アンドレイ倒れる
アンドレイはおののいた。
「く、クラビだけでなくこいつまでこんな力を」
意外に早くアンドレイは起き上がりマークレイに飛び掛かった。
しかしパンチだけで反撃され吹き飛ばされた。
「少しは貴様らに虐げられたサブラアイム人達の叫びが聞こえたか?」
「あ、あんな虫けらどもの声なんか知るか!」
ドルイは思った。
アンドレイ様は明らか自信と落ち着きを失っている……
「貴様なんぞに! 勇者でも何でもない雑兵が!」
と言い大きな火炎弾を放ったがこれも軽くはじかれた。
「ば、馬鹿な」
「皮肉だな、自分達がかけた呪いで苦しむとはな」
くっ、悪の力を体内に取り込むとは、こいつこれほどの精神力があったのか。
「うおおお!」
連続でアンドレイは火炎弾を撃ったがマークレイには効かなかった
「……!」
こつこつと一歩ずつマークレイはアンドレイに近寄った。
アンドレイは破れかぶれでパンチを放ったが手首をつかまれた。
「!」
マークレイはパンチでアンドレイを吹き飛ばした。
顔がひしゃげる。
今までで一番傷ついた表情だったかもしれない。
マークレイはクラビに言った。
「交代だ! 止めはお前が刺すんだ!」
「!」
いきなり言われて戸惑ったがアイムも言った。
「そうよ! 十二年前の借りを返して! 貴方の勇者の魂をあいつの心臓に叩き込めば倒せるわ」
「任せるぞ勇者」
二人の言葉を受けてすっくと立ったクラビは前に出た。
アンドレイはやけくそに飛び掛かった。
「うおおお!」
何発もクラビを殴ったが全く効かない。
クラビに睨み返され竦んだ。
「うっ!」
そしてクラビのパンチがさく裂し後方に吹っ飛んだ。
これが相当なダメージだった。
息を激しく切らしながらアンドレイは何とか立った。
「こ、これが俺の最大の魔法だ!」
エネルギーを集中し光線をクラビめがけ放った。
しかしクラビは一歩も動かず耐えた。
「ば、馬鹿な! そこまでの力はなかったはずだ!」
クラビは答えた。
「マークレイの事で葛藤して俺の心が成長し、勇者の魂もそれに反応したのさ」
アズロは言った。
「そうか、クラビは自分の心と戦い人間として成長し、勇者の魂が呼応しさらにクラビを成長させたんだ」
アンドレイはわなないた。
勇者の魂とはかくも力があるのか!
「おのれ!」
アズロは思った。
「何だあいつの慌て方は。何かを恐れている。負けたくないプライドとはまた別の物が感じられる」
アンドレイは震えた。
こ、ここで負けたらコプロサス様に死よりも恐ろしい目に合わされる。な、ならば!
いきなりアンドレイは全てをかける様な表情でクラビに飛び掛かった。
「自爆して果ててやる!」
「クラビ、逃げろ!」
ポートサスは叫んだ。
しかし大爆発は起きた。
煙の中からクラビは殆ど傷つかず現れた。
そしてアンドレイは生きていたが殆ど力を失った様だった。
「ああ」
クラビは射出型光剣でアンドレイの心臓を貫いた。
「ああ」
そこに恐ろしい声が響く。
アンドレイめ負けおったか。
ついに私の番が来たな。
コプロサス⁉️
クラビは気配を感じ取った。




