心の開く時
クラビは意識が戻り現実に帰った。
クラビは思った。
何が原因でマークレイを傷つけたのか分からないけど、そんなに傷つけ怒らせたんじゃもう友人を名乗る資格はないのかもしれない。
謝るにしてもそれが何か分からないから気持ちもこもらない。
だとしたらやるしかないのか。
クラビは拳を見つめた。
その時マークレイが殴りかかってくる。
クラビは寸ででかわし、アンカーで巻き付けて動きを封じた。
「この手があったか!」
「マークレイ! 何が原因か分からないが怒ってるなら俺を責めてくれ! 殴ってもいい、それでも駄目なら殺してくれ!」
「何だと⁉」
「かといって君の悩みが何なのか聞くのもやぼだし、知るのも怖い」
「俺は、俺は!」
マークレイはアンカーを引きちぎろうとする。
クラビはアンカーを引っ込めた。
「俺は!」
と言いクラビに殴りかかった。
倒れないクラビをマークレイが殴る。
「お前さえいなければ! お前さえいなければ!」
クラビは倒れなかった。
ベルスは叫んだ。
「もうやめろ何考えてんだ!」
しかし声は届かなかった。
「食らえ!」
と言いファントム・0の構えに入った。
クラビは身構えた。
「うおおお!」
怒りの鉄拳とファントム・0がぶつかり合った。
とてつもないエネルギー同士が干渉しあいはじけた。
ポートサス達に波が及ぶ程だった。
ダウンしたクラビは言った。
「俺を殺したければ殺してもいい」
「!」
「だけど約束がある。一つは俺以外の人をこれ以上傷つけないでくれ。もう一つは俺の代わりにアンドレイを倒してくれ。俺は勇者じゃない、罪人だ」
「!」
マークレイの何かが弾けた。
俺が何に怒ってるか知らないのに命を捨てるって言うのか。
俺は馬鹿だ、自分以上にクラビを、他の人を苦しめてたんだ。
自分ばかり悩んで傷ついているような顔をして。
それだけじゃない、友人や他人を激しく傷つけて手に入れるなんてそんなの本当の幸せなんかじゃない。
エゴだ、欲望だ、俺はただの罪人だ。
大馬鹿だ、どうしょうもない奴だ。




