無情!最後の爆発
ジョルジュはクラビのパンチで吹き飛ばされた。
しかしまだ立つ力はあった。
クラビは実はパンチの威力を抑えていた。
ジョルジュはガッツオに催眠術でもかけているのではないかと思ったからだ。
ジョルジュは言った。
「貴様、将来の国王候補のサブラアイムの頭脳と言われる私を殴りおったな。もうお前は確実にガッツオの手で殺される。コプロサス様に血まみれにされる様も見たかったが」
スタグラーは言った。
「何が国王候補だ。お前の様な卑小な人間がサブラアイムで誰に慕われていると言うんだ」
「うるさい、裏切り者の貴様はもう幾ら頭を下げようとも戻ってはこれんぞ。それに貴様が勇者の力を感知出来る事や何やら怪しい企みを持っている事も全部アンドレイ様に言ってやった」
そしてガッツオは怖がりと悲しみと迷いを混ぜた表情で剣を振ってクラビ達を攻める。
しかし戦いは素人だから当然動きは鈍い。
当たるはずもない。
クラビ達も手を出せなかったが。
アンドレイは冷酷に言った。
「早く勝負を付けろ。それとも爆死させられたいか」
アズロは体を震わせ言った。
「貴様ら、こんな手段しか使えんのか。そんな手を使わなければクラビに勝てんのか。アンドレイ、貴様が直々に相手をしたらどうだ」
アンドレイは答えた。
「勘違いするな。私がクラビに負けると思うか。そう言う事ではない。ガッツオに戦わせているのは貴様らは操られた善人には手を出せないと最初から知っているからだ。手を出せないまま愚かに何もせずやられる姿を見たかったからだ。どうすればガッツオを倒せるかとくだらない事に悩みながらな」
「くっ!」
マークレイは怒ったがポートサスに止められた。
「今怒ったら相手の思うつぼだ」
アンドレイはガッツオに命じた。
「貴様は村を裏切り自分だけ助かろうとした。もう戻れない。だからこいつらを倒して第7の幹部になるしか生きる道はないんだ。もし出来たら待遇は変えるがね」
クラビは言った。
「村の人だっきっと許してくれる。もう帰れないなんてことはない」
アンドレイは無視して言った。
「さっさとそいつらを殺せでないと爆死させるぞ」
ガッツオは目をつぶり己の気の弱さを嘆いた。
「クラビさん……この人達は何としても俺を助けようとしている。本当はアンドレイと戦いたい所なのに俺なんかを助けようと。こんな立派な人たちを攻撃するなんて俺には出来ない」
ジョルジュは言った。
「何か言ったか。貴様に我々に逆らう勇気等あるとは思えんがな。大体自分だけ助かりたいと言う根性のひん曲がった腰抜け中の腰抜けだ。自爆して果てるしか使い道のない畑を耕す事も出来ないクズだ」
「……てめえ!」
クラビは全身を振るわせて怒った。
マークレイはクラビのあまりの迫力に思わず怯え震えた。
「クラビが相手を『てめえ』と言った。ここまで怒ったのは初めてだ。ど、どうなるんだ」
「ク、クラビ、落ち着いてくれ」
ポートサスは命令と言うより願った。
ガッツオは突如言った。
「私の体の爆弾を作動してください」
「何⁉」
アンドレイも驚いた。
「それくらいしか勇者を倒す方法は私にはありません」
「本気なのだな」
「よせ!」
アンドレイは無情に言った。
「爆弾をセットした。あと3分だ」
ガッツオは涙を流し必死にクラビに襲い掛かって来た。
なりふり構わず。
構えもめちゃくちゃで当たるわけなかった。
クラビはまだ助ける方法を考えている。
な、何とかならないのか、くっ!
そして残り十秒となった。
アンドレイは挑発した。
「残り十秒だ。逃げた方がいいんじゃないのか」
クラビは固辞した。
「俺は逃げない!」
しかしガッツオは突然振り向いた。
そしてジョルジュに向け猛スピードで駆け出した。
「何⁉」
「あっ!」
そしてガッツオはジョルジュに組み付いた。
あと二秒。
ガッツオは最後の涙を流した。
そして爆発しジョルジュを道連れにした。




