは「姿を見せたら負けるから卑怯な事をしてる」のとは違う気がする。
あいつは何て言うか様子を見てるのに近い感覚なんだろう。
卑怯と言うよりも。
1つは、馬鹿にして格の違いを見せつける感じ。
もう1つは姿も攻撃方法も全く不明にして、いわば神にしかできない攻撃をする事によって恐怖を植え付ける狙い。
メンタルも攻撃してるんだろう。
正直あいつの正体が分からない。
不気味で恐怖を感じる。
しかも威力もかなりある。
「ぐああ!」
クラビは何発も爆発に包まれた。
「くっ!」
ベルスは言った。
「クラビが片膝をついた! 相当ダメージを受けてるぞ!」
アズロは言った。
「嫌体もそうだが、むしろ精神にダメージを受けているように見える。得体のしれない不気味さと強大さに彼は恐怖を感じているように見える」
ベルスは叫んだ。
「応援しか出来なくて情けないけど、クラビ頑張ってくれ!」
マークレイも爆破を受けながら立ち上がった。
「クラビ、俺も立つ! まだ負けないでくれ!」
「……」
ベルスは感じ取った。
「クラビはマークレイに返事してない」
アズロは言った。
「彼は相手の力を感じる力がある為に、一番コプロサスの強さに恐怖を感じているのかも知れん」
マークレイは再度言う。
「クラビ、頑張るんだ! 俺も最後の最後まで戦う」
しかしクラビは答えられなかった。
こんな威圧感や恐怖を感じたのは初めてだ。
正直怖いかも知れない。
俺も大分パワーアップしたけど、やはり人間では神に逆らえないのか。
愚かな事なのか
クラビは希望を無くしかけた。
その時心に声が聞こえた。
「頑張って勇者!」
「! マリーディア? あれいない。下の階で戦ってどうなったのだろうか。嫌今のは思い出した声だ」
冒険がまだ序盤の頃、「リーダーをやりたくない」と呑気な事を言いボジャックを呆れさせたクラビにマリーディアが激励した事思い出した。(17部分参照)
「そうだ、マリーディアは今みたいに強くなるずっと前から、俺を勇者って呼んでくれたんだ。ずっと励まして支えてくれたんだ」
クラビは意を決し立ち上がった。
「お前の正体と居場所を突き止めてやる!」
クラビは目をつぶり精神集中した。
俺の「神の被造物」としての力を最大に生かすんだ。
これは俺しか出来ない。
奴の正体を見るんだ!




