光剣大斬撃
クラビの火炎攻撃は続いていた。
実際の火炎放射の様に、「勇者の魂・火炎撃」を巨大な脳だけになったコプロサスに浴びせ続けた。
しかし、コプロサスに表情やリアクションが無い為もあり、効いてるのかよく分からない。
温度は相当な物だ。
ポートサスは言った。
「五千度位あるのでは」
アズロは言う。
「ただ、続けるとクラビも消耗する」
マークレイが不安になり聞いた。
「クラビ、これは効いてるのか? あいつ声とかの反応がないぞ」
クラビは答えた。
「俺はある程度、相手の生命反応や効いてるかの状態を感知できるんだ」
「そうなのか?」
クラビは続ける。
「確かに効いてるよ。だけどとんでもなく生命力が高いから相手を燃やし尽くす前にこっちの体力がなくなるよ、おっと危ない!」
すると、いきなりコプロサスの脳の中から何と人間の唇の様な口が出て来た。
一メートル程の大きさだ。
そして、直に細い光線を二人に吐いてきた。
スピードも速い。
クラビは咄嗟に反射しマークレイを押して何とかかわした。
マークレイが
「脳みそから口が出てきやがった。不気味な。これは予想してなかったぜ」
と言う間もなく今度は大きな一つ目が出て来た。
マークレイは叫んだ。
「うわ今度は目か!」
「光線でも撃ってきそうだ、油断するな!」
しかし予想に反し、目は何も撃ってこなかった。
ところが一瞬ぴかりと眩しく光った。
すると脳の周囲に広範囲爆発が起きた。
「ぐあ!」
二人は何とか被害を最小限に食い止めた。
クラビは確信した。
「これ以上攻撃を受けるとやばいという危機感がコプロサスにもあるから急に口や目を出して来たんだよ」
「じゃあ、効いてるって事か。このまま火炎撃を浴びせるのか」
クラビは答える。
「だめだ。あれはずっと放出し続ける技だから、その間に口や目から反撃される。それと相手を焼き尽くす前にこっちの力がなくなる。火炎撃を止めよう」
「でも他に何か技があるのか」
クラビの表情が変わった。
「あれを使おう」
「あ、あれか?」
クラビは修行を回想した。
「ちょっと新しい技を開発したから見て」
クラビは皆の前で空を飛んだ要領で10メートル近く飛び上がり、剣を最大まで振りかぶり勢いを付け着地と同時に大きく振り下ろした。
当たった対象はないのだが、威力は凄く伝わった。
ボジャックとマークレイは言った。
「凄いよ。ただ当たればな。こんなとんでもなく隙だらけの技逆に当たる相手の方が珍しいよ」
「普通に騎士と剣の切りあいする時とかは向かないな。よほど鈍重か動かない相手だけだな」
クラビは言った。
「でも俺はこの技が必要な敵と会うような気がするんだすごく」
ボジャックは言った。
「勇者の勘を信じるよ」
「何か皮肉ぽいね」
回想を終わる。
「よしあの技で行く!」
クラビは勇者の魂を全開し文字通り飛び上がった。
そして大きく振りかぶった。
「うおお! 光剣大斬撃!」
コプロサスの脳は全く避けも反撃もしなかった。
クラビの剣が脳に切り込まれ切っていく。
光の剣が肉に食い込み手ごたえを強く感じた。
そして真っ二つ寸前まで切り込んだ。
マークレイは確信した。
「やった! しかし奴の正体がこれで終わりなら……」
「はあはあ、真っ二つは出来なかったけどかなり切った」
しかしコプロサスの不気味な声が轟いた。
「くっくっく」
「今度は何があるんだ」




