シヴァの逆鱗
シヴァは霊感を感じられるように精神を研ぎ澄ました。
あの毬からは鳴き声が聞こえる。
「う、うわあああ!」
それは何か不満がある生後間もない赤ん坊が上げる声だった。
「泣き叫んでいる、これは『おっぱいがほしい』とかじゃない。殺されたくない』と言っている様に感じる。どういう事だ」
俺に声を聞かせてくれ。
シヴァは目を瞑り心で訴えかけた。
「だ、誰?」
確かに心の声が聞こえた。
「君の声を聞かせてくれ」
「……」
しかし毬は襲い掛かってくる。
シヴァは顔に食った。
だがあまり様子を変えない。
その内ボールのスピードが遅くなってきた。
「ぬっ⁉」
「どういうことだ。俺の霊感コントロールにミスがあったか?」
「霊感コントロールだと?」
しかし、毬はやはりスピードが落ちている。
「どう言う事だ」
マリブリンは叫んだ。
「速くやれ! こいつを殺せ!」
「どういう事だ?」
シヴァの心にまた声が聞こえた。
「僕寂しい……攻撃もしたくない」
「どういう事なんだ。君は子供かな? お兄ちゃんに聞かせてくれ」
「ぼ、僕生まれてすぐ親が死んで僕も死んだの。で気が付いたらこの毬の中にいてあのピロが命令してくるんだ」
「どういう事だ‼」
マリブリンは言った。
「ふん、いいだろう教えてやる。俺は霊能力であの毬の中にいる子供の霊を操っているんだ」
「だから何であの子供の霊が閉じ込められているんだ?」
「あの子供が親が死んで寂しいって言うからあそこに入れてやったのよ。あの子供は特別霊力が強いから目をかけてやった」
「いきさつが分からない」
「その子供の両親を殺したのは俺だ。さらに言えば子供を殺したのも俺だがな」
「‼」
「高い霊能力があるから利用するためだ」
「貴様!」
しかしマリブリンは怒りで切りかかったシヴァの剣をかわした。
「やれ!」
二つの毬は猛スピードでシヴァに向かって来た。
そして同時に攻撃した。
シヴァは目を閉じ訴えかけた。
いきさつはよくわからない。でももうやめてくれ。
「お兄ちゃん誰?」
「俺はシヴァ、君と友達になりたい。僕も孤児だ」
「お兄ちゃん親いないの?」
「僕なら君の気持ちが少しは分かる。だからもうやめるんだ」
「う」
不意に毬が止まった。
「馬鹿な! どういう事だ」
「貴様は許さん」
「ひ、ひい! こいつをやっつけろ!」
しかしに個の毬はハイスピードでマリブリンを襲った。
「ぐあ!」
シヴァの剣がマリブリンを切った。
「た、助けてくれ!」
「貴様に命乞いする資格はない」
マリブリンは切られ絶命した。




